ベストマスター

2012年4月のベストマスター
鶏屋 鳳(OTORI)

八木 裕史(ひろふみ)マスター

 身長181cm・体重102kgの巨漢のマスターが扇ぐうちわから、香ばしい焼き鳥の香りが店内に広がる。市内色内1丁目にある「鶏屋 鳳(OTORI)」のマスター(38)。

 釧路生まれ。父親の転勤で10才からの小樽生活。小樽水産高校を中退した10~20代は、いろいろなとんでもない仕事を経験した。札幌でゴミ収集車の助手から始め、お金をもらってはパチンコ屋に通うその日暮らし。その後、鳶職を6年間、23才まで。堺町で観光客にカニを売ったり、花園でフードバーを8年間。「僕は働くことが好きなので、仕事をしていない月はなかった」と言う。

 「これまで飲食店をやりたくて、ずっと独学で勉強してきた」と言うマスターの出す鶏料理は、一品一品が吟味工夫されていて、フランス・イタリア料理と見間違う一皿も多い。ゆったりした空間が確保された店は、コラーゲンたっぷりの白濁スープの水炊き(コラーゲン鍋・1人前1,480円)が名物。

 「ここは、嫁さんの実家で、ここの2階に住んでいた。もともと車庫だったところで、金をかけて改造し、店をオープンして3年目になる」

 頭をバンダナで包み、精悍な顔のマスターの左耳には、ピアスの穴が5つも開いて、ピアスが光っている。「ピアスは10年以上前に開けた。38のこの歳で開けたら、問題があるじゃない」。一見こわもて風だが、笑顔がはじけると、人懐っこい優しさが溢れてくる。

 前妻に1人、今の妻に2人の子供3人の父親。「3人とも女なので、また女だったら、野郎(男の子)が出来るまで頑張ります」と高らかに宣言する。

 「趣味のバイクは、20何年やっているが、昨年からはゴルフにはまった。今年はバイクの車検を取るか悩んでいる。昨年始めたばかりのゴルフは、休みに30回も行った。今年は待ちきれず、茨城まで行ったが、まだ100を切れない。身体がでかいので当たると飛んでいくのだが、皆から言われるとリキが入って駄目になる。100を切るのが今年の目標!」

 「仕事着を脱ぐと、奇抜な自己表現力が好きで、常に派手なアロハを着ているので、お客さんに会って挨拶しても、誰も気付いてくれず、ぜんぜん違う人だと言われる」と、変身を楽しんでいる。

 カウンター11席、小上がり25席の小樽バインの横路を入った店は、10才年下の奥さんと二人三脚で美味しい鶏料理を提供する。男盛りの38才のマスター。

鶏屋 鳳(OTORI)

小樽市色内1-9-11
電話:0134-32-2229
営業時間:
11:00~14:00
17:00~23:30
定休日:月曜日

2012年3月のベストマスター
船見坂 ひろ田

廣田 英夫マスター

 小樽レンガ横丁(稲穂1)の入り口ひとつ奥にある小さな日本料理店「船見坂 ひろ田」を営む、廣田英夫(62)マスター。

 岐阜県岐阜市に生まれ、高校までを過ごした。北海道大学医学部を卒業し、東京都衛生局に勤務し、同期入局の医師だった妻と結婚し、1児をもうける。

 昭和63年に単身で北海道知床ウトロ診療所に2ヶ月勤務し、大成(なたな)町立病院外科にも勤務した。平成3年4月から小樽市保健所に勤務。自分の仕事はやり尽くしたし、管理的な仕事を期待されても向いていないと、12年目にして保健所を退職。

 21世紀に、自分のすべきことはなんだろうと考え始めた。息子が東京の調理師学校へ行くことになり、廣田さんも1日体験入学をしてみた。以前から料理に興味があり、作ることが好きだったので、一から勉強してみようと、東京の辻調理師専門学校で日本料理を1年間学び、さらに翌年、大阪あべのの調理技術研究所で学んだ。

 平成17年4月に小樽へ戻り、店名でもある船見坂近くに店舗用の土地建物を確保していたが、まずは腕試しと、知人の紹介でレンガ横丁の現在の店を6月に開業。しかし、その月末に火災に遭い、4週間後に再スタートするという大変な思いもしたが、今年7年目を迎える。

 「なぜ店名に“船見坂”が付いているのか?と、お客さんによく聞かれるが、いずれは同じ料理人である息子と、船見坂に準備した場所で仕事が出来ればという夢があり、その時に店名を変えるより、今、店名に付けていたほうが良い」と話してくれた。

 廣田さんは、「ランチを始めるようになり、自分がやろう思うことに近づいた。中高年の人たちに、良質な食事を提供すること、健康のために普段より心がけることが重要だと考えられるような食事を提供したい。そういう仕事が出来ればと思う。小樽の良さが分ってもらえるような、ホッと出来る店にしたい。北海道産の食材を旬の季節のみ提供するようにしている」と話す。

 ランチメニューを季節ごとに替え、今の季節は、鯖の味噌煮・カキフライ・わかさぎの天ぷら・・白菜サラダ・小松菜とじゃこのお浸しなど、総菜8品の中から3品を選び、ご飯、味噌汁、漬物が付いて850円とリーズナブル。

 夜は、一品料理や刺身、アナゴの柳川鍋、鶏ごぼう土鍋ごはんの他、予約をすると船見坂御膳2,000円や季節の懐石料理3,500円に、修業の腕を揮ってくれる。店内は、カウンターのみ6席で、どこに座ってもマスターがテキパキ調理をする姿が見える。こじんまりとした店内で、小樽の旬の食材をもっと美味しくしようと、日々研鑽に励む「船見坂
ひろ田」のマスター。

船見坂 ひろ田

小樽市稲穂1-4-15 レンガ横丁
TEL:090-8428-0741(携帯)
営業時間:
昼 火曜日~土曜日11:30~14:00
夜 月曜日~土曜日17:30から22:00(L.O21:30)
定休日:日曜日・祝日

2012年2月のベストマスター
麺処 龍仁

米山 徹マスター

 龍宮神社の隣りの石造りの建物に、1月9日(月)にオープンした「麺処 龍仁」の店長。

 龍宮神社の本間公祐宮司に依頼され、株式会社美食房がプロデュースし、店を任されている。テキパキとして行動力のある店長・米山徹さん(38歳)は、札幌生まれで大学まで札幌で過ごす。大手飲食チェーン店に就職し、店長職・エリアマネージャーを経験し、飲食店のノウハウは知り尽くしている。昨年10月に設立した株式会社美食房に入社し、龍仁の店長を任される。8年前に結婚し、趣味は夏山登山。

 地域に根差したラーメン店を目指し、本間宮司から借りた小樽の懐かしい写真を店内に飾り、「地域のお年寄りが昔を思い出してくれれば」と話す。

 “龍仁”という店名は、龍宮神社の“龍”と、ラーメンの“達人”という意味を込めて「龍仁(たつじん)」と名づけた。

 地域住民への挨拶とプレオープンを兼ね、1月1日・2日・3日の初詣、7日のどんど焼きに開店し、好評を得た。

 ラーメンの注文方法は、ちぢれ麺・ストレート麺・平打ち麺・一番細ちぢれ麺・ヘルシー麺の中から、まず主役となる麺を選ぶ。次にスープを、これも特選味噌・和節味噌・屋台醤油・おふくろ醤油・だし塩の5種類から選び、トッピングも定番トッピング・おすすめトッピングの2種類から選び、注文完了となる。

 初めはどう注文して良いか迷っている人のために、当店イチオシ組み合わせがあり、その中から選んでも良い。来客者の半数が注文するイチオシ組み合わせは「味噌」で、ちぢれ麺と特選噌味、チャーシュー・のり・茎ワカメ・メンマ・もやし・ネギ・タマネギの定番トッピングのセット。すべて1杯700円。

 麺にはこだわり、今後の要望に応え研究し、常に美味しいものを提供するように心がける。看板メニューをひとつ作りたいと出来たのが、80gと少なめのご飯の上に、道産もち豚を使用した300gもあるカツをのせた「ソースカツ丼」1,000円。チャーハン650円、プチ餃子(10個)350円もある。

 ラーメンスープを使用した鍋や焼き鳥、お酒を飲みながら締めにラーメンを食べられるようにと、16:00からの夜の部は、隠れ家的な居酒屋兼ラーメン店とした。小上がりもあり、宴会としても利用出来る。

 米山店長は、「お客さんに『美味しいね』と笑顔て言われることがうれしい。また、自己裁量でいろいろなことが出来る。高校生から60歳代の店で働く人を教育したり、メニューを考えたり、クリエイティブな仕事が出来るところにやりがいを感じる。ブームに追われることなく、息の長い地域に愛されるお店でありたい」と話す。「麺処 龍仁」の米山店長は熱かった!!

麺処 龍仁

小樽市稲穂4-11-2 龍宮神社境内
TEL:0134-21-2480
営業時間:ラーメンのみ11:00~14:00
居酒屋とラーメン16:00~22:30(LO22:00)
定休日:水曜日

2012年1月のベストマスター
オステリア il Piatto Nuovo

三輪 信平マスター

 多くの寿司店が軒を並べる小樽寿司屋通りを下った、妙見川沿いにあるイタリア料理店「ぴあっと」のオーナーシェフ。

 高校卒業後に横須賀の海上自衛隊に入り、船の上で、世界16カ国を周りながら、4年間料理の腕を磨いた経歴の持ち主。後に陸に上がって、札幌グランドホテルで8年間の修業。その後、堺町にあった北一硝子経営の「マルコポーロ」に入り、料理長に。同店が閉店したため、独立することにして、妙見川沿いの東雲町2に、オステリア「il
Piatto Nuovo」を開店して、すでに1年半が過ぎた。

 三輪マスターの腕と味を知っている客で、連日賑わいを見せている。イケメンマスターが腕を振るうとあって、女性客からの人気が高い。

 50歳の脂が乗った男盛りのマスターは、全日本司厨士協会・北海道地方本部小樽支部の支部長を務めており、小樽・後志の料理人を束ねるリーダー格的存在でもある。毎年、後志の食のフェスタを開催し、地産地消に取り組み、小樽・後志の料理人の腕の冴えを示している。

 最近では、店をアルバイトで手伝ってくれる長女に注ぐ目線の柔らかさでは、時折、父親の顔を見せる。3人の子供に囲まれれた家族の支えが、マスターの日々の営みを支えている。敬虔なクリスチャンでもある。

 「クリスチャンが、クリスマスに店を開けて商売しているなんていけないな」と呟きながら、日々フライパンを振るう、2012年に大きな期待がかかる小樽のマスター。

オステリア il Piatto Nuovo

小樽市東雲町2-3
TEL:0134-64-1697
営業時間:
lunch 11:00~15:00(LO14:30)
dinner 17:00~22:00(LO21:00)
定休日:月曜日 ※平成24年4月より水曜日定休

2011年11月のベストマスター
鮨処 おたる ※閉店

谷口 尚明(なおあき)マスター

 小樽の観光名所・小樽運河の浅草橋交差点角にある小樽出抜小路の鮨処「おたる」の店長。

 登別市生れ。小中学校を経て、高校に進むが間もなく学校をやめ、苫小牧の寿司店で職人修業に。

 その後、東京にいた叔父さんの紹介で、料理店(割烹)に勤める。10年間の東京修業が、その後の大きな力になったという。

 28才で独立し、東京向島に季節料理の店を出す。5年が経過し、出店のための借金がなくなった頃、妻との離婚話が出て、「追い出された」。「貯金や車、家は、ジャンケンをして負けしまい、全部取られてしまった。アハッハ。残ったものはバイクだけだったけど、今でも3人の子供の養育費を送っているよ」

 離婚後は、気分転換のため、アメリカにいた知人の紹介で、和食ブームのアメリカに。ワシントンDCにいて、車やバイクでオークランドからマイアミに旅行したりした。アメリカは、日本のようにガムシャラに働くのでなく、コセコセしていないで、ゆったりとしているので、楽しかったという。

 「金土は、クラブに行ってストリップをよく見た。チップをやるとガンガン来ましたね。アハッハ。アメリカ滞在は、数か月と短かったが、良い経験になった」と笑う。

 33才の時、かねてからの知り合いである小樽の寿司店の経営者に進められて、小樽にやって来た。丁度、小樽出抜小路が出来た頃で、そこの寿司店に半年ぐらいいたが、今度は、出抜小路の運営会社にスカウトされ、現場で焼鳥店を任された。今は、寿司店を任されている。入社して既に6年がたった。

 「今年は震災の影響が大きかった。3月から5月までは客が来ないで、ガラーンとしていた。夏になってようやく上向いたが、10月になってまたガタッと落ちている。これから雪が来たら大変だよ」と頭を抱える。

 料理の腕の良さが知られており、小樽の常連客の支持も多い。明るい性格と達者な話しぶりで、客の応対の感じの良さが心地良い。

 小樽で再婚して、4才(男)と1才(女)のパパに。「いつか東京に帰ろうと思っていたが、子供が出来てしまい、もう小樽っ子になるしかしょうがないか。アハッハ」

 今が男盛りの44歳の寿司店のマスター。

鮨処 おたる ※閉店

小樽市色内1-1-17 小樽出抜小路内
営業時間:11:30~14:30、16:30~21:00
定休日:火曜日

2011年10月のベストマスター
小樽フードバー こもる

川口 大輔マスター

 昼間は屋根葺きの鈑金屋、夜は姿を変えたフードバーのマスターと、二足のわらじで頑張る3児の父。

 花園小、東山中、北照高を経て、北海道工業大学電気科に。大学時代に「ニトリ」で2年間バイトした時の経験が、すごく勉強になったという。

 家業は鈑金屋。中学から大学まで、ずっと父親の仕事を手伝っていたが、2年前に父親が他界して、屋根葺き鈑金屋になった。3年前は、仕事が減って大変だったが、今年は手が足りず、同業者に手伝ってもらう程の忙しさで、昼間の仕事に精を出す。

 20才の時に19才の彼女と出来ちゃって、学生結婚。27才で無尽ビルに2人で店を開いたが、結局、「逃げられちゃいました」。子供3人は、母親(65)にみてもらっていて、「母親には迷惑をかけている。忙しかった僕のせいで、休日に子供を何処かに連れて行ってやれなかったのは、責任を感じている。母親がいなかったら、子供は引き取れなかった」と話す。

 「小樽フードバー『こもる』を無尽ビルで5年、花園で2年間経営している。最初の店の内装が店名より先に出来上がったが、こもった感じだったので、『こもる』と名付けた。店を始めた7年前の花園町には、結構人が歩いていたが、今は、タクシーばかりで人がいない。その頃は、僕の仲間たちも小樽にいたが、結局、食うために小樽を離れていった。スナックなどでも飲んでいるのは、年上の人ばかりで、若い人がいない。前は、宴会が結構入っていたが、最近は、客の使う単価も減り、3年前と比べても売り上げが半減した」と嘆く。

 「しかし、小樽が好きで離れたくないので、これからもチャレンジしていきたい。店を立て直していくのが次のチャレンジ」と、何処までも前向きな熱心さが伝わってくる。

 花園公園通りの店の入口の扉からは、中が飲み処とは気付きにくいが、ドリンクラリーの時の女性客たちは、感じのいい店と気さくなマスターで、「ぜひまた来たい」と話していた。

 15・13・11才の腕白盛りの2男1女を抱えながら、昼も夜も働き続け、仕事に子育てに奔走する35才。男盛りの樽っ子マスター。

小樽フードバー こもる

小樽市花園3-8-18
TEL:0134-24-0002
営業時間:17:30~25:00
定休日:日曜日

2011年9月のベストマスター
おたる夢市場

杉村 文也マスター

 「新鮮な魚介類でお客様に健康を提供したい」と、8月、都通り商店街に、魚屋「 おたる夢市場」をオープンした26才の若社長。

 高卒後に介護ヘルパー2級の資格を取得し、父親が経営するグループホームで働き、介護の職場の大変さを勉強した。20歳になってから、友人たちとレゲエグループ「KARAKUSA」を結成し、音楽活動に没頭。小樽や札幌などで演奏し、「自分たちの演奏で会場が盛り上がる様子が楽しかった」

 グループホームで4年働いたが、「色々な職場で経験を積みたかった」と、介護の道から、八百屋の配達や食品製造、魚屋などで働いた結果、「健康な魚を提供しながら介護相談出来る、高齢者が憩える店をつくりたい」と、魚屋と市民の健康を関連づけた経営スタイルで起業した。

 小樽や札幌の市場から仕入れた新鮮な魚を提供。店内には、魚の解説、効能などの説明書。介護ヘルパーの経験を活かして、高齢者の介護相談や介護関連窓口の紹介も行う。高齢者に必要なコミュニケーションの場として活用され始めている。

 「都通りに魚屋がなかったので、直感だけでこの商店街で店を開くことを決めた。都通りになかった魚屋で活気付けたいと思った。若い自分が店をやることで、若い人が商店街を通るようにしたい」と意気込む。

「小樽が好きなんすよね。街を出たくないんですよ。これからずっと小樽で商売したい」と力強く語る。妹の唯さん(23)と兄妹で店を切り盛りする若手の起業家。「妹には逆に怒られながらやってるんすよ」と照れ笑い。優しい人柄がにじみ出る。

「夢あるいちばんの場所」を目指す若きマスター。

おたる夢市場

小樽市稲穂2-13-9
TEL:0134-22-0555
営業時間:10:00~18:00
定休日:年中無休

2011年8月のベストマスター
炭火焼肉 海や

近藤 紘司マスター

 小樽花園に昨年9月オープンした、炭火焼肉「海や」の店長。

 小樽生まれの32歳。手宮小、末広中、小樽水産高校を経て、札幌のパソコン専門学校に2年間通った。

 パソコン販売店に勤めた後、小樽の酒店や魚屋に。全国のデパートで開かれる北海道物産展で、東京・神奈川・秋田・広島や四国などを回り、魚の捌き方を身に付けた。

 現在の店の親会社である小樽のドーナッツ屋さんも物産展に出ており、ちょうど仕事が切れた時に、ホーマックで出会い、今度は、焼肉屋さんの店長に変身を遂げた。魚から肉へと捌く物が変わり、旭川に肉の捌き方の研修に行った。

 昨年9月にオープンした炭火焼肉「海や」の店長として、間もなく1年になる。自らパソコンで、メニューやHPを作る。包丁とパソコンの二刀遣いの現代っ子だ。

 「全国を回ったが、やっぱ小樽は良いところだと気付かされた。小樽にいるとみんな当たり前だが、外から見て、改めて小樽の良さが分かった。広島もいい街だったが、やはり地元が一番」と話す樽っ子。

 母子家庭で育ち、母親の帰りが遅いので、子供のころから料理に興味を持ち続けたのが、今の仕事に繋がった。

 しゃれた造りの焼肉店だが、美肌コラーゲン入りの冷麺(490円)や美肌コラーゲン入りシーザ-サラダ(490円)、お肉と共に野菜も手軽に摂れるようサラダメニューが充実していて、金額も、メニューも女性にやさしい。特に、木曜日はレディースデーを設け、女性だけ飲物半額+おつまみ一品サービスと、女性に足を運んでもらえるよう考えている。最近始めたワンコインランチも好評で、女性客に喜ばれている。

 笑顔がやさしい近藤店長は、料理とパソコンが得意の男盛りの32歳。独身で現在“花嫁募集中”でもある。

炭火焼肉 海や

小樽市花園1-4-22
TEL&FAX:0134-61-1029
営業時間:
11:00~14:00(ランチ)
17:00~22:00(平日ディナーLO 21:45)
16:00~21:00(日祝ディナーLO 20:45)
定休日:火曜日

2011年7月のベストマスター
焼き鳥・居酒屋 竹八

佐藤 武彦マスター

 小樽駅前を真っ直ぐ下り、最初の路地を左折したところにある焼鳥・居酒屋「竹八」のマスター佐藤武彦さん(68)。

 「小樽は、海あり山ありで本当に良いところだ」。人口が20万近くあった頃に小樽に来て、店を開いて33年。妻の松江さんと2人の夫唱婦随で、客の応対に精を出す。

 弘前生れ、1歳から中学まで礼文島の香深育ち。稚内に渡ったのち、札幌に出る。札幌・小樽で寿司職人の見習い修業。その後、東京・長崎・高知などで、料理人としての修業を重ねる。東京の柳橋の割烹店や長崎・円山の料亭「花月」で腕を磨いたのが自慢でもあり、自信ともなっていると言う。

 高知にいた20代の頃、妻の松江さんと知り合った。「ヒグマが見たいというから、北海道に連れてきた」と笑う。小樽に来た松江さんは、阪神タイガースのキャンプ地でもある高知の安芸出身。

 「最初の冬は、雪のない高知から来たので大変だった。えらいところに来てしまったと思ったわよ。買い物に行っても凍った雪道に足を取られ、玉子と豆腐がミキサー状態になってしまって、また買い直しに行ったこともしばしばだったのよ。今でもまだ慣れないのよ」と、小樽の雪を嘆く。

 「小樽がすごく好きで店を開いたが、嫌いなこともある。小樽人は、全国にはいっぱい美味いものがあるのに、なかなか認めないところがある。何が何でもホッケの開きというもんでないよ。その土地土地には、それぞれ美味しいものがあることを知って欲しい」と話す。「小樽の景気が悪くなり、店も最盛期の時より、売り上げが10分の3に落ちてしまった。何とかしてほしいよ」

 33年間の年月を経た店は、居酒屋の雰囲気が染みついており、常連客の笑いが絶えない。「子供はいないし、他にママの変わりもいないから、40年間、ケンカしたこともないし、しようとも思わない」と、夫婦仲の良さが伝わってくる駅前居酒屋のマスター。

焼き鳥・居酒屋 竹八

小樽市稲穂3-8-14
TEL:0134-23-3379

2011年6月のベストマスター
すしざんまい小樽店

堺 秀和マスター

 今月のマスターは、小樽出身で明日のマスターを目指す、「すしざんまい小樽店」の寿司職人・堺秀和(41)さん。

 小樽生れ。色内小・西陵中を経て、北照高へ。高校卒業後、小樽高島の寿司・和食・仕出し「に志づか商店」で、8年間の料理人修業。ここで調理の基礎を教えてもらい、調理師免許を取らせてもらった。

 札幌に出て寿司店に4年。定山渓ホテルや新日本海フェリー、層雲峡のホテルを経て、2つのスーパー銭湯で料理長を務める。

 店内でつけている名札の趣味欄に、スーパー銭湯と書いているのはこの時の経験から。

 「何といっても、独身だった28歳の頃に、札幌のすすきのネオン街を知ったことは、大きなことだった」と、いたずらっぽく話す。定山渓にいた4年前に結婚。相手は同じホテルの同僚で“ビビッ!!”と来た。再婚の奥さんと3人の子持ち。現在3歳の捺七(ナナ)ちゃんに夢中で、ナナちゃんの話になると、デレデレ・メロメロ状態。

 「でも最近、ハートマークが付いたメールが見つかる“メール事件”を起こしてしまい、嫁さんの信頼度を50%減らしてしまった。今までに信頼度が55%だったので、もう後がない」と苦笑い。

 寿司を握りながらの軽妙なトークは、同僚からも一目置かれる存在だ。

 「人生は山あり谷ありだが、自分は谷ばっかり」と言うと、傍らの同僚から「何言ってんの。今、幸せの真最中なくせに」とチャチャが入った。

 各地で磨いた職人の腕を何倍にもしている軽妙トークで、客を楽しませる準?!マスター。

すしざんまい小樽店

小樽市堺町1-3
TEL:0134-23-3185
営業時間:11:00~朝5:00
定休日:年中無休

2011年5月のベストマスター
すし徳 ※閉店

金澤 和洋マスター

 すし徳(花園1)の二代目大将(41)。

 父親の背中を見て育ち、小学校の卒業文集に、将来の夢は「すし屋」と書いていた。北照高校卒業後、すぐに札幌の寿司屋に住み込みで修業入り。他人の釜
の飯を食べて勉強し、仕事はもとより、仲間との交流から腕を磨いた。

 修業を終えて実家に戻り、父親の隣で寿司を握り始めた。しかし、40年間の父親の経験と、札幌で学んだ自分の技術の違いや、仕事一筋の父親と過ご
した時間が短かったことからの戸惑いによって、衝突ばかりだった。

 3年ほど経って、調理師会の付き合いで始めたゴルフが共通の趣味となり、それからは、すっかり親子の衝突はなくなった。そのうちに小樽が観光ブームになり、街は潤い、店も毎日宴会が入るなど大忙しとなった。

 2007(平成19)年8月に父親が亡くなり、母親と店を切り盛りすることになった。小樽の経済不況により、毎日入っていた宴会の数や来客数が減少。若い人に立ち寄ってもらえる店にと、800円で寿司かちらし寿司を食べられるランチを始めたり、食べ歩きイベントに参加するなど、積極的に取り組んでいる。

 「昔の小樽の街は本当に賑わっていた。中学生の時は、ニューギンで100円そばや150円カレーを食べた記憶がある。周りには、豆腐屋や八百屋・
魚屋が両端に並ぶ市場があって、学校帰りに寄り道した。これからは、若い人たちと一緒にイベントをやって街を活性化させたい」と語る。

すし徳 ※閉店

小樽市花園1-4-23
TEL:0134-22-3457
営業時間:11:00~20:30ラストオーダー
定休日:水曜日

2011年4月のベストマスター
canal(カナル)

藤本 信一マスター

 サンモール商店街の脇にある明治40年築のレンガ倉庫を改装して、カフェ「canal(カナル)」をオープンしたマスター(54)。

 レンガ倉庫は、福井県三国から北前船に乗って小樽に移住してきた祖父が購入。藤山商店から独立して始めた商店、「北海みやげ」として使用し、この後、父親が「インテリア和光」として営業した。

 幼少期から、「このレンガの歴史的な建物を生かした仕事をしたかった」という。仕事であちらこちらと飛び回る中、その思いはさらに強くなり、高齢となった母親がインテリア和光を閉店するのを機に、建物を改装。「歴史的な建物を生かした仕事をしたい」を実現させた。

 しかし、「ここで喫茶店をしたかったが、時期が良かったかどうかは難しい。人口が多い時にやれば良かったと後悔することも。冬場は人通りが少なくてきつい。大通りで上下のバス停留所も近く、場所が良いのに厳しい」と嘆く。

 ただ客を待つだけでなく、店内で絵画展を開くなどして集客に努め、少しずつ常連客も増えてきた。「今後は、2階・3階を画廊や文化教室にしたいと思っている」

 祖父や両親から引き継いだ、思い出深いレンガの歴史的な建物の有効的活用は、今始まったばかり。

canal(カナル)

小樽市稲穂1-4-13
TEL:0134-23-0110
営業時間:
夏(5月~11月)10:00~21:00
:冬(12月~4月)10:00~19:00
定休日:祝日(連休の場合は営業)