ベストマスター

2013年4月のベストマスター
居酒屋 天海

前田 史弘マスター

 スパルビル1階に2年半前にオープンした「居酒屋 天海」を営む前田史弘(32)さんは、12年間寿司職人を経験した板前さん。店名は、世話になった先輩が付けてくれた。

 生まれも育ちも小樽。子どもの頃、小学校では野球、中学校ではバスケットボールと、体を動かすことが好きな活発な少年時代を過ごす。両親が共働きで、自分で食事を作り、兄弟や友達に振舞って喜ばれたことなどがきっかけとなり、料理をするのが好きになっていった。

 小樽、札幌で板前修業を15年。その間、寿司職人として12年間経験を積んだ。いつか、自分の店を持ちたいと夢を抱き、40歳位で独立だと思っていた所、新妻の後押しで開店。家庭と店を同時期に持ち、新しい人生がスタートした。

 店内はカウンター10席。客層は、20~30代の女性が6~7割と多く、女性おひとり様でも気軽に入れる雰囲気。

 前田さんひとりで切り盛りし、食材の仕入れから仕込み、調理、メニューの考案や接客も全てこなし、培った経験を活かしながら日々努力を惜しまない。

 店の特徴は?と聞くと、「和洋中こだわらず何でも食べられる店、生ものや麺類、丼物までなんでも!」と言う。70品目以上のメニューを用意。旬の刺身から、若鶏のから揚げ、豚舌のデミグラス煮、この2品は、人気1・2番を占める。「本日のさしみ」など、前田さんおススメのメニューもあり、お客さんから、「本日のパスタは?」との依頼も多く、少しでも要望に応えようと務めている。

 酒好きで、飲み物の種類は100種類以上。梅酒や芋焼酎の種類も多く、紅茶梅酒や緑茶梅酒など珍しい酒も並んでいる。その中でも、「和リキュール」と言って、いちご、みかんなどの素材を活かしたリキュールをロックで味わうなど、新しい飲み方や旬の飲み物を提供し、あっと驚く顔が見たいという。常連に愛され、口コミで客の輪が広がる。新鮮な食材が手に入ったら、ホッケもカスベもお造りで、サプライズを演出してくれる。

 日頃心がけていることは、「自らが毎日楽しく仕事をして、美味しい食事はもちろんのこと、お客さんから“楽しかった”と言われるのが一番の褒め言葉。この言葉をかけてもらえるよう、当店へ来てサプライズを楽しみ、出会いがあり、隣同士会話が弾み、喜んでもらいたい」と言う。

 また、「体が動く限り店を続けたい。この仕事以外は出来ないし、天職だと思う。寿司職人の観点では辿り着けないことも多く、色々な人に教わりながら、試行錯誤している」と話す。

 休日は、野球やバスケットで体を動かしリフレッシュ、仕事への活力を養う。以前、ボーリング大会や花見を催したこともあり、今後は、店へ来てくれたお客さん同士が仲良くできることを企画したいと言う。

 最後に写真をお願いすると、「写真は嫌いなんです・・・」と、シャイな一面を見せた。新鮮な食材や旬を意識し、他では味わえないパフォーマンスが楽しめる、居酒屋天海の前田店主は熱き料理人。

居酒屋 天海

住所:小樽市花園1-11-24 スパルビル1階
電話:0134-27-7002
営業時間:17:30~24:00(LO~23:30)
定休日:日曜日・祝日
料理7品と飲み放題で3,500円予約受付

2013年3月のベストマスター
Nether Land(ネザーランド)

越後 諒治マスター

 ウィンケルビレッジ受付裏の朝里川のほとりに位置し、自然と溶け込んだ木造作り建物「「Nether Land」(ネザーランド)代表の越後諒治さん(26)は、小樽生まれの小樽っ子。

 子どもの頃は、活発な方ではなかったという。市立花園小学校、菁園中学校、潮陵高校、北海学園大学経営学部を卒業後、東京での就職に憧れたものの、研修期間中に、小樽の居酒屋の家業を手伝うことに。

 いつかは独立したいと、2012年8月に、朝里の自然の中で食べられるスープカレーとハンバーガー店をオープンさせた。店名の「Nether Land」は、女子目線で考え、「ネザーランド・ドワーフ」という可愛いウサギの種類があり、そこから名付けた。

 野菜ソムリエを活かして、野菜を多く取ってもらいたいとカレーのベースになるスープにも野菜をふんだんに溶け込ませ、味噌、醤油、みりん等の和の調味料を使い、優しい味に仕上げている。当店一番人気は「ネザーランドセット」。スープカレーとライス、ハンバーガーのセットにドリンク付きで1,200円だが、かなりのボリューム。スープカレーはとろみ系とさらさら系からチョイス。定番メニューに加え、辛さやトッピングもお好みで。

 今一番力を入れていことは、当店自慢のカレーを自宅で食べてもらおうと、1杯からでも宅配をしている。札幌では定番となっているデリバリーを小樽でもと取り組み始めた。現在、新光町と望洋台を中心にしているが、いずれは市内全域に浸透させたいと言う。カレーは麺と違ってのびず、温め直しても美味しい。送料無料で土日も対応。容器代として30円プラスで、店内のカレーメニューを自宅へ配達。

 オリジナルの特注で玄米粉を使用したバンズと、越後さんプロデュースの手捏ねハンバーグ120gの炭焼きハンバーガーは350円から。

 昨年の潮まつりで売店を開いた時に大量仕入れした鶏の胸肉を、チキンカツにしてカレーにトッピングしてみると、意外と美味しく当店の人気メニュー「元祖チキンカレー」が生まれた。失敗は成功の基と感じた出来事だった。

 今後の夢は、“小樽は寿司”と言われるように、“小樽のNether Land”と言われるようになりたい。いろいろな方面で批判されると思うが、非常識を常識にしたいという。

 開店当初は、お客さんが来なくて落ち込んで日もあったが、接客が大事だと思い心がけた。スタッフ6名が明るく仲良く喜んで仕事ができるような環境を作り、数々の失敗や指導してくれる人々へも感謝する気持ちを忘れず、小樽のみんなへ自慢のカレーを届けようと奮闘する、「Nether Land」越後代表。

Nether Land(ネザーランド)

住所:小樽市朝里川温泉2-686 ウィンケルビレッジ受付裏
電話:0134-54-6556
営業時間:11:00~15:30、18:00~21:00(LOいずれも30分前)
定休日:月1回を予定
駐車場:7台、客数:28席(予約でパーティもOK)
移動販売車で各イベントに参加

2013年2月のベストマスター
BEN

大貫 司マスター

 1杯ワンコインでお酒が楽しめる「BEN」は、花園スパルビルの裏手にある。マスターの大貫司さんは、小樽っ子の33歳独身。ただ今恋人募集中。

 子どもの頃は、人見知りをするおとなしい子だった。スキーや水泳を習い、冬は天狗山ダイナッミクコース滑走、蘭島での水泳講習会で培った遠泳も得意だった。

 会社員となり、その後、バーに勤め、この道は10年以上。開店のきっかけは、今の場所を以前から知っていて、店の雰囲気が良くて「店を構えるのならここにしよう」と思っていたところ、空き店舗となり、実力試しと2009年9月に開店した。「BEN(ベン)」は昔からのあだ名。

 店の特徴は、安くて落ち着けて「俺の店へ遊びに来い!」の雰囲気だとマスターは言う。ダークブラウンの木のぬくもりを感じさせる店内は、カウンター席のみで10名。大貫さんひとりで切り盛りし、掃除からカクテル作りや接客まで、全部1人でこなしている。

 ビール、焼酎、ワイン、ウイスキー、カクテル、ソフトドリンクなど、すべて1杯ワンコインで飲むことができる。マスターが経験を基に、美味しいカクテルを即興で作ってくれる“おまかせカクテル”は人気のひとつ。

 店のロゴに小樽出身のTシャツデザイナーとコラボし、Tシャツ販売もしている。昨年末に始め20枚以上が売れた。

 おひとり様の来店者が多く、店内で友達となり、常連さんが集まり、誕生日にテレビをプレゼントされ、とても嬉しかったそうだ。店が狭く、広くした方が良いか、こじんまりした方が良いのか、思案中。

 大貫さんの趣味は“ゲーム”。特技は“おしゃべり”。ひとりで来ても、マスターのトークで楽しくお酒が飲める。店内には、カラオケもなく、会話中心に楽しんでもらいたいと言う。将来の夢は「仲間がいればいい!」と話す。

 店プロデュースのフォトブックを作る「フォトが繋ぐ想い」にも参加し、雪あかりの路にちなんだ写真を写して持って行くと、ワンドリンクサービスをしてくれる特典を用意している。また、大貫さん掲載の「小樽ジャーナル見たよ!」と言うと、ワンドリンクサービスしてくれる。

 グレープフルーツジュースとトニックウォーター、ブルーキュラソー入りのおまかせカクテルは、爽やかなブルーでさっぱりと、何杯でも飲めそう。

 また会いたくなるような温かい雰囲気の中で、 少年のような笑顔で話す、BENのマスター。

BEN

住所:小樽市花園1-11-17 スパルビル裏
電話:0134-26-6807
営業時間:20:00~3:00
定休日:不定休

2013年1月のベストマスター
あっぱれ手宮店

谷野 弘明マスター

 小樽市総合博物館本館(手宮1-3-6)前にある、「あっぱれ手宮店」の店長谷野弘明さん(48)は、生粋の樽っ子。

 小樽にいながら、札幌光星高校へ通うまじめな高校生活の後、専門学校へ進学。社会人となり、数々の職業を経験したが、いつかラーメン屋を持ちたいと、1998年に同社へ入社。

 「とんこつラーメンあっぱれ亭」(手宮1・清水正己社長)は、1995年5月に手宮店をオープンし、現在、市内に手宮、奥沢の2店舗を構え、北見にフランチャイズ1店舗がある人気のラーメン店。

 入社後、前の職場で知り合った奥さんと結婚。当時オープンした「あっぱれ亭奥沢店」で結婚式を開き、社長夫妻や従業員に見守られ、寸胴の前で愛を誓った。

 その後、手宮店と奥沢店を行き来し、その地域の常連客のハートを掴んだ。麺の堅さ・味の濃さなど、客の好みを覚え、その都度的確に提供している。手宮店の店長になって10年。多くの従業員、パートの指導にあたり、アルバイトを育て、信頼も厚い。

 一昨年の冬から、、坦々麺やあんかけラーメンなどの季節限定ラーメンを考案・販売し、昨年は、12月1日から季節限定「ピリ辛麻婆ラーメン」750円を発売。特製麻婆と醤油ラーメンの絶妙なコンビネーションで、あっぱれでしか味わえないくせになる味を生み出している。一番人気の白味噌とともに評判上々。

 赤味噌、白味噌、合わせ味噌、醤油、塩、辛味噌、全て700円。ほたてバターご飯250円、しょうが焼丼290円、焼チーズの肉シューマイ210円など、サイドメニューも充実。さらに、飽きの来ないように新製品を模索中。おみやげラーメン1,050円(3食入)は地方発送が可能。2月には、大好評の「金ゴマラーメン」の復活も決定した。

 「笑顔と活気のある店内を心がけ、お客様とのコミュニケーションを大切にし、1杯1杯誠心誠意を込めてラーメン作りに励みたい。今後も季節ごとに限定ラーメンを考案していきたい」と話す。

 トレードマークのピンクのバンダナをキリリと締めた谷野店長は、今日も寸胴洗いに奮闘し、旨いスープを作り、“いらっしゃいませ!”と笑顔でお客さんを迎えている。

あっぱれ手宮店

小樽市手宮1-1-3 駐車場完備(8台収容可)
電話:0134-27-2325
営業時間:平日11:00~22:00 土曜日・日曜日・祝日10:30~22:00
定休日:元旦のみ

お店のHP
2012年12月のベストマスター
大型アメリカンバーガー&バー「GO-2 BASE」(ジーオーツーベース) ※閉店

千葉 浩志マスター

 10月にオープンした「大型アメリカンバーガー&バー“GO-2 BASE”(ジーオーツーベース)」の代表千葉浩志さん(33)。

 小樽生まれの小樽育ち。元気で活発な少年時代を過ごす。スポーツもなんでもこなし、現在も、夏はサーフィン、冬はスノボーを楽しんでいる。

 高校卒業後、新日本海フェリーに就職し、船の厨房で働く。その後、介護の仕事に転職し、8年前には、札幌で自動車関連の会社を営み、小樽祝津へ移店した。30歳で結婚し、現在、3ヶ月と2歳8ヶ月の男の子のパパでもある。

 店名の「GO-2」は、千葉さんの昔からの愛称「ゴッツ」と、所ジョージの大ファンで、所ジョージが「世田谷ベース」など、「ベース」という言葉をよく使うところから、合体させて名付けた。

 店内は、アメリカンムードに包まれている。アメリカにこだわったのは、“小樽のプレスリー”こと山田章夫さんの娘さんの夫が、専務として事業に携わり、開店の話があったのは、偶然にも山田さんの命日だったという。山田さんがプレスリーを愛した意志を継ぎ、プレスリーからアメリカンバーへと繋がっていった。店内のステージでは、音楽イベントを予定。山田さんのバンド仲間やレゲエのメンバーなど、小樽出身のアーティスト、素人でも中高生でもおじさんバンドでも、敷居をぐんと下げて、誰でも参加できるようなライブを開き、子どもファッションショーなどとジャンルも問わない。

 数々の試作を重ねたこだわりのアメリカンサイズのビックハンバーガーは、パテとソースにこだわり、とくにソースには、じっくり煮込んだミートソース。おススメは、特製3種類のチーズとオリジナルミートソースのバーガー420円、こだわりのチキンをサンドしたバーガー390円。厚切りベーコン、2段パテ特選チーズにアボガドのバーガーは1日限定30食1,200円。

 ランチは、11:00~17:00で、特製ミートソースにソーセージのシスコライスと特製チキンのチキンプレート。どちらもサラダとドリンクつきで650円など、オリジナルプレートメニューを用意。常にお客さんの要望に応えメニューを研究し、最近では、カレーやハヤシライスも完成した。

 バーは18:00~25:00で、アルコールとつまみを含めたメニューを用意。下からビールが湧き上がる“トルネード・ディスペンサー”は北海道初登場。カップを置くだけで、下から竜巻のように渦を巻きながらビールを注出する。2階は、2次会、3次会用の大型パーティールーム。巨大スクリーンとカラオケを完備し、50名まで入場可能で、スタンディングでは80名まで対応できる。

 代表は「小樽にないものを開きたかった。ロック繋がりで、いろいろな催しができればと思う。みんなで楽しめる場所を提供したい。ライブを見たことが無い人にも沢山来てもらいたい。12月22日には小樽出身のレゲエイベントを予定している。大いに盛り上がりたい」と話す。笑顔が優しい「GO-2 BASE」のマスター。

大型アメリカンバーガー&バー「GO-2 BASE」(ジーオーツーベース) ※閉店

ランチ:11:00~17:00
バー :18:00~25:00
0134-64-5264
小樽市花園3-1-5 GO-2 BASEビル

2012年11月のベストマスター
和菓子処 小樽つくし牧田

牧田 浩司マスター

 創業38年和菓子処「小樽つくし牧田」を経営する牧田浩司社長(51歳)は、東京生まれの小樽育ち。小学校6年生の時に、父が北海道にないものと干菓子製造卸販売業を始めた。夏休み・冬休みに家業を手伝っていた。物づくりが大好きで、美術が得意。趣味は絵を描くこと。手先も器用で、家業を手伝い和菓子職人となる。5年前に父が亡くなり、社長に就任。

 干菓子、上生菓子、焼き菓子の3種類を、厳選した材料を使い、丁寧に仕上げて販売している。茶席に使用されることが多い干菓子、上生菓子は、季節を前取りし、茶のしきたりに沿った、伝統的な模様や形を守り、継承している。抹茶には上生菓子で、煎茶には干菓子が使われる。10月は、茶席ブームで多忙だったという。

 また、年中行事に合わせ、月見饅頭やべこ餅、桜餅、うぐいす餅なども製造販売している。

 より良いものを追求し、ライン、表現、形にこだわり、あんこの加減、練り具合の難しさに、日々挑戦しているという。干菓子は通信販売を行い、道内各地から注文を受けている。注文を受けてから製造しているので、作り立てものが手元に届く。9月からは、練り切りを使用した直径16cm・高さ4cmの和菓子ケーキ(税込3,000円)も販売しているが、店頭以外にも、電話やインターネットで注文を受け付けている。

 小樽職人の会にも所属し、修学旅行生の体験制作グループに参加したり、また、独自に、小・中学校で練り切りの制作体験会出前講座を行ったり、旅行代理店からの依頼にも応じている。2年前から、道新文化センターで、饅頭を含め8種類を制作する「口取り」制作体験を開催。人気の講座で、今年も申込みを募ったところ、すぐに満員となった。

 牧田社長は、「体験会では、形を作る楽しさを知り、子ども達の笑顔を見て良かったと思う。一番嬉しいのは、当店の和菓子を食べて『美味しい』と言われること。小樽を代表するお菓子ができたら良いと思う。干菓子・上生菓子をメインに伝統を守り、ずっと継承し、より洗練させた物を作り上げたい」と話した。

 店頭には、季節に合わせた綺麗な色の和菓子が並び、人々に至福のひと時を提供し、今日も次の干菓子のデザインの構想を練っている和菓子職人「つくし牧田」の牧田社長。

和菓子処 小樽つくし牧田

小樽市花園5-7-2
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜日・元旦
電話:0134-27-0813
FAX:0134-27-1310

お店のHP
2012年10月のベストマスター
シロクマ食堂

本間 学マスター

 北運河沿いの小樽漁業組合の向いに、シロクマの暖簾とシロクマの看板が目立つ。今年1月に移転してきたメニュー豊富な「シロクマ食堂」を営む本間学さん(47)。

 小樽市梅ケ枝町生まれの手宮っ子。18歳で就職し埼玉へ。その後、三重、栃木、岩手、宮城と移り住んだ。

 サラリーマンを辞め、気仙沼で、海岸から歩いて5分の場所に蕎麦屋を10年間営む。本間さんは、3人兄弟の末っ子だが、両親のどちらかが無くなったら、故郷小樽へ帰ろうと決めていた。震災が起こる2年前に高齢の母のため小樽へ戻った。東日本大震災で店があった場所は、跡形もなく津波に流されてしまった。

 小樽に帰って来て、蕎麦屋をリサーチしたが、朝里川温泉スキー場近くの貸別荘ウィンケルに隣接した場所で、「シロクマ食堂」を2010年9月に開店し、今年1月に現在の場所へ移転した。

 シロクマ食堂とは、以前観た映画の「かもめ食堂」のように、いろいろな人が集まり、何かを求めて来店してくれるよう、要望に答えて何でも提供できるような店にしたいと名付けた。

 「何がおススメ?」とよく聞かれるが、それぞれのメニューに思いを込めて作っているので、これだとは言えない。マグロとアボガドの海苔巻、気仙沼でもヒットメニューで予約が必要。秋になるといも煮を提供。北海道のジンギスカンのような存在で、東北では定番の食べ物で、みんなが集まると必ずと言っていいほど提供される。醤油味でさと芋が入った豚汁風ではあるが牛肉を使用。これも自慢の一品。

 本間さんは、料理の調味料ひとつにしても、醤油醸造所まで行く程、とことん追求、知識が豊富。美味しい物を提供したいという思いから、手間隙惜しみなくかけている。料理や飲み水に使用している水は、真狩の湧き水を使用。この水を使用し美味しい炊き方でご飯を提供する。これも本間さんにしてみれば、ごく当たり前の範疇(はんちゅう)だ。

 料理もアートで、絵具は食材。同じ材料と器具を使っても同じものはできず、絵と同じだと言う。日々切磋琢磨し、商売仲間はいるけど、商売敵(がたき)はいない。レシピを公開し、真似できるなら真似してもらっていいとさらりと答える。市場で食材を仕入れ、その時にシーズンメニューを考え、旬の食材の食べ方を教えてくれる。

 食べたいものがあったら「シロクマ食堂」へ行って食べると、胃袋と心まで充たされ、男女問わずファンが多い。

シロクマ食堂

小樽市色内3-6-3
営業時間:11:00~22:00
定休日:不定休
電話:0134-31-4690

2012年9月のベストマスター
食事処 味乃華 ※閉店

須田 康孝マスター

 長崎屋小樽店(稲穂2)の裏口と向かい合わせにある「味乃華」の店主・須田康孝さん(63)。小樽生まれの小樽育ち。

 食べることも料理を作ることも好きだったため、サラリーマンを辞め、7年前から店主となって営業している。前店主が14年前にこの場所で定食と総菜の店を始め、2ヶ月間の引き継ぎの後、譲り受けて今日に至った。

 美味しい物を低料金で取り揃えており、常連客からは「この味でこの値段で、商売が続いていることが、小樽の七不思議のひとつ」とまで言われる。マスターのやさしい物言いに、女性フアンも多く、常連客の笑いがいつも絶えない。

 おススメは、定食600円(営業時間内対応)。魚か肉のどちらかをメインに選び、小鉢2品とご飯、味噌汁(おかわりOK)と、リーズナブルでボリューム満点。昼時は、サラリーマンやOLなどの会社員や、高齢者などが立ち寄る人気食。惣菜の量り売りもあり、主婦や1人暮らしの台所の助っ人としての役割も大きい。常時12~13品目の売れ筋惣菜を用意。肉じゃが100g150円、フキと竹の子の煮物、マカロニサラダ、ハンバーグ、焼き魚など平均100g200円。味は、常連さんの保障付き。煮物は味がしっかりしみていて、また食べたくなる、おふくろの味。昼も夜もこの店でという人も。

 毎朝8時前に出勤し、女性スタッフとひとつひとつ丁寧に惣菜を作り、11時開店の準備をする。マスターと女性スタッフの軽妙なやりとりが、店に笑いと明るさを倍増させている。

 晩酌セットは、生ビールに小鉢2品が付いて780円、ビール中瓶と小鉢2品780円、日本酒2合と小鉢2品で880円と、どれも良心的な格安値段だ。晩酌セットとなっているが、開店時からオーダーでき、常連客に人気が高い。新鮮さに気を使い、イカ刺しなどの生ものもうまい。また、味のしみた鯖の味噌煮は、とくに美味いと評判。味噌汁状態からとろみが付くまで煮込む熟練の味。米にもこだわり、雨竜郡秩父別町から、冷めても美味しいおぼろ月やななつぼしを仕入れている。弁当もその場の注文に応じている。オードブルも希望に応じ予約販売している。

 須田さんは「小樽は海産物が美味しく、物価も高くない。7年もやってきたが、大変なことは特にない。大変だったら辞めてるかな・・・?」と笑う。物腰が柔らかく優しい人柄の店主の味を知っている小樽人は、幸せ者と言える。ここには、まさに味の華がある。

 アットホームな雰囲気の食事処「味乃華」のマスター。

食事処 味乃華 ※閉店

小樽市稲穂2-10-5
営業時間:11:00~21:00(L.O)
定休日:日曜日と月曜日の振替休日
電話:0134-25-5562

2012年8月のベストマスター
小樽天狗山カレー&カフェ celan

佐藤 亜友太マスター

 小樽天狗山の麓に、6月1日にオープンしたカレー&カフェ「celan(ケラン)」の佐藤亜友太店長(31)。

 小樽生まれの小樽育ち。子供の頃は、よく怪我をする元気な少年だった。市内の飲食店で仕事をし、札幌ではカレー屋に勤めた。カレー屋の経験を活かし、小樽を盛り上げよう!地元で店を出したい!と、スタッフと3人で始めた。

 子供の頃の天狗山と言えば、冬のスキーシーズン、リフトには行列ができ、乗るために並んで待たなければならなかった。今では、そんな光景も見られない。天狗山の夜景は素晴らしく、こんな良い場所に、道内外からや、良さを知らない、また、忘れかけている市民に来てもらいたいと、天狗山の麓に店を構えた。

 開店まで4ヶ月足らずで、店内の改装も仲間の協力のもと、みんなで作り上げた。試食会を何度も開き、アンケートをとり、試行錯誤で味を作り上げ、開店まで休まず準備に没頭した。

 ケランという名は、美味しいという意味のアイヌ語「ケアラン」から名付けた。

 店の周辺にスケートボードの公園を作ったり、屋外で食事のできるスペースなど人が集まる場所を、仲間の手を借りて、現在作っている最中。

 佐藤店長こだわりのカレーには、スープカレーとルゥーカレーがあり、スープカレーは、とんこつ・とりがらをそれぞれ12時間以上じっくりと煮込み、独自に配合したこだわりのスープに、トマトの甘味と酸味が利いたマイルドなトマトスープと11種類が入ったスパイススープのどちらかの味を選ぶ。辛さは1から10まで。店長おススメは、「ほろほろチキンと野菜のスープカレー」1,180円。

 ルゥーカレーは、水を一切使わない無水カレーで、野菜の水分のみで出来ている。辛さは1から5まで。店長おススメは「緑の大地のカレー」850円で、ほうれん草のソース入り。ライスのサイズも選べ、野菜やチーズのトッピングもできる。

 ランチは11:00~14:00、カレーメニューにコーラ、コーヒーなどドリンク無料。また、コーヒーにもこだわり、カレーに合う味を焙煎して提供。どうせ出すなら美味しいものをとこだわっている。

 開店時は駅前で、これ以上出せないという大声で「最高のロケーションでスープカレーを食べませんか?」と、インパクトのある宣伝をしたり、地域住民宅へ直接訪問し宣伝した。宴会も15名までOK。予約に応じて、営業時間外でも受け付ける。

 佐藤店長は「常に美味しいものを提供できるように試行錯誤し、完成品なんてないと思う。新メニューの開発も考えている。将来的に、この辺一体で、天狗山を盛り上げるためのカフェを展開していきたい」という。

 小樽を活気づけよう!小樽のシンボル天狗山を元気にしよう!と「celan」
のエネルギッシュなイケメンマスター。

小樽天狗山カレー&カフェ celan

小樽市最上2丁目16番21号
電話:0134-26-6995
FAX:0134-26-6997
営業時間:
11:00~14:00(lunch)
14:00~18:00(tea)
18:00~21:00(dinner LO~20:30)
定休日:なし

お店のHP
2012年7月のベストマスター
カジュアルバーA(エース)

梅澤 雄一マスター

 おたる屋台村レンガ横丁にあるカジュアルバー(気楽な酒場)「A(エース)」のマスター梅澤雄一さん(41)。

 横浜で生まれ育ち、小さい頃からスイミングとエレクトーンを習い、中学まで過ごす。その後、東京に住み、ずっとアパレルの問屋で仕事をしていた。3年前に北海道に移住し、ビール好きが高じて自分の店「ビアバー」を持ちたくなった。入口を一歩入った瞬間から、店の雰囲気が分るような店舗を探した。すすきのも考えたが、小樽で店を探しに来たところ、一目でレンガ横丁が気に入り、開店へと話が進み、一昨年の12月1日に開業した。

 店名の「A(エース)」は、1番目の文字を考えた時、アルファベットの「A」が思い浮かび、エースの意味も含め名付けた。店の特徴は、世界のビールが30種類以上あり、各国のビールを味わうことができる。酒に合うフードメニューも用意。人気の厚切りベーコンやソーセージ盛り合わせ、パスタもある。料理好きのマスターが腕を振るい提供してくれる。

 おススメビールは、メキシコ産の「コロナ」。グラスにライムを刺し、軽めのさっぱりしたビールで人気。ドイツ産の「サリトス」はテキーラとライムを加えた、甘めで女性向き。現在、マスターのマイブームは、イギリス産の「バスペールエール」。独特な風味と味わいを楽しめる。国産生ビールや、軽井沢の「よなよなエール」、川越の「コエドビール伽羅」などの地ビールもあり、その他、日本酒、梅酒、リキュールを取り揃えている。

 マスター自らビールバーを回り、直接情報を見て聞いて確かめ提供している。お客さんからの海外情報の提供も参考にしている。「見てるのと実際に店を持つのとは違ったが、楽しく営業できればと思う。小樽で開店して良かった。小樽住民がみんな良くしてくれている。屋台ということもあり、カウンターに座り、店内で知り合い、みんな友達になれる。できればもっとビールの種類を増やし、皆さんに提供していきたい」と話す。

 物腰が柔らかく長身でおしゃれな、レンガ横丁「A」のマスター。

カジュアルバーA(エース)

小樽市稲穂1丁目4番15号レンガ横丁
電話:070-5611-8665
営業時間:18:00~
定休日:日曜日

2012年6月のベストマスター
華かぐら

藤田 和久マスター

 花園繁華街にある「華かぐら」の店主・藤田和久さん(49)は、小樽生まれの小樽育ち。

 父親が、現在の店舗場所でずっと飲食店を経営し、その背中を見て育つ。高校卒業後、札幌パークホテルへ就職。和食の修行が始まる。3年後に退職し、40歳まで、札幌・小樽の17店舗を回り料理経験を積んだ。「かに家」「小樽貴賓館」「天望閣」(現ホテルノイシュロス小樽)などで勤務し、和食料理長を務めた経験もある。

 札幌パルコの和食屋に勤務していた頃、妻の真貴子さんと出会い結婚。一男一女をもうける。平成17年2月に花園公園通り商店街に「旬菜」を開店し、旬の野菜と惣菜を中心とする店を経営した。その頃から真貴子さんも店を手伝ってくれるようになった。

 平成20年12月に、父親の飲食店の場所を広げ、姉妹店として「華かぐら」を開店する。隠れ家的ながら華があり、個室ではお客さんの華を出す、という意味を込めて店名を決めた。平成22年に「株式会社旬菜」を立ち上げ、代表取締役に就任した。現在は、「旬菜」を閉め、「華かぐら」1軒に全力を注いでいる。

 旬の物を出し、今の時期のおススメは、山菜や小樽産のうに、マガレ、いさきなど。地元客相手なので、小樽産だけでなく、本州の魚を提供すると意外に喜ばれるという。

 「エスカロップ」(豚カツにドミグラスソースかけたもの)や、「ジャグラチーズ焼き」、「八角から揚げ」が人気メニュー。秘伝のドミグラスソース作りは、現在も父親に協力してもらっている。冬の寒い季節は、真狩産のハーブ豚のしゃぶしゃぶが人気。予約は、2名から36名まで受付け、完全個室となっている。

 藤田さんは、「一見、固そうな店に見られがちだが、アットホームな雰囲気で居酒屋感覚で来てもらいたい。料理は常に進化しているという気持ちで、新しい物を追うためにも勉強し、知識を広げようと意識している」と話す。

 現在、小樽割烹調理師会支部長を務め、割烹業界のまとめ役となっている。料理に妥協を許さない割烹職人気質を見せながらも、笑顔の優しい、気さくな「華かぐら」のマスター。

華かぐら

小樽市花園3丁目2番9号
電話:0134-27-8596
FAX:0134-23-1955
営業時間:18:00~24:00
定休日:不定休

2012年5月のベストマスター
居酒屋ラーメン 斬

木村 圭一マスター

 旧手宮線にいい香りを漂わせている「ラーメン居酒屋斬」は、今年2月にオープンした。

 店長の木村圭一さん(38歳)は、札幌生まれの札幌育ち。現在は、小樽市星見町に住む。高校生の時から自分で店を持ちたいと思い、高校卒業後、父が経営する居酒屋で、自分のスペースを持ち、バーを開いていた。その後、ホテルへ就職し、宴会料理を担当したり、和・洋・中の調理人として働いた。

 洋食の先輩が山岡家へ転職し、何度か山岡家へ食べに行くうちに、山岡家のラーメンに惚れ、自分も山岡家へ転職した。店長として6~7年間働いた中で、ラーメン店のノウハウを学び、他にも3店舗を回り学んだ。4店舗のラーメン店の良い所取りのラーメンを作り上げ、3年前に小樽出抜小路で、念願のラーメン店を構えた。そして、今の店舗に移転し、現在に至る。

 店名の「斬」は、斬新の「斬」を取り、人と同じことが嫌いで変わったことをしようと名付けた。その変わったこととは、とても辛いラーメンや特大ラーメン「爆斬麺」で、通常サイズの3倍の量。これをクリアした人のみ挑戦できる「スーパー爆斬麺」もあるが、今はまだ挑戦者は出ていない。

 ラーメンの特徴は、とんこつベースに鶏、魚介、豚足を入れ、コラーゲンたっぷりのラーメン。女性のお客さんから、化粧のりが良くなったと言われ好評だ。どんぶりを十分に温めて、より熱々の状態で提供している。また、子どもから年配者まで、どんな要望にも応えようと、細部に渡り気遣いを怠らない。

 おススメは、塩ラーメン780円。ランチセットは、ラーメンとミニチャーシュー丼、ミニから揚げ丼、マヨチャーシュー丼などを組み合わせ850円と人気が高い。夜は居酒屋をメインに、ラーメンも提供する。

 おススメは、手羽先揚げ3本で400円。特製タレに漬け込み、粉をつけて揚げ、表面はサクサク、中はジューシーで美味しい。

 木村店長は、「出抜小路では、観光客がメインだったが、ここでは、観光客だけじゃなく、地元の方々と語り合いながら、小樽の活性化に一役買いたい」と話す。

 「自分の夢が実現したが、でもここからがスタート」と言う、妥協をしない居酒屋ラーメン斬のマスター。

居酒屋ラーメン 斬

住所:小樽市色内1-14-10
電話:070-5065-7435
営業時間:11:00~14:00、17:00~21:30(LO)
定休日:日曜日