鈴木 智郎マスター
旧手宮線沿いの色内駅付近に建ち並ぶ店舗群に、黒い外壁が目印の「中華食堂くろ」が、昨(2015)年8月にオープンした。
その店主・鈴木智郎さん(48)は深川市出身で、小樽に移住して1年目。今年は雪が少なく、豪雪の冬の小樽は未経験。
子どもの頃から料理に興味があり、富良野プリンスホテルで修行を積み、調理人の道を脇目も振らずに歩み続けた。3年前から自分の店を持ち、中華のこだわりメニューを次々と考案してきた。
店内は、カウンター席とテーブル席を合わせ、10席のこじんまりとした隠れ家的な店。妻と2人で切り盛りしている。
小樽に店を出すきっかけは、「小樽が好きで、ずっと小樽に住みたいと思っていた。海や山があり、みんな頑張っているところも気に入っているので、小樽に骨を埋めたい」と、小樽にどっぷり惚れ込んでしまったようだ。
店名由来の黒という色は、他の色に染まらない色で、店も他の色に染まらないままでいたいという思いが込められているという。
鈴木さんのオリジナルメニューは、中華料理屋さんだけど、人気の“とんかつ”だ。とんかつの衣に干し海老を入れ、カキ油と紹興酒をベースにブレンドしたオリジナルソースで食べる。
メニューはすべて食材から手間暇かけて調理したものばかり。中でもしめ鯖は、山椒入りのソースが絶品。エビチリソースなど中華定番のメニューも揃え、店内には、鈴木さんが手書きしたメニューが、壁一面に分かりやすく書かれ、どれを頼もうか迷ってしまいそうだ。
小樽のソウルフード“あんかけ焼きそば”もあるが、小樽あんかけ焼そば親衛隊の味とは違った、当店ならではの味付けだという。
長年の経験を生かし、中華に合うワインや日本酒も揃えている。滋賀県の純米吟醸造「萩の露」は、芳純な味と香りが料理に合うそうだ。
「大皿に入った中華料理とは違って、いろいろな中華をワインや日本酒と一緒に味わってもらいたい。ひとりひとりへ心のこもった料理を提供し、皆さんに中華を楽しんでもらいたい」とPRした。
小樽の人に支えられていることを日々実感し、「美味しい!」と言われるのが、なによりだという鈴木さん。職人気質で真面目な人柄を感じさせる。
小樽に新しい中華料理店の誕生だ。10席のため、事前に予約した方が確実に入店できる。