中森 信人マスター
小樽市民の台所・小樽中央卸市場内に店舗を構える「硝子工房NAKAMORI」代表の中森信人さんは、大阪出身の36歳。
子どもの頃から、人と会話するのが好きで、よく人を笑わせていた明るい少年だった。専門学校へ進学し、プロダクトデザインを学ぶ。ガラス工芸コースの授業の中で吹きガラスを体験し、ガラスの魅力に取り憑かれた。小樽のガラス工房からの求人があり、迷わず就職を決め、卒業と同時に20歳で小樽へ。
祝津と臨港線にあるガラス工房で5年ずつ修行した。小樽の雪を見た時は、雪の中へダイブし感動したが、就職先の工房の雪かきは辛かった。でも、小樽は海と山に囲まれ四季があり、景観も良く歴史的建造物などの建物も素晴らしく、好きな町だという。そんな小樽に移住し、今年で16年目となる。
29歳でガラスが縁結びとなり結婚。2007年12月に工房を開店。同市場を店舗に選んだ理由は、「まずは、地元の人に買い物ついでに小樽のガラスに触れられるよう、市場内にガラス工房があれば、より身近に感じてもらえるのでは?」と考えた。
市民が“小樽はガラス工房が多い町であること”を改めて認識し、全国へ広がってもらえればと、市場の店舗を知人に紹介してもらい、天井の高さや雰囲気も気に入った。市場の中では異業種で、みんなの理解があって開店することができたという。
ガラスへのこだわりは、ガラスの綺麗さ・透明感を活かし、ここの工房だけで作った製品を販売。ひとつの作品で2度楽しめる物。使っても良し、飾っても良しを心がけている。
ガラス職人の修行は、ここで良いというのはなく、常に修行中だという。作品の構想は、日常生活の中で、ふと頭に浮かび、ひらめいたものをメモしている。グラスも好きだが、ガラスの塊を形にかえたオーナメントなど、ひと工夫したものが好き。たとえば、牛のペーパーウエイトは写真立てやカード立てにも使え、いろいろな用途に使ってもらえれば満足!
当店のおススメは、吹きガラス体験で、限られた時間ではあるが、制作工程の中で、ガラスの変化を楽しんでもらいたい。溶けたものが形になり、徐々に冷めて硬くなっていく。最初から自分で隅々まで体験することに意義があり、手作り感満載の体験となっている。
グラスと一輪挿しの2種類を用意。どちらも2,625円で、作品は後日郵送(別途郵送料)。小樽駅から徒歩3分と便利。是非、多くの人に吹きガラスを体験してもらいたいと呼びかけている。
ガラスに惚れて小樽に移住し、大阪なまりを感じさせない。物腰の柔らかい中森さんは、修行時代も、店を出す時も、店を続けるにも、努力家のガラス職人だった。