高野 泰光マスター
酒歴40年。サンモール一番街の寿司屋通り角で、「酒商たかの・隠れ蔵」を経営する。全国200品種の酒を取り扱っている。
ベンジー高野商事株式会社の代表取締役社長(61)。大卒後、緑町の実家の日用雑貨卸の二代目を引き継いだ。平成5年の100均ブームを機に、日用雑貨・青果・食品の100円ショップ「ベンジー」を小樽にオープン。
“地域に根ざした店”を合言葉に、市民に格安商品を提供する。「卸売しか知らなかったので、大変だった。市場を回ったり、農家に足を運んだり、一番苦労したかな」と振り返る。今では、小樽市内に4店舗構え、従業員は40人になる。
地酒専門店・酒商たかのは2年前にオープン。鹿児島の蔵の人と話している中で、「地酒専門店で大事に売ってくれないと卸せない」と言われたので、すぐに専門店をオープンすることにした。
「お酒で日本と付くのは日本酒だけ。“日本酒は文化”だ。日本の伝統の米から作られ、杜氏の腕と蔵元の浪漫、ポリシーから出来上がる。酒屋がつぶれる時代に、地酒専門店を開くのかと反対もされたが、ベンジーでは安く酒を提供するだけで、うんちくを語ることが出来なかった」と語る。
オープンしてすぐに、一度断られた鹿児島の酒造元に連絡したところ、「まさかやるとは思わなかった。すぐに酒を送ります」と快く応じてもらい、契約成立。特約店がないままの地酒専門店のオープンだったが、あれよあれよという間に、八海山や麒麟山、舞姫など名だたる日本酒の特約を取った。今では100品種の酒を販売する。
「酒に関しては40年の歴史を語ることが出来る。全国各地の酒蔵の思いと味を伝えたい。飲んだことのないお酒を購入する時は、みんな僕の説明に騙されてしまうと思ったから、その人の好みの味を感じてもらうために2階にテイスティングバーを設けた。自分に合った酒、人に贈りたい酒を探してもらいたい」と、テイスティングバーでの試飲は、200品種にも及ぶ。1杯200円から1,000円で、有名・無名関係なく良い酒を置いている。
ラッピングにもこだわりを持つ。地酒専門店を助けるため、妻がラッピング講師の免許を取得。「妻に助けてもらって、ちょっとおしゃれなラッピングに力を入れている。包装はかなりの武器になっている」
100円ショップと地酒専門店の5店舗を経営しながら、小樽の街の活性化も目指している。「微力ながら小樽のため、小樽市民のために頑張っている。基本は、また来店してくれるリピーターが出来る店。商売というのは、やろうと思えば出来るが、リピーターに来てもらわないと中々儲けに繋がらない。儲けというのは、お客さんに喜んでもらって、満足してもらってついてくるもの。市民ばかりでなく、観光客にも親切にしようと心がけている。道案内でもなんでもする。そうすれば、その人たちもリピーターになってくれる」
生まれ育った小樽で商売繁盛を目指し、小樽活性化の一助にも繋げようと日々奔走する。「小樽市民として、みんなにいらっしゃいませを伝えなきゃいけない」