小泉 彰マスター
「小樽の山・海・坂が好き」とニッコリ笑う。旧丸井今井の並びにある、昔ながらの洋食レストラン「ビストロ小泉」(稲穂1)のマスター。
昔の小樽は貿易港で栄えていて、洋食レストランが多かったという。「こういった店が小樽から無くなると、小樽はダメになってくる。だから小樽を活気づけたいと、この店を続けている」
小泉さんは小樽入船出身の50歳。桜陽高校を卒業し、「東京に出て成功しよう」と、東京の美大に進学した。舞台照明やCMの美術部門などのアルバイトで学費を稼いだ。
大学を中退し、立体アニメーション作家の下で助手を経験していた。「ゆくゆくは小樽に戻って喫茶店などのような店を開きたいと思っていた」
24歳で小樽に戻り、スパゲッティ屋「叫児楼」で修行を始めた。将来の自分の店の候補地を探しながら、「叫児楼」の代表を任され、1日300人もの客を捌いていたという。
1990年3月、念願が叶い、「ビストロ小泉」をオープン。「小樽にはたくさんの洋食レストランがあったから、それを無くしたくないのが生き甲斐でやってきた」と、この熱意が雑誌などに何十回も取り上げられるようになり小樽の有名洋食レストラン店に。
小泉さんが作るスパゲッティには、昔懐かしい味と愛情がふんだんに注がれている。そして、小泉さんが「余計な味を取り除いてきた」と、約20年間常に工夫してきた、タケノコとキノコが入ったハヤシライスは絶品で、評判が高い。ビストロ小泉といえばハヤシライスと言われるほどに。
店内は、小泉さんがデザインした内装や木のテーブルとイスを揃え、時間が経てば経つほど味が出るように、小樽が栄えていた時代の雰囲気を思い出させる工夫がされている。
「店をやってきて辛かったことはなかった。やろうと思う目標があれば辛いことはない。だからこの店が出来たんだ。これが僕の財産だ」と毎日腕を振るう。
伸ばしたヒゲとメガネの奥からの優しい目線の人なつっこい笑顔が、人の良さを感じさせる。ビストロ小泉のヒゲのマスター。