ベストママ

2009年4月のベストママ
Verre Bois (ヴェール ボア)

智 祥(ち しょう)ママ

 JR南小樽駅に近い、カフェ&フラワーショップ「Verre Bois(ヴェール ボア)」のママ(40)。

 昨年6月、夫の森義仁さんと一緒に喫茶とフラワーショップをオープンし、四季折々のフラワーアレンジメントやブーケ、ガラス製作などを行っている。

 小樽市出身。高卒後、親の勧めで看護師の専門学校へ進学したが、「病院の試験は合格したけれど、国家試験は不合格で、東京へ逃げたの」

 しかし、母親からは「すぐに帰って来い」と言われ、逃亡生活も数ヶ月で終わり、小樽に戻ってきた。その後、フラワーショップに勤め、「幼少の頃から物を作ることが好きだったから、花に触れることが面白くなった」と、アレンジメント教室に通い、修業のために再び東京へ。

 「素晴らしい先生に出会えて、勉強がとても楽しかった」と、勉学に励んでいたが、23歳の時に、母親が癌で余命半年と診断された。「東京の占い師に、私が帰れば治ると言われ、親孝行もしていないから、半年だけでも帰ろうと思って戻ってきた」と帰省。帰ってみると、「手術後の容体が快復し、余命半年だったはずが、10年以上も生きている」と嬉しそうに話す。

 「二度東京に行ったが、結局、小樽に帰ってくることになって、よっぽど縁があるのか、小樽から出られないのよ」と笑う。

 再び戻った小樽で、ガラス作家と知り合い、北一ガラスに就職。働きながらガラス製作技術を覚え、7年前に独立。工房を開いて、動物などの可愛らしいアクセサリーを造った。

 昨年、夫と一緒にカフェ&フラワーショップを開き、店名をフランス語でガラスの森の“ヴェールボア”に。

 「時間もないし、収入が中々上がらないが、お客さんのバックアップがあって、すごく助かっている。チラシを持ち歩いてくれたり、新しいお客さんを連れてきてくれたりする。おかげで少しずつお客さんが増えてきた」

 花とガラス作品を合わせて絵本を作ることが趣味で、コンクールにも出品している。明るいその人柄と花とガラスの作品が、訪れる客に元気を与えている。

Verre Bois (ヴェール ボア)

小樽市住吉11-10
営業時間:
10:30~16:00 フラワーショップ
10:30~17:00、18:00~21:00 カフェ
定休日:不定休
0134-23-6411

2009年3月のベストママ
ラウンジ アンジェラス

村田 美貴子ママ

 小樽花園の飲食街で高級感を漂わせたラウンジ「アンジェラス」のママ。持ち前の明るさで、幅広い客層に親しまれている。

 生まれも育ちも生粋の小樽っ子。19歳で子宝に恵まれたが離婚、女手ひとつで息子と娘を育て、現在は6ヶ月になる孫もいるという、47歳の若いグランドマザー?!。

 子供をひとりで育てるために、昼はOL、夜はスナックで、20年間働き続けた。「眠る時間はあったけれど、確かに体は疲れたが、若かったから出来たのね」

 ビルのオーナーから誘われたのがきっかけで、2007(平成19)年11月に店をオープン。8年間働いていた“ノクチューン”のママに憧れており、着物姿での接客に努めている。

 カウンターを大理石風に、エルメスのスカーフを額に入れて壁に飾り、落ち着いた雰囲気を演出している。客との会話を大事にしたいとカラオケを設置していない。客がゆっくりと落ちついた時間を過ごせるように低い椅子を採用し、BGMには、静かなジャズが流れる。オリジナリティにこだわり、ススキノのクラブに足を運ぶなど、店に工夫を凝らすのに余念がない。

 「目立ちたがりで、女優になりたかったの。今年からミスおたるの年齢制限が緩和されたと聞いたので、応募してみようかしら」。本気か冗談かと、明るい性格のママと美人スタッフたちの笑い声が店内に響く。

 「一生、店を続けたいと言った事もあったけど、お嫁にも行きたいの」と、現在恋人募集中だ。

 店名のアンジェラスは、ラテン語で“天使”。「店の名前を考えていた時に、友人からのアドバイスをもとに“天使”というフレーズにこだわって、インターネットで様々な言語の読み方を検索したの。ようやく、行き着いたのがアンジェラス」

 「一生、店を続けたいと言った事もあったけど、お嫁にもいきたいの」と、現在、恋人募集中とのこと。「7人の天使ちゃんたちとお待ちしております」と、大きな瞳を細める。

ラウンジ アンジェラス

小樽市花園1-9-15 TOMITA8ビル1F
営業時間:19:00~25:00
定休日:日曜日・祝日
0134-33-0204

2009年2月のベストママ
きまぐれ趣味好房

七尾 真由美ママ

 年に1回しか来ないお客さんでも、昨日会ったかのようにフレンドリーな接客に努めたい。独特のイントネーションの山形弁で語る。

 小学校からの夢“給食のおばさんになりたい”を目指して、山形の高校を卒業するとすぐに調理師免許を取得。憧れの元歌手・女優の山口百恵が幼少期を過ごした横須賀に移り、大手企業の社員食堂で働きながら腕を磨き、地元・山形に戻って飲食店をオープンした。

 転勤で山形県に移り住んだ小樽出身のご主人と出会い、結婚。長男が生まれると、山口百恵の長男と同じ名前の“祐太朗”と名づけた。

 5年前に、ご主人の実家の小樽の地へ。市内の洋食レストランや和食料理店などでアルバイトをしながら、料理のバリエーションの幅を広げた。「若い子の悩みを聞いてあげるのが好きで、お金のない学生や高校生に、お腹いっぱい食べてもらえるような店を開きたい」と、昨年5月、長崎屋から都通りに向かう小路に店をオープン。

 「趣味みたいにきまぐれにやって、小樽のお客さんが集まって和気藹々と楽しめる店にしたい」との想いから、店名を“きまぐれ趣味好房”に。

 「お客さんとコミュニケーションを取りながら楽しく営業している。お客さんから『おすすめは?』と聞かれるけど、お客さんによって味覚が違うから、まずは好きな品物を注文してもらって、次に何が食べたいか聞いて、お客さんが求めるものを作るようにしている」

 「小樽には、古い建物があるので、お金があればそういったところでオープンしたかった。でも、都通りに近い良い物件が見つかり、店もそんなに大きくないから、人件費もかからないので、なんとか値段も抑えられる」。昨年小樽に引っ越してきた実母と、アルバイト1人の3人で営業。定食や丼のメニューは、1コインの500円から1,000円以内。

 趣味の洋裁で、店内の暖簾や飾り物もすべて手作り。「素敵ねって良く褒められるの」と笑みを浮かべる。

 “笑って生きる”がモットー。山形弁の独特のなまりで客を和ますママ。

きまぐれ趣味好房

小樽市稲穂2-14-17
営業時間:11:30~20:00
定休:日曜日・祝日
0134-24-7717

2009年1月のベストママ
おいしい手づくり工房

鏡 幸子ママ

 小樽の野菜も美味しいのよね。旧丸井今井跡のサンモール・ネオ地下1階やアーケード、市内各地のフリーマーケット会場で、小樽産の野菜で作る自家製漬物を販売する。

 「今日も良く漬かってるよ。買っていかないかい」と、元気良く買物客に声をかける。「小樽にも畑がいっぱいあって、小樽の野菜が売れないと農家さんたちも美味しい野菜を作ろうと思わなくなる」と話す。

 釧路生まれ。20年前に、見合い結婚した主人の住む街・小樽へ。フリーマーケット愛好会の代表として、68グループを束ねて、市内各地で催しを開き、自家製漬物や衣類などを販売してきた。

 「市役所の環境部の呼びかけで、私が代表になって愛好会を結成することになった。発足当初、年間20万円の助成金が出ていたが、18万円、16万円と減額され、最終的には無くなった。助成金の代わりに、産業会館のスペースを無料で貸してもらうという話になったが、駐車場などの問題で苦情があり、開催場所も限られ、泣く泣く愛好会を解散することになった。

 この後、サンモール・ネオの地下1階に一坪ショップ「おいしい手づくり工房」を開店し、漬物を専門に販売しながら、海のイベント「マリンフェスタ」や「ベイエリア」、「雪の花酒造の蔵まつり」などに参加し、仲間とともに小さなフリーマーケットを開催する。

 「サンモール・ネオの地下だけでは人出がなく売上げも見込めない。アーケードの一角に小さなワゴンを設置して、販売も行っているし、色々なイベントにお誘いを頂くので、なんとかお客さんのいるところへ出向いて販売しているが、利益が上がらない」と肩を落とす。

 「小樽の水は美味しいから、野菜もみずみずしく、やわらかくて甘い。美味しい小樽産の野菜で作った漬物を少しでも多くの人にアピールしたい」と話す。小樽産の野菜の漬物の販売は11月から3月まで。おすすめは、大根ときゅうりの酢漬け・醤油漬・カス漬など。200g・200円。

 一坪ショップやフリーマーケットのほか、「何か自分で社会貢献をしたいと思っている」と、市の女性国内研修の修了生で組織する「ネットワーク・らん」で、勝納のフェリーターミナルで花畑作りを実施している。「小樽港の景観をきれいにしたい」と、フリーマーケットの販売収益を材料費に充てている。今後は、花畑のことを知ってもらおうとライブを行う予定。ライブとともに北防波堤の歴史を知らせるようなことも考えているという。

 フリーマーケット活動で小樽や社会のためにと日々活動する、小樽産漬物屋「おいしい手づくり工房」のママ。

おいしい手づくり工房

小樽市稲穂1-4-1 サンモール・ネオ地下1階
営業時間:10:00~19:00
定休日:土・日曜日

2008年12月のベストママ
酔魚(すいぎょ)

清水 華代ママ

 「秋深し 桜木落葉 通り道 人生航路 華模様」

 詩を書くことが趣味で、小樽の街を歩きながら、時の流れを感じているロマンチスト。亡くなった夫が愛した酒と魚釣りから作った「酔魚」の看板を背負い、30年間、小樽花園の街でスナックを営んでいる。

 「夫がもうだめだという時にオープンしたの。最初は、酔う魚という店名は良くないと言われたけれど、主人の大好きだったものを残したくて付けて営業したら、やっぱりそれが良かった」と話す。

 花園ガード下の6坪の小さな店から始まった。水割りの作り方も知らず、従業員たちに教わりながら、一生懸命に商売に取り組んだ。ママのおしとやかな雰囲気に誘われ、舌好調な冗談を求める客で、店内はいつも満席だった。

 仕事一筋で13年、知人の紹介で現店舗に巡り合い、細部にまでこだわって店内を改装。最初の店より4倍もある23坪の店となり、テーブル・カウンター合わせて70人入ることが出来るようになった。「頑張って稼いだお金で、広くて素敵なお店にしたの」

 カウンター内は一段低く、客と同じ位置で顔を合わせるような工夫を凝らしている。「お客さんを見下げるのではなく、同じ目線で会話を弾ませたかったから」

 自慢は、5年前に導入した100インチの大画面と大スピーカーによるシアターシステム。「歌が下手な人でも上手に聞こえるのよ」とほほえむ。女性スタッフとデュエットする目的で訪れる男性客も多い。女性の団体客の利用もあり、一人で安心して入れる店としても有名だ。

 「男のお客さんも女のお客さんも、みんな仲良く楽しめる。喜んで帰ってくれることが一番。楽しんで帰ってくれなかったら、その日は眠れない」

 カラオケやボーリング大会など幅広くイベントを開催。ただ、第1回のボーリング大会の優勝者は、KY?な従業員だっという話もある。

 素人でスナックを始めて、すでにこの道30年のベテランママ。小柄で可愛らしい、おっとりとした口調から出る冗談で、賑やかな雰囲気を演出する。

酔魚(すいぎょ)

小樽市花園1-9-6 小川ビル1F
営業時間:19:00~25:00
定休日なし
0134-32-5985

2008年11月のベストママ
Pal Place(パルプレイス)

荒井 一美ママ

 小樽の繁華街の花園でも目立つ“ド派手”なオレンジ色の建物の2階にある「Pal Place(パルプレイス)」のママ。客との気楽な掛け合い漫才で、明るい笑いが絶えないスナック。

 23歳の時に友人に誘われて夜の世界に入り、今年で10年目。今秋9月から店を開き、経営者として一人立ちした。

 両親の帰りが遅く、弟の面倒をみながら、小学校から料理を作り始めた。今では、料理が得意中の得意になった。ぬたやいくら醤油漬け、煮付け、おでんなど色々なつまみを手作りする。知人の漁師から届けられる新鮮な魚で作る料理には、ファンが多い。1,500円のチャージ料のみで、つまみは何品でも。材料さえあれば、客のリクエストにも応える、臨機応変さがある。

 店内は、落ち着いたピンクと茶色を基調とした雰囲気で、カウンタ7席とテーブル2つの12席のこじんまりとした店。「店内のお客さんの様子を全部見渡しながら、アットホームな感じで話せるようにしたかった」

 客のボケにツッコミ、間を取るタイミングが絶妙で、客との夜の会話を盛り上げる。ママの明るい人柄と若いスタッフの魅力に誘われて、客が鼻を伸ばしに集まる。置きボトルは、オープンから1ヶ月で130本にもなった。「店を開いて1ヶ月、ただただ一生懸命頑張った感じ」

 「自分が楽しければお客さんも楽しいと勘違いしたこともあった。たまに、お客さんが笑っていない時があると気がついた。お客さんに、ここはダメと教えてもらって助けられた」と話す。

 仲間が集まる場所という意味の『Pal Place(パルプレイス)』には、ママの手料理と若いスタッフとの会話を楽しみに、幅広い世代の客が足を運んでくる。中には、夜の食事を目当てに来る客もある。

 宇多田ヒカルの歌が得意で、客や従業員からも絶賛される。名前の一美(ひとみ)の“ひっと”とあだ名で親しまれる。33歳、今が旬のママ。

Pal Place(パルプレイス)

小樽市花園1-11-21
営業時間:19:00~2:00
定休日:なし
0134-34-0700

2008年10月のベストママ
カラオケLEAGUE(リーグ)

石川 久美子ママ

 小樽の花園飲食街で、カラオケ好きなら知らぬ人はいないカラオケ店「LEAGUE(リーグ)」の店長。

 同店は、花園公園通りと花園ネオン街のどちら側からでも入店でき、毎夜、地元客の歌声が花園に響き渡る。

 小樽出身の店長は、7年前にアルバイトとして同店で働き始め、5年前に正社員、3年前に店長に昇格した。「地元のお客さんで、私を見たことがないと言う人はいないはず」とニッコリ。

 店長になってから携わった経営だが、一時、大手カラオケ店の進出などで苦しくなり、頭を悩ませたこともあったという。

 しかし、清潔をモットーに、掃除を徹底し、スピーカーなどの音響や接客にこだわりを持って営業を続けたことで、今では売上げも回復傾向にある。「地元のカラオケ店だから、地元客に愛されるように頑張った」

 「現場能力ならどこにも負けない自身がある。小樽のお客さんは、顔なじみの方がほとんどなので、マニュアル通りに接客をしていては、臨機応変に対応出来ない。接客の仕方は、スタッフの個々に違うが、お客さんには好まれている」と自信を見せる。

 接客業は高校生の時に少し経験しただけだが、今では、接客にとことんこだわり、「接客業が趣味。楽しくて楽しくて」と目を輝かせる。

 客は30~50代が多く、花園飲食街にある店だからと、飲み物にも気を使う。「絶対、出来あいの業務用カクテルは出さない。どんなに忙しくても、本物のリキュールを使って飲み物を提供する。リキュールの値段も上がっているが、楽しんでもらいたいから頑張る」と話す。

 大手カラオケ店の進出が多い中、地元客に喜んでもらうようにと懸命に努力を続ける接客好きの店長。

カラオケLEAGUE(リーグ)

小樽市花園1-11-10
営業時間:平日・日曜日12:00~翌3:00(受付2:00まで)
金・土・祝前日12:00~翌5:00(受付4:00まで)
0134‐25‐3378

2008年9月のベストママ
ダイニングバー 月の中

木村 幸ママ

小樽・札幌の数々のレストラン修業で、いろんなシェフの技を盗んで、自分流にアレンジしたイタリアンが自慢。旧手宮線沿いにあるダイニングバー『月の中』の店長。

 小樽出身の31歳。高卒後、舞台照明の専門学校に通い、講師の「どんなに感動するライブでも、照明がないと始まらない」の言葉に感動するが、照明の仕事を始めるも半年で退職。ホテルやパチンコ屋でアルバイトを転々としていた。

 友人と訪れた緑町のレストランでココナツムースに出会い、その美味しさに感動。“食べ物で人にも感動を与えることが出来るのか”とケーキ屋でパティシエ修行をすることにした。

 しかし、修行していたケーキ屋が、大量生産型に移行しはじめ、技術を学ぶことが出来なくなり、やむなく退職。辞めたその日に、ココナツムースを食べた店のシェフにバッタリ遭遇。寿司屋通りにあった海猫屋2号店で働くことになった。魚おろしやブイヨンの取りかたなど、調理の基本的なことからみっちり学んだ。このシェフの引退と同時に同店を辞め、今度は「ミクニ
サッポロ」に。

 昨年7月から、「月の中」の店長となった。昼と夜、調理とホールを1人で切り盛りする。忙しい時は、1階・2階・テラスの約30席を行ったり来たり。ちょっと店が落ち着いた時に、手宮線に住む猫たちが訪れ、至福の時を感じている。

 「最初はがむしゃらに頑張った。行った先のシェフの技術の良い所取りをして、自分流にアレンジした。トマトとモッツァレラのジェノベーゼがおすすめ」とニッコリ。3人前と1.5人前のスパゲティを10種類、このほか前菜やピッツァもある。

 パソコンが苦手で、メニューは全部手書き。さっぱりした気性で、休みの日は、風呂に行ったり、スロットに行ったり、休日のオジサンみたいと言われる女性シェフ。

ダイニングバー 月の中

小樽市色内1-14-10
営業時間: ランチ 11:30~14:30(月~金)
ディナー18:00~24:00
定休日:日曜日
0134-24-3199

2008年8月のベストママ
ヴィーナス

近藤 順子ママ

 榎本武揚没後100年祭や潮まつりの地域のイベントで、着付けやメイクに大忙しだった美容室ヴィーナスの三代目ママ。「イベントをすれば、市民は外に出てくる。小樽を活気づけるには、何かイベントをしないといけないと感じた」と振りかえ
る。

 ヴィーナスは創業100年を超える小樽の老舗。美容専門学校時のインターシップ先がここだった。卒業後、同店で働きながら修業を始めたが、見て覚えるという古典的な教えに反抗して上京。ネイル・メイクの専門的な資格を取るため、昼も夜も勉強漬けに。

 1年後、東京で就職が決まったものの、両親から「北海道に戻らなければ仕送りを止める」と脅されて、泣く泣く帰樽。「もう一度学校に行く」
と嘘をついて、仕
送り付きで数ヶ月東京で遊んだ。「親のお金だから遊ぶことが出来たが、自分でやりくりしていたら絶対出来なかった。でも楽しかったわ」と当時を懐かしむ。

 小樽に戻り、またヴィーナスで働き始め、二代目の長男と結婚。その後、三代目として大活躍。地域の美容室として、潮まつりでは、ミス潮の着付けやメイクに協力。旅行好きのママは、オランダ・ベルギー・スペイン・フランスなど様々な国を訪れ、ショーを見ては潮まつりの参考にしている。

 「第1回の潮まつりから、ミス潮のメイクや着付けを担当した。40年の間、他の店も回ったが、最近はまたうちでしている。商大に応援団があった頃は、商大・北大の対面式で、メイクや着付けも手伝ったりした。地域に密着した美容室だと思う」

 美容専門学校の教師としても活躍。働きながら資格を取るとはどんなものかと、55歳でエステの勉強もした。学校の卒業生たちは、“ママ元気!”と頻繁に店を訪れる。

 おっとりとした口調で優しさがにじみ出る小樽の美容師のタマゴたちのお母さん。

ヴィーナス

小樽市花園1-1-3
営業時間9:00~18:00
定休日:火曜日
0134-32-0575

2008年7月のベストママ
酒房きまま

菅原 由美子ママ

 たまたま客として飲みに訪れた、小さな屋台が軒を連ねるおたる屋台村「レンガ横丁」(稲穂1)。「店をやらないか」と誘われ、1年半前にオープンした、四季遊食 季節料理・鍋処“酒房きまま”のママ。

 「気ままに飲めて、気ままに入れる店って、いいじゃない」と、気軽さをアピールしつつ、メニューには、外国人観光客も多く訪れるため、英語・中国語・韓国語での説明文と、料理の写真をつけるという細やかな気遣いも。「写真を見れば、言葉が通じなくても分かってもらえるのよ」

 小樽で生まれ育ったママは、「母親の料理のレパートリーが少なかったから、小学校の時から、料理の本を買って覚えた」

 「田舎くさいところが好き。札幌とか東京に遊びに行くけど、住みづらそう」と、小樽大好き人間。狭い屋台特有のアットホームさが、ママと客との気楽な会話を生む。わざわざ道外から一泊かけて訪れる常連客もいる。「リピーターが多いんだけど、一度思い出せないことがあって怒られたことがあるの」と頬を赤くして反省しきりだ。

 冬には、特製の一人鍋もあり、気楽なママと酒を飲みながら味わうことが出来る。

 つまみには、まぐろ酒盗400円・銀だら700円・そば味噌300円。鍋には、きりたんぽ800円・豚チゲ800円などが並ぶ。

 手づくりの季節料理に腕を振るう、小さな屋台を仕切る笑顔が素敵なママ。

酒房きまま

小樽市稲穂1-4-15 レンガ横丁
営業時間:17:00~24:00
定休日:火曜日
090-2051-9064

お店のHP
2008年6月のベストママ
ハーブの専門店 ナチュラスハーブ

斉藤 友希栄ママ

 ハーブの専門店「ナチュラスハーブ」のママ。亡くなった父のカメラ屋の店舗を利用し、癒しと安らぎを提供する。

 小樽で生まれ育ち、高卒後、東京の美容学校へ。ホテルニューオータニに就職したが、専門学校で学んだ美容師ではなく、エステ部門に配属となり、エステティシャンになった。結婚して九州に移り、エステサロンを開業し、アロマコーディネーターの資格も取得。

 防腐剤などの化学薬品が使われる化粧品に疑問を感じ、天然のものだけで良い品を作りたいとハーブ(香草・薬草)の研究を始めた。様々な種類のハーブを庭に植えて、化粧水やマッサージオイルなどを作ったり、肌に良いハーブやダイエットのためのハーブの植物療法を勉強した。

 父親が亡くなって小樽に戻り、9年前、父の残した店舗を利用して、ハーブの専門店をオープン。「最初の年は、一日5,000円の売上だけで、これでは、ご飯を食べていけないと、一年で店を閉めて、仕事を探す予定だったが、地元のお客さんが、少しずつだが通ってくれるようになった。地元の人に助けられて今営業出来ていると思う。本当にありがたい」と話す。

 血液さらさら茶・すらりダイエット茶など、100種類のハーブティーを揃える。ハーブ教室や植物療法講座、アロマコーディネーター養成レッスン、アロマエステなどを行い、「オープンからずっとエステに通われている方が、うちのエステに通うと、化粧代がいらなくなるぐらい安あがりだと、喜んで頂いている」という。

 「夢は、死ぬまでに素敵なハーブ園を作ること。ラベンダーとかミントを植えたいわ。誰か土地を提供してくれないかしら」と笑う。さらに、「せっかく小樽に帰ってきたのだから、小樽が元気になってもらいたい」と、小樽の若い人たちを集めて、食事会を開催し情報交換の場を提供している。

 「私たちの年代が、若い人たちを育てないといけない。少しでも小樽の若い人たちが情報を交換して、小樽で楽しい時間を過ごしてもらえるようにしたい。お節介おばさんなの、うふふ」と、ハーブの香りに包まれる店内で、地元小樽の活性化を願っている。

ハーブの専門店 ナチュラスハーブ

小樽市富岡1-3-12
営業時間:10:00~19:30
定休日:第2・4日曜日・月曜日
0134‐24‐5522

2008年5月のベストママ
おたる北運河かもめや

佐藤 光子ママ

 小樽の古い建物を利用し、ゆっくり癒しの時間を提供する、小さな宿と喫茶店「おたる北運河 かもめや」のママ。

 歴史を感じさせる重厚な引き戸を開けて店内へ入ると、「いらっしゃいませ」と、ゆったりとした特徴的な声で客を迎え入れる。下宿先のお母さんのようだ。

 小樽出身。札幌の大学を卒業後、上京し、編集者の道へ。20年後、ご主人を亡くしたことで小樽に戻り、実家の鉄工所を手伝った。49歳の時に、ブランクはあったものの、新聞社のフリーペーパー編集を始めた。

 昨年定年を迎えたところ、小学校・高校の親友から、「水産加工会社(事務所兼自宅)の商売が終わったが、建物が壊されるのは嫌だから、一緒に宿をしないか」とオファーがあった。

 「人生は常にチャレンジ。どんなに年をとっても、一生新しい道。前向きにやる」と、一大決心。建物を改装し、小樽に遊びに来る人のお母さんに転身。2007(平成19)年7月にオープン。昼は喫茶店として、コーヒーや紅茶(400円)のほか、フルーツ酢(500円)を提供。夜は宿泊客を迎え入れ、喫茶店は談話スペースとして開放。和室2・洋室2の4室で、1泊(素泊まり)和室(大・小)4,200円、洋室5,000円、洋室(セミダブル)6,000円(2名利用は5,000円)。セミダブルの洋室は、昭和のレトロな雰囲気を醸し出し、ノスタルジックな小樽を求める旅行者に人気だ。

 「大変だけれど、色々な方に会えることが嬉しい。うちの店に来てくれる人は、自分の波長と近い感じがして驚く。なんでも2年間は大変だけど、その後はだんだん慣れてくる。この仕事もそうなれば」と笑う。

 丸いメガネの下から、優しい目を覗かせる「かもめや」のママ。

おたる北運河かもめや

小樽市色内3-4-4喫茶
営業時間:12:00~19:00
定休日:水曜日
0134-23-4241

お店のHP