増川 尚恵ママ
洋食料理「南風(はえ)」(色内2)の尚恵ママ(46)。余市町出身。OLをしながら、叔母が堺町通りにオープンした喫茶店「游心菴(ゆうしんあん)」のサポートをしていた。友人の紹介で、17年間沖縄に住んでいた小樽出身のマスター・通さん(53)と知り合い、結婚。7年前にマスターが「南風(はえ)」をオープンし、料理人としての腕も買われ手伝うこ
とになった。
昼間、仕事をしていたことから、当初は夜だけの手伝いだったが、3年前から昼も夜も夫婦二人三脚で営業することになった。
「マスターは、料理は見て覚えろという人で、最初は大変だったけれど、小さい頃から料理することが好きだったし、游心菴でもやっていたのでなんとかやっていた」
最初は洋食料理屋で、沖縄料理はゴーヤチャンプルー1品だけだったという。しかし、常連客のリクエストに応えていく中で、沖縄料理のメニューと泡盛の種類が増えた。今では、沖縄料理の「南風(はえ)」と言われるようになった。
ちょうど慣れてきた頃、突然マスターが体調不良で入退院を繰り返す状態に。「昼も夜も手伝うようになっていたから、通常はなんとか一人で出来たが、週末はアルバイトの女の子に来てもらっている。それに常連のみんなに助けられて営業出来ている。みんなセルフサービスで、ビールも自己申告してもらっている」
全く酒を飲まなかったが、酒好きのマスターに教わり、今では相当な酒豪に。店に揃っている泡盛ならほぼ利き酒が出来る。サルサ、ラテンダンスが得意で、テキーラをワンショットし、日本人離れしたバネのあるダンスを披露する。常連客たちは、ママのダンスを眺めながらさらに酒が進む。ダンスの後に一服する姿が、なんとも“男”らしく、女性客の中には恋焦がれる人も。
「うちは、女性の方が一人で来てくれることが多いが、男性も一人で来てくれることもあり、みんなカウンターに座って仲良くなるの。ガラス職人さんや映像ディレクター、会社員、獣医さん、色々な職種の人が集まり、和気藹々と楽しんでくれる。本当に良いお客さんばかりで、みんなのサポートがあって今がある」
泡盛の入ったグラス片手に、常連客と会話を弾ませながら店を切り盛りし、マスターの帰りを待つ。