山塙 征子ママ
高級婦人帽子を揃える、小樽で唯一の帽子専門店「帽子ゃさん」のママ(66)。「どんな人でも必ず自分に合った帽子がある。帽子のことならまかせて」
旧丸井今井小樽店の販売員として、30年以上働いたベテラン。丸井閉店後、帽子メーカーからの依頼で、同ビルで暫定営業していたサンモール・ネオ内に帽子専門店をオープンした。
2月のサンモール・ネオの閉店後は、隣接のバッグのアカイシの一部フロアを借りて営業を始めた。場所は違えど、丸井今井にあった高級帽子を販売し続けている。
「小樽には、帽子のことが好きな人が多いの。それに、人が被っていないものを求める人ばかり。だから店に置いている商品は手作りの一点ものばかり」
小樽で生まれ育ち、ご主人の転勤で一度は小樽を離れたが、また戻ってきた。2人の子供を育てた後、軽い気持ちで始めた丸井今井のアルバイト販売員。洋服販売などを経験するうちに、本店に研修に行くようになり、正社員になった。閉店するまでの5年間は、ずっと帽子の販売コーナーを担当した。
「最初は、帽子売りは嫌だなと思っていたけれど、お客さんに被り方を教えたり、似合っているものを見つけたりすることが楽しくなって、最後に喜んで帰っていくお客さんの姿を見ると嬉しくなった。丸井さんのおかげで、今の自分がいる。本当に感謝している。自分で店をやるなんて少しも思わなかったから。自分で店をやって、色々な人とコミュニケーションをとることが元気の秘訣になっている」
同店の取り扱い商品は高級品ばかり。「本当に帽子が好きな人は、4~5万円のものを値段を見ないで買っていくの」。ここ小樽で、不景気という言葉を感じさせない店だ。
「帽子のセンスは、洋服を選ぶよりも難しい。髪型と一緒だから。でも、お客さんが来たら、この人にはどの帽子が合うかというのがすぐ分かる。あたしプロだからまかせてをキャッチフレーズに営業している」
「帽子が全て」とゆったりと優しい口調で語るママ。