清水 華代ママ
「秋深し 桜木落葉 通り道 人生航路 華模様」
詩を書くことが趣味で、小樽の街を歩きながら、時の流れを感じているロマンチスト。亡くなった夫が愛した酒と魚釣りから作った「酔魚」の看板を背負い、30年間、小樽花園の街でスナックを営んでいる。
「夫がもうだめだという時にオープンしたの。最初は、酔う魚という店名は良くないと言われたけれど、主人の大好きだったものを残したくて付けて営業したら、やっぱりそれが良かった」と話す。
花園ガード下の6坪の小さな店から始まった。水割りの作り方も知らず、従業員たちに教わりながら、一生懸命に商売に取り組んだ。ママのおしとやかな雰囲気に誘われ、舌好調な冗談を求める客で、店内はいつも満席だった。
仕事一筋で13年、知人の紹介で現店舗に巡り合い、細部にまでこだわって店内を改装。最初の店より4倍もある23坪の店となり、テーブル・カウンター合わせて70人入ることが出来るようになった。「頑張って稼いだお金で、広くて素敵なお店にしたの」
カウンター内は一段低く、客と同じ位置で顔を合わせるような工夫を凝らしている。「お客さんを見下げるのではなく、同じ目線で会話を弾ませたかったから」
自慢は、5年前に導入した100インチの大画面と大スピーカーによるシアターシステム。「歌が下手な人でも上手に聞こえるのよ」とほほえむ。女性スタッフとデュエットする目的で訪れる男性客も多い。女性の団体客の利用もあり、一人で安心して入れる店としても有名だ。
「男のお客さんも女のお客さんも、みんな仲良く楽しめる。喜んで帰ってくれることが一番。楽しんで帰ってくれなかったら、その日は眠れない」
カラオケやボーリング大会など幅広くイベントを開催。ただ、第1回のボーリング大会の優勝者は、KY?な従業員だっという話もある。
素人でスナックを始めて、すでにこの道30年のベテランママ。小柄で可愛らしい、おっとりとした口調から出る冗談で、賑やかな雰囲気を演出する。