山岡 セイ子ママ
「私の主人はダンディーだった。ロマンの塊だったのよ。本当に良い男だったわ」と、亡くなったご主人の店を、長年一人で守り続ける、花園の婦人洋服店「ハカタ」のママ。
40年前にご主人の山岡祥二さんが創業した「ハカタ」。繊維や呉服などを販売していた。「当時、(祥二さんが)こげ茶色の風呂敷を担いで出かけたのを、今でも思い出すわ。小樽の港が栄えていてね、なんでも売れたのよ、本当に」と、当時の活気があった小樽を思い出す。
大型店などの進出で商売は難しくなってきているが、11年前に花園にあった店から、現在の花園公園通りに店を新たに出した。11月1日には2号店として、都通りアーケード内に稲穂店をオープンさせた。「小樽の人は本当に優しい。今、こうやってお店があるのも、ずっと通い続けてくれるお客さんがいるからなのよね」と、小樽人の暖かさを感じているという。
お店を手伝い始めたきっかけは、20年前に亡くなった具合の悪い夫の体を支えるためだったという。「毎日主人の写真を見て、『1日がんばります』と見守ってもらってます」と、店のレジのそばに飾ってある祥二さんの写真を見上げる。新しい店を持てて、小樽のお客さんが通い続けてくれるのは、ご主人が導いてくれたんだという。
「今は長男にお店を譲りたい、残したいと、そんな思いで毎日がんばっています」と話す、元気で明るいママ。買物客に親身になって、「この服がいい」、「じゃあ、わたしが着ちゃおうかな」などと、冗談も交え接客する、花園の婦人洋服店「ハカタ」のママ。