小樽美術館記念講演会 柴橋伴夫“現代に息づくダダの冒険”

 市立小樽美術館(色内1・苫名眞館長)で開催中の特別展「SEVEN DADA’S BABY再考ー7人のアヴァンギャルド」(5/11〜6/30)を記念し、5月25日(土)14:00から、柴橋伴夫講演会「現代に息づくダダの冒険」が同館1階研修室で開かれ、約70名がダダについての知識を深めた。

 

 同展を監修した柴橋氏は、1947(昭和22)年岩内に生れ育った美術評論家。道内美術の活性化を企図し、「ダダ展」「立体の地平展」「抽象の現在展」「日本画の現在展」「季の会」を開催。美術評論家を軸に芸術家の評伝をライフワークとしている。荒井記念美術館理事・北海道美術ペンクラブ同人・「美術ペン」編集人・文化塾「サッポロ・アートラボ」代表。

 

 1916(大正5)年〜2024(令和6)年のダダについて辿り、なぜ、ダダの思考が必要かを中心に、自分たちの生活にダダを取り入れてもらいたいと講演会がスタート。

 

 ダダの誕生は、1916年第一世界大戦中のチューリッヒ(スイス)で、ルーマニア生まれの詩人トリスタン・ツァラ(1896〜1963)が、言語と意味を切り離し、作家と作品を解体する反芸術運動ダダイズムを始動させた。

 

 ダダは、現代アートの先駆的な運動でもあり、ダダとは何も意味しないと宣言。現在も研究が進んでいる。1920(大正9)年にパリで開花し、ベルリン・ダダ、ケルン、ハノーヴァー・ダダなど、世界中の先端的な都市で自然発生していった。

 

 1930年代以降はダダの運動は見られなくなるが、第二次世界大戦後ダダが復活。

 

 1960年代、戦後の工業化社会が広がる中、イギリス生まれの芸術家のらによりヌーヴォ・レアリスムが生まれる。青の世界が中心となり、聖なる色イブ・クラインズブルーの絵具を作り、一原有徳に影響を与えた。

 

 一原は、身体に絵具を塗り紙にうつす「人体測定」、広島人の影を描く火の絵画などに共鳴した。特別展では、3階の一原記念ホール内に、かつての約束、クライン・ブルーの部屋を作り、青の世界の一原作品を展示した。

 

 イブ・クラインと交流があった北海道旭川市出身の山口正城は、1953(昭和28)年に日本アブストラクト・アート・クラブを、1959(昭和34)年に日本抽象作家協会を設立し、旭川では抽象画の拠点だった。

 

 また、北海道発のダダ・ダダの運動・ダダに関する書籍や関連作品なども多数紹介し理解を深めた。

 

 展覧会と同時に、十数年ぶりに藤田印刷エクセレントブックスから、一原有徳評伝「アバンギャルドバード」(柴橋伴夫著・3,000円+消費税)を刊行。特別展会期中のみ、ミュージアムショップ“小さな旅”で取り扱っている

 

 ◎特別展Ⅰ「SEVEN DADA’S BABY再考−7人のアヴァンギャルド(外部) 

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