小樽市(迫俊哉市長)は、中小企業振興施策の一環として、地域産業の振興に寄与する新技術や新製品の開発を行った際に、その開発費の一部を助成する小樽市新技術及び新製品開発助成事業を実施。2023(令和5)年度は、第一ゴム株式会社(奥沢3・藤本雅彦代表取締役社長)が開発した、アルテマソール開発及び商品化の事業を指定事業に選んだ。
2月21日(木)14:00から市役所(花園2)で、同社・藤本賢人社長室長と化成品事業本部営業部・砂原瑞樹氏が出席して、助成事業指定書交付式が開かれた。
同社は1935(昭和10)年創業。80年以上にわたり地域産業を支え、小樽に根付いたものづくりの企業。小樽の自社工場で、ゴム原料の練りから成形・商品化・発送まで、一貫した生産体制でゴム長靴を製造している。
迫市長は、「長靴の底材に工夫されたと思う。多くの人に使われるように」と、新技術に興味を示した。
藤本室長は、「弊社としても勇気ある決断をした。今までピンや砂に頼り、アイスバーンにピンは支持されていた。展示会などに出かけるうち、ピンがあったら使えない場面が増えてきていることを知り、対策を考えピンを無くした開発を始め、靴底をフラットソールにした。昨年11月頃から発売し、ピンにデメリットを感じていた人から思った以上に反響があった。
北海道ならではの作りではあったが、ピンが入っていたことで冬限定。ピンが無くなったことで通年で使える商品となり、若い人にも、このようなソールでも受入てもらえらばと思う。この底で男性用の革靴(ビジネス用)の商品化もしたい」と開発に意欲を示した。
同社では、アイスバーンでも滑りにくい靴底としてスチールピンを埋め込んだ靴底「Wスパイク底」を使用した商品を展開してきたが、ユーザーから金属ピンがついていると、「カチカチ音がなる」や「床を傷つける」などの声が多く寄せられ、道内外の更なる販路拡大に向け、2019(令和元)年から、金属なしでもゴムグリップで滑らない靴底「アルテマソール」の開発を始めた。
アルテマソールは、クリップ力の高い独自のゴム素材で、新しい靴底デザインの開発によって、ゴム製の靴底だけで金属ピン使用の靴底と同程度の耐滑性を実現した。
また、国産や天然ゴムの量にもこだわり、柔らかさ・動きやすさ・耐久性もあり、高価でもあるが長持ちする。
長靴文化は小樽で100年以上も続いていて、長期構想として長靴のまちとして広めたい。ミツウマとは合弁会社を設立していて、両者が協働して長靴ファクトリーなど、将来的に観光資源として展開できればと話していた。
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