今の場所に移転してから今年7月に開館50周年の節目を迎える、おたる水族館(祝津3・伊勢伸哉館長)では、3月16日(土)から50周年記念の特別展をはじめ、バンドウイルカの繁殖やワモンアザラシミゾレの公開など盛り沢山な企画を用意し、2024(令和6)年通常営業が始まった。
生きものそれぞれが獲得した生態を模倣した技術(バイオミメティクス)から作られた身近にある便利な道具や製品が数多くあることに着目し、1階パノラマ水槽前に展示する特別展「生きものから学ぶ科学技術」〜バイオミメティクスの世界に触れる〜が開催されている。
生きもの特徴が商品になっていることを知る良い機会となり、同展をきっかけに、生物の多様性を保つ地球環境の保全についても気づいてほしいとの思いを込めた。
展示物は、通年展示と前期(3月16日〜7月5日)・後期(7月13日〜11月24日)で、一部展示が切り替わる予定で、通常展示は、ヤモリの足裏の皺と小さな毛が、滑らずに歩行することを参考にし開発された医療用グローブとヤモリ。会場で生きたヤモリに見入る子どもたちは、家族から説明を聞きいていた。
サメのウロコ(楯鱗)の構造を取り入れ、表面に細かい連続した凹凸を作ることで空気や水の摩擦を減らすことができる、リブレット加工技術を使った競技用の水着とサメ皮が展示され、触ってみることができた。
ミズダコ・エゾメバル・マナマコ・キンコなどを展示する小樽の漁港水槽の前には、人だかりできるほどの人気で、新たな水槽には、1〜2cmのフウセンウオの展示も始まり、愛くるしい姿に大勢の観客が集まっていた。
タッチプールでは10:30と14:30の各30分間で、ニチリンヒトデ・ドクターフイッシュ・ウニなどに触れることができ、茨城県から卒業旅行で訪れていた11人は、ヒトデやウニなどに恐る恐る触り、初めて体験する触感を楽しんでいた。
海獣公園ではトドのショーに多くの観客が集まり、5頭のトドが逆立ちや息を合わせた迫力あるダイビングを行うと、歓声が沸いた。
通常営業のお楽しみ・ペンギンの海まで遠足は、3月16日〜10月14日(7月20日〜8月20日までは換羽期のため中止)に実施される。
初日は、フンボルトペンギン42頭のうち6頭が登場。海まで遠足だったが、冬の大しけで海の中の柵が壊れてしまい海の手前でUターンし、観客は、よちよち歩く可愛い仕草をスマホやカメラに収めていた。
遠足が終わると、遠足に参加しなかったペンギンも一緒に、アジやコサバ・イカナゴの給餌が行われていた。
海獣公園には、昨年11月大阪・海遊館から来た、日本一知名度が高いワモンアザラシのミゾレ(オス・4月1日生れ現在2歳)の一般公開も始まった。コロナ禍に生まれ人工保育で育ち、臆病だが人に慣れていて、成長経過を楽しみにしているファンが多い。
イルカスタジアムでは、動きが機敏なオタリアのスズちゃんショーと、現在妊娠中のメリーとロビンのメス組のイルカショーが始まった。ロビンは華麗な空中回転などの得意技を披露し、メリーも仰向けで素早く泳いだりと妊娠中にも関わらず、観客を楽しませていた。
イルカの妊娠については、飼育員がパネルを使って解説し、改めて知る機会となった。今年8月〜9月にかけてイルカの赤ちゃんの誕生を予定している。7〜9月、出産を無事に終え育児が安定するまでオタリアとイルカショーは中止とし、詳細はHPで公表する。
50周年記念事業に関連し、水族館や生き物を題材にしたオリジナル紙芝居イベントや、館長や飼育員が講師となり、水族館や生き物について講演する水族館塾を6月と9月に開講。
コロナ禍で中止としていた学校団体用のバックヤードツアー再開し、聴覚過敏の障がいを持つ人への配慮として、音のない水族館を4月6日(土)・6月8日(土)・10月26日(土)13:30〜17:00に実施する。
売上の一部を動物たちの餌代に使用する、小樽産品×デザインマッチングプロジェクト2023年を活用した「やる気がでるラーメンおたる水族館ラーメン」の販売を開始した。
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