障がいのある人とアーティストと私たち 小樽美術館特別展

 市立小樽美術館(色内1・苫名真館長)2階企画展示室で、“障がいのある人と、アーティスト、私たち「表現する」ということ“が、3月17日(日)まで開催されている。

 

 障がいがありながら表現活動をしている人は多く、自由で多様な価値を持つ創造的なアートとして注目され、山田菜月学芸員が担当する同展示には、北海道内で障がいがある人で作品づくりをしている10人の34点と、同館所蔵の一原有徳や中村善策などの画家6名の作品15点を、こころの場所【心象風景】・すきなもの【愛情表現】・みえないもの【独自性】・くりかえす【継続】の4つのコーナーに分けている。

 

 こころの場所【心象風景】には、大勢の人を細かく描いた成田信之さんの作品、煙突のある三角屋根の家が沢山描かれ、故郷・苫小牧をイメージした上中文江さんの作品。縞々模様の家やカラフルなもの、リズミカルに家が音符の様にも見えるなど、帰省を心待ちにするキーワードだという。

 

 好きなもの【愛情表現】を感じる作品では、風呂場で使うカラフルなブーツが好きな佐藤程昭さんの、クレヨンで大小様々なカラフルなブーツを描いた作品や、会場でひときわ「かわいい」と目につく、お気に入りのボタンやビーズ・スパンコール・造花・リボン・フエルト・バイヤステープなどで装飾したバックや鍋つかみ・マスクを制作した中道章子さんの作品。どれも一面にお気に入りのかわいい物が敷き詰められ、夢と希望が表現されている。

 

 みえないもの【独自性】では、KEITAさんがアクリル絵具をふんだんに使い、独自のタッチで東京タワーや道頓堀の写真を見て描いたり、シャイアー・お雛様・ギンザケ・大仏さま6点を展示している。

 

 佐々木伸夫さんは、不定形な曲線がむすびつき画面を作り、生き物たちや浮かび上がる顔貌がおだやかな表情を見せ、生命力を感じるという、抽象画のようにも風景画のようにも見える作品を展示した。網目模様の切り絵が得意な宮﨑寿さんの作品は、繊細さからものすごい集中力を感じる。

 

 くりかえす【継続】では、30年以上前から日記を書き続けている川村清さんが、その時々の色の動物や、桃の節句が近い日にお雛様が描くなど、毎日を繰り返し日記に綴っている。

 

 高丸誠さんは、自身の幼少期や親戚の青年期の写真を模写し続け、膨大な量を描いた作品の一部を紹介している。

 

 同館収蔵の画家たちの作品と織り交ぜて展示し、表現の共通性を感じとることができるとし、山田学芸員は、「北海道で活躍するアーティストの作品を集めることができた。

 

 障がいの有無に関わらず、私たちが観ても共感できる部分も多く、何かを表現する描きたい気持ちは、一般のアーティストも障がいがある人も変わらないと思う。会場の作品を観て感じてもらいたい」と話した。

 

 障がいのある人と、アーティストと、私たち「表現する」ということ

 3月17日(日)までの9:30~17:00(入館16:30)

 市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室

 2月12日を除く月曜日・2月13日(火)・14日(水)・27日(火)休館

 観覧料:一般500円、高校生・市内70歳以上250円、障がい者・中学生以下無料

 

 山田学芸員と本展調査協力者によるギャラリートークイベント

 障がい者アート?アールブリュット?創作支援?表現活動?

 2月10日(土)14:00 山田菜月学芸員

 2月24日(土)14:00 壽﨑琴音(社会福祉法人ゆうゆう学芸員)

 市立小樽美術館2階展示室

 観覧料:一般500円、高校生・市内70歳以上250円、障がい者・中学生以下無料

 

 ◎小樽市“障害のある人と、アーティストと、私たち 「表現する」ということ”(外部)