日本泳法の一流派である向井流水法会(大原一会長)が、11月3日(金)14:00から水天宮(相生町3)社殿で、十四代目宗家推戴式と2023(令和5)年度向井流水法伝書授与式を行った。
同水法は、江戸幕府御船手の遊泳の原形で、我国に残る日本泳法十二流派のひとつ。1916(大正5)年向井流宗家直属師範の岩本忠次郎氏が、小樽水泳講習会の講師として来樽し、多くの門弟たちを育て、その門弟たちが師の志を継ぎ向井流を育てた。1991(平成3)年には、小樽市無形文化財に指定された。
もともと戦闘用の泳法で、素朴で無駄な動きを省き、力の消耗をおさえた地味なもの。泳ぎの足は陸上を歩いているような運びで、半分立った姿勢の泳ぎが多い。目標物から目を離さず、素早くまわりの状況の変化に応じられる体位が求められる。
1995(平成7)年には100周年の節目を迎え、これを記念し、臨海公園に『水心一如』の石碑が建立されている。
十四代となる向井由江氏の宗家推戴式は、江戸初期、徳川幕府の御船手の組頭の初代向井正綱から数え、先代の一郎が逝去されてから13年ぶりの宗家推戴となる。
また、長年にわたり泳法の研鑚と普及に努め、師範会から功績が認められた8名に伝書が授与された。
式では、川端信義師範・大原一師範・竹原史子師範・各流水法の代表者・来賓など約30名が出席し、大小島平和宮司と尊之権禰宜による神事が行われた。
免許・資格は、人之巻・人位別巻(教師)・地之巻・地位別巻一(準師範代)・地位別巻二(師範代)・天之巻(師範)となっており、川端・大原・竹原・小柴満師範4名が、会員の心技・技法・貢献度・精勤度を厳しく審査した。
結果は以下の通り
地位別巻之二 後藤久美子(帯広) 大島純子
地位別巻之一 磯野紀子
地之巻 吉田典子(帯広)
人之巻 会田誠子 川口美由紀 竹原美由紀 蛯名麗花(帯広)
受伝者を代表し後藤さんは、「心を正し、意を誠にし、業を練り、体を鍛え、もって遊泳の路に精進し、人格の修養を怠らず、生命の尊厳を心し、人命の尊重を旨とす。互いに激励協力し、指導の発展普及に努める」と誓詞5か条を述べた。
大原師範は、「岩本忠次郎氏は、『まことを尽くす者のみ、我が弟子である。遊泳術は、単なる水泳技術にあらず』と述べており、1991(平成3)年には、小樽市無形文化財の指定を受けており、この意味を心で噛み締めてもらいたい。今後とも一層の向井流の理解を深め、錬磨され豊かな人生を送られるよう願っている」と師範訓示を行った。
林秀樹教育長は、「13年ぶりの宗家推戴となり、長年に渡り受け継がれた向井流水法の伝統に、新たな一歩が刻まれることをお祝い申し上げる。さらに8名の方も、由緒ある伝書を授与され、弛まぬ研鑚と伝書活動のたまもの」と祝福した。
竹原史子師範は、「宗家向井由江様推戴に当たり、向井流を学び継続している会員にとって、心の拠り所となる宗家を仰ぐことができるようになったこと、この上なく喜びに堪えない。一同一層の励みになる」と喜びを語った。
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