約19億円の赤字財政に苦しむ小樽市役所は、市の保有する42施設の使用料を20年ぶりに全面改定し、料金体系の見直しなどで、年間約4,200万円の収入増を図る「使用料改定の概要」を、11月22日に公表した。
この改定のために必要な各条例の改正議案26件を、12月市議会(第4回定例会)に提出する。
使用料が改定されるのは、市民が日常的に利用する市のほとんどの施設。市民会館・公会堂・市民センター・勤労青少年ホームなどの民生施設や、鰊御殿・旧日本郵船小樽支店・手宮洞窟保存館などの観光施設、博物館・文学館・美術館などの教育文化施設と多岐に及んでいる。
これらの施設の使用料は、「1984(昭和59)年から20年間、全面的な改定を実施していないことから、財政健全化の一環として、全ての使用料について、料金体系や額、減免制度を点検・見直しを行い、必要なものについて改定する」とし、2005年4月1日実施を見込んでいる。
これまで無料だった手宮洞窟保存館は、年間27,700人が来場しているが、入場料(一般)100円を徴収する。旧日本郵船小樽支店の入館料は、一般でこれまで100円だったものが300円へ値上げ。博物館・文学館・美術館も300円へ値上げされる。
総合福祉センター入浴使用料を新設し、1回100円を取る。スポーツ施設のサッカー・ラグビー場・桜ケ丘球場・手宮公園陸上競技場・弓道場なども、それぞれ値上げされる。
料金体系を、中学生以下・高校生・一般・高齢者(70歳以上)の4種と改定したが、高齢者の一律減免を廃止するなど、小子高齢化となっている小樽市の老人からも徴収を目論む意図がありありとなっている。
使用料は、42施設で、2004(平成16)年は約2億1,489万円となっており、見直し効果で4,186万円を見込み、19.5%の改定率としている。
しかし、使用料を値上げすれば利用者の減少も考えられ、市が見込む約4,200万円増が図られるかは、極めて疑問が大きく、“お役所商法”に終わる可能性も大きい。しかも4,200万円増では、巨額な赤字財政を“健全化”させるには遠く及ばぬ“見直し効果”で、取れるものから何でも取るという、市のなりふり構わぬ市民への負担増の押し付けに、議会や市民の反応が注目される。