大規模地震を想定して対策 小樽市防災訓練実施

 

 

 小樽市(迫俊哉市長)は、震度6強の大規模地震の想定した2023(令和5)年度小樽市総合防災訓練を、8月31日(木)13:20~16:30で実施した。

 

 現場での訓練と連動し次々に起こる被災事象に対応し、判断して指示をする本部運営訓練を2021(令和3)年度から始めており、今回で3回目となる。

 

 これまでの訓練と違い、被災後6時間から9時間後をイメージして訓練を進め、シナリオ型からブラインド型に変更し、訓練の積み重ねにより各職員の災害対策能力向上に繋げたいとし、大規模災害に対する各関係機関の相互の協力体制の強化と防災技術の向上、市民の防災意識・知識を高めるため、大規模地震発生後6時間経過以降の家屋倒壊や土砂崩れの被害、津波浸水の被害を想定し、災害対策本部と災害発生現場との情報伝達・共有及び対応方法を確認する訓練を実施。

 

 消防庁舎6階講堂(花園2)に災害対策本部開設し、市長・副市長・各部局長など約70名が参加。勝納ふ頭2番(築港6)と桜2丁目公園~東小樽会館(桜1~2丁目)には、15の関係機関等による現場実働訓練を行い、総勢300人が参加した。

 

 地震発生は7:20、震源地は北海留萌沖、規模はM7.8、市内の震度は6強で、7:23に大津波警報を発表し、12:50には注意報に切り替えた。

 

 7:30に対策本部設置、7:32に津波浸水想定区域内住民に避難指示開始。9:30に第1回対策本部会議、12:30に第2回対策本部会議を実施した。

 

 13:00での被害状況は、死者6名・負傷者200名、住宅被害は損壊約300棟・土砂災害箇所約80、全市的な停電及び上下水道・ガスの機能停止地区多数。

 

 訓練は、地震発生後6時間を経過した13:25から市長記者会見から行われ、現状報告と模擬記者からの質問に対応した。

 

 その後、本部運営訓練が行われ、各関係機関からの国道や高速道路・河川の状況、市内小中学校の建物等の被害状況や避難所からの報告、消防による津波の被害や建物倒壊・人的被害・土砂災害状況を報告、北海道の関係機関とも情報共有した。

 

 その間にも被害が各地で発生し、断水地区の対応や避難所の仮設トイレの設置の要望、3名の海上漂流者を発見した。

 

 勝納ふ頭2番では現場実働訓練が実施され、海上保安部のヘリコプター・水上バイク・ほろべつ警救艇により3名の救助を実施。災害対策本部でもモニターにより訓練の様子を確認した。

 

 このほか、貨物船により油流出が発生し、オイルフェンスによる流出油防除・ガス漏洩応急対応・応急給水活動。船舶火災救助では、化学車から毎分2,000ℓ放水銃による放水・4本ホース放水。消防団第5分団も参加し、ブーム付多目的ポンプ自動車MVFのバケットからの放水、海上からほろべつ・すずかぜ・たていわも放水に参加した。

 

 15:10から第3回対策本部会議を開催し、各部より被害・対応状況の報告があり、16:00から参加者による本日の訓練を振り返り意見交換会が開かれた。

 

 国土交通省北海道開発局小樽開発建設部の谷口拓也防災課長は、参考資料を配布し、「大規模地震・津波などの大規模災害時に備え、津波浸水域までの広域な救援ルートの道路啓開(瓦礫などを取り除き最低限度のルートを確保する)を迅速に行うため、北海道道路啓開計画を策定している。現在細かい作業の策定中。来年度以降の訓練箇所は、国道と小樽市物流の・拠点となる港の間の啓開の場所など、煮詰めた形で当方も考えたい」と話した。

 

 初参加の札幌管区気象台職員は、「3mを超える津波を予報して大津波警報を発表。観測地で1.5m。実際には日本海沖合でM7.8の地震が発生した場合は、断層のタイプが逆断層タイプなので、予想通り3mを超える津波が実際に来る可能性が高い。注意報への切り替えが昼頃に行われたが、津波が弱まるのはかなり遅くなる。津波注意報は1ⅿを下回るもの。潮の流れは速い状態が残るので、十分に気をつけてもらいた」と述べた。

 

 最後に、迫市長は、「全国的に豪雨災害の頻度が高まり、異常気象に伴う災害発生が着実に進み、いつ本市がこれらの災害に見舞われても不思議はない状況。

 

 今回の津波を伴う大規模地震の訓練は、突然襲ってきて対応する時間は短いことから、迅速・的確な行動に移せるように、強い危機意識のもと、起こり得る初動対応の流れや体制を平時からしっかりと準備対応すること。

 

 2つ目として、市民の皆さんに災害関連情報を迅速・的確に伝えられるよう、様々な情報伝達手段を持続的に確保する。実際には様々な事象が同時多発的に出てくるが、訓練では、時系列的に進めざるを得ないが、より実効性の高い訓練となるよう工夫も必要。

 

 対策本部訓練を行って3年目、まだまだ十分ではないと認識。今回の訓練で見えた課題もあり、備えあれば憂いなし。日頃からしっかりと備えたい」と述べた。

 

 また、小樽市議会でも災害対策会議の設置と運営の訓練を、9:00に鈴木喜明議長が、市役所(花園2)3階応接室からZOOMで開始し、安否確認ができた議員の参加を想定して行い、市の対策本部や各部局からの情報・各議員に寄せられた地域の被害情報(道路・避難所・倒壊の恐れのある家屋等)を報告し、対策本部への伝達事項を決定。

 

 会議内容を全議員へ周知し、9:40からも2回目の議会災害対策会議を開いた。(写真提供:小樽市議会事務局)

 

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