株式会社ニトリホールディングス(似鳥昭雄代表取締役会長兼CEO)が運営する、宿泊施設の銀鱗荘本館と隣接するグリル銀鱗荘が、2023(令和5)年2月に国の登録有形文化財(建造物)に正式登録されたことを受け、6月29日(木)14:00から登録証交付式に、中野豊小樽商工会議所会頭をはじめ50名ほどが出席し、鈴木直道北海道知事から似鳥会長に登録証が手渡された。
鰊御殿を改修した近代和風ホテルの銀鱗荘旧本館(旧猪俣家住宅)は、1938(昭和13)年に余市町から望楼付き鰊漁家主屋を移築。望楼や50畳の大広間に神棚や囲炉裏等が、明治・大正期の鰊漁の活気を偲ばせる北海道を代表する漁場建築。玄関やホール等に日本画家の安藤瀞埠(せいふ)の図案による装飾が華やかさを増している。
レストランとして活用しているグリル銀鱗荘は、1941(昭和16)年に余市から移築し、旧北海道水産記念館とした建物。入り母屋造りの玄関を構え、虫籠窓(むしごまど)を並べた漆喰塗込めの外観と内部の太い柱梁は重厚。
似鳥会長は、「皆さんの協力で有形文化財となり、北海道・小樽の宝物だと思う。鰊御殿はここにしか残っていない。有形文化財としてはあまりない宿泊施設でもあり、後世のために見せて泊まって、北海道や小樽の役に立てることを、社員一同喜んでいる」と挨拶した。
鈴木知事は、「この登録を機に、本土の歴史文化を体験できる貴重な施設として、道民の皆さんをはじめ、多くの方に素晴らしい魅力が広く周知され、観光の振興・地域の活性化の原動力となる貴重な地域資源として、さらに耀きを増していくことを期待する。
道としては、地域文化の礎であり、道民の皆さんの貴重な財産である文化財を北海道の宝として守り育み、地域の発展を活用していく取り組みを進めたい」とさらなる発展を願った。
北海道大学・角幸博名誉教授による「北海道の漁家建築」について、記念講演が行われ、「明治30年代に宏壮化が顕著になる鰊漁場建築の好例であり、北海道における歴史的建造物の保存活用の早い事例として評価でき、国の宝として大切にされるべきだ」と語った。
また、京都大学・宗本順三名誉教授による「安藤瀞埠と魚のインテリアデザイン」、浅野敏昭余市水産博物館館長による「余市町での猪俣家」、大阪芸術大学・小出祐子准教授による「銀鱗荘の建築」について講演会が開かれた。
7月25日(火)・26日(水)に、王位戦の第3局・藤井聡太王位と佐々木大地七段の対局に、銀鱗荘が使用される予定。
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