全国の船員で作る労働組合・全日本海員組合北海道地方支部(苫小牧市)は、国立小樽海上技術短期大学校(緑3)で、6月26日(月)9:15から「学び舎 船と船員さん教室」を開催し、小樽市立稲穂小学校5年生約60名が参加した。
同支部の活動の一環として、日本の将来を担う小学生に、船や船員に興味を持ってもらい、海事思想を普及させるのが目的。小樽市のキャリア教育の充実と将来の船員確保に繋げようと、今年で4回目となる。
1階体育館で開会式が開かれ、全日本海員組合中央執行委員・平岡英彦国内局長が、「しっかり学び、将来、船員さんになりたいと思う子どもがいるよう期待する」と述べた。
来賓を代表して迫俊哉市長は、「船と船員さんは大きな役割を果たしている。体験会を通じていろいろなことを学び、船や船員さんに関心を持ってもらいたい」と挨拶。
同大学校の全面協力のもと、船・船員に関する講話、ロ—プワーク教室、シュミレーターを用いた航海体験教室、船の標本教室、地図を用いたチャートワーク教室を同校校舎4階に設け、児童は4班に分かれて会場を回った。講師は、同大学校の教員が務め、丁寧に説明していた。
航海体験教室では、シュミレーターを見ながら操縦できる2台の操縦桿で、瀬戸内海や東京湾などいろいろなコースを体験し、船と衝突しないように回避能力を養う。一通りの説明が終わった後は、2つの操縦桿が操る2隻の船で、目的地点まで競争した。どちらが早いかバトルを展開し、会場は熱気に包まれる場面もあった。
チャートワーク教室では、練習用の小樽港の海図を使って船の位置を求めた。緯度1分の距離は1マイル(1,852m)。1時間に1マイル進む速さの単位はノット。海図に35度の線を引いたり、茨城県鹿嶋市明石の鹿島灯台から140度の線を引く問題に取り組み、児童は講師の説明を聞きながら真剣に学んでいた。
船の標本教室では、いろいろな船や灯台の模型があり、最初に、磁器コンパスの話があり、衝突を避けるために、自分の船の居場所を知る方法が伝授された。船体後部の船底のラダー(舵)が、右や左に行く舵取りの役割を果たしているという。
船員さんの話を聞く教室では、船長、1等・2等・3等航海士、機関士、司厨士(コック)についての仕事内容や、船の種類など、船や海に纏わる話を聞いた。
ロープワークでは、本結び・巻き結び・もやい結びの3つの基本となる結び方を習い、児童は、熱心に何度も体験して覚えた。
どの教室も、児童の生き生きとした表情が見られ、船の仕事に興味を示していた。