小樽の市民劇団・うみねこ(米澤崇代表)は、2年ぶりに、沖縄物語「いのちの声がして」全3公演を、6月24日(土)・25日(日)に運河プラザ(色内2)三番庫ギャラリーで開催した。
当初予定していた昨年11月26日と27日が、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で延期となり、6月23日の沖縄慰霊の日の翌日まで延期されたことで、沖縄戦争を知るに相応しい公演となった。
今回の演劇は、今から78年前の1945(昭和20)年、太平洋戦争の末期4月から6月にかけ90日間もの激しい地上戦が行われ、20万人が犠牲となった沖縄戦をテーマに、同劇団元代表の吉川勝彦氏が脚本と演出を手掛けた。
24日(土)13:00からの初回公演は定員を上回る83名が来場。観客は物語に陶酔し、凄惨な戦争を改めて知った。
14名のキャストやスタッフは戦争を知らない世代だが、みな体当たりで演じた。あまりの惨劇に観客は怯え、激しい地上戦で亡くなり、終戦を知る由もない当時の人々に想いを馳せた。
女子校や師範学校へ通う生徒も、女子学徒とし戦場にか駆り出され、戦闘で負傷した兵士や一般人が担ぎ込まれた、ガマと呼ばれる洞窟などの野戦病院での仕事を強いられた。戦争は日々激化する中、少ない医療用品を使い、手術や治療にあたっていた日常での出来事を演じた。
戦火の中、産声が響き幕を下ろした。この赤ん坊の行く末を案じながら、「私たちは、あれから78年間、なぜ今まで戦争をしないで来られたのか、今一度学ぶべきではないでしょうか?」と、来場者に尋ね幕を下ろした。
60歳代の女性は、「戦争を知らない私たちは、この公演を見ると生きているのが不思議になる。戦争の悲惨さを伝えていかなければと改めて思った。」と話していた。
明峰高校演劇部OBの舘山大輝さんは、22歳から再び同劇団に入団し、「本番の緊張感が忘れられず、再び入団した。今回はいつもの役柄と違うので、いろいろと考えて演じた。今後も演劇を続けたい」と話した。
◎関連記事