10月26日の様子 |
10月28日の様子 |
海運王として知られた、板谷商船の創立者板谷宮吉の建てた豪邸で、目下、密かに解体工事が進行中だ。建設リサイクル法で、80平方メートル以上の解体工事には、市への届出と標識の掲示が義務付けられている。
小樽港を一望する、市内東雲町の高台に海運王板谷宮吉邸がある。道内でも屈指の豪邸として知られている。約5,000平方メートル(約1,500坪)の広大な敷地に、約482平方メートル(約146坪)の2階建居宅と石造倉庫、2階建物置などが点在してる。広い庭園は、四季折々に見事な光景を見せている。
この板谷邸は、大正末期から昭和初期にかけて建てられた。木造亜鉛メッキ鋼版葺の母屋には、洋館も併設され、当時のモダニズムが取り入れられている。
小樽市にとっても貴重な建築物として、1994年(平成6年)4月1日に、市の登録歴史的建造物とされた。ところが今回、この板谷邸が売買されることになり、買主からこの登録抹消が売買条件とされ、市は、2004年(平成16年)10月18日に登録抹消手続きを行ったという。
市の登録歴史的建造物となったのは、「海運業で大きな財を成し、北海道を代表する経済人になった板谷宮吉の自邸として、大規模な邸宅であり、内部に調査に入り、母屋や洋館・倉庫があり、昭和前期の建物として、小樽にとって貴重な建物として登録した」が、「建物所有が企業から個人に移り、出来れば残してほしいという、再利用方法もお願いしていたが、新しい買手が見つかり、行政としては残してほしいのは100%なのだが、個人財産では、行政の手も及ばない」(市の小紙琢也まちづくり推進課長)と、行政の限界を露呈している。
この貴重な建物全体を解体するには、建設リサイクル法第10条の届出が必要だが、新しい購入者となったという市内のホテル経営者からは、この届出がなされていない。
「10月現在、37件の届出があるが、この中には板谷邸は含まれていない。届出をせずに判ってやっているのであれば、法に照らして必要な措置を講ずることになる。早速現場に行き確認したい」(市の建築指導課)
離れとなっている建物部分の解体工事は、今週から急ピッチで進められている。正門脇の高い塀は取り壊され、ダンプの搬入路が確保され、大木も切り倒されている。28日には母屋と繋がる建物の一部が跡形もなくなり、瓦礫となってしまった。ダンプが解体した廃材を運び出すために、頻繁に出入している。ストップ・ザ・解体のための具体的な必要措置が早急に求められている。
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