市立小樽美術館(色内1)では、特別展「追憶の歌 日本画家 福井爽人」に関連して、同館3階一原有徳記念ホールで、企画展「潮見台の出会い〜福井貞一・河野薫・宮川魏」が5月13日(土)から7月23日(日)まで開催している。
爽人の父・貞一は、1912(明治45)年青森県藤崎町に生まれ、親戚を頼って17歳の時に小樽に移り住む。東京外国語学校本科英文科へ入学後、旭川商業高校教諭となり結婚。
1937(昭和12)年に爽人が生まれ、母校である庁立小樽中学校(現北海道小樽潮陵高校)の英語教師(1939年〜1954年)となり、潮見台で暮らしていた頃に出会った思い出深い人々を、貞一の旧蔵品の作品・書簡・写真類を展示。
息子の爽人は、日本画に憧れを抱き日本画を目指す。教員だった版画家の河野薫や水彩画家の中島鉄雄に息子の絵の指導を依頼していた。
会場には、寄贈を受けた河野の代表作の版画作品をはじめ、お互いに東京に住んでからも親交を続けていた河野から、貞一へ送った版画をデザインした年賀状12枚と、クリスマスカード1枚・S判木版4枚を展示し、河野の木版画の世界も楽しめる。
小樽出身の宮川も、貞一の教え子のひとりで、東京藝術大学油彩画科に進学後も、東京で交流が続いた。
爽人も東京藝大の助手・平山郁夫と出会い、日本画科入学を決意。入学を果たし日本画の道を歩むことになる。
会場には、爽人の東京藝大時代の写真や、1960年代に描いた水彩画(干物・鴨・梟)の作品も鑑賞できる。福井貞一著「小鬼」私家版エッセイ集も展示。一部を抜粋して紹介している。
担当の星田七重学芸員は、「福井爽人をより良く知る、小樽でしかできない展覧会で、貞一と爽人の小樽で繰り広げた親子の物語を、特別展と併せて見ていただくと、作品の素晴らしさがより深いものになる」と、来場を呼びかけた。
「追憶の歌 日本画家 福井爽人」 4月29日(土)〜7月23日(日)
市立小樽美術館(色内1)2階特別展示室
関連事業
6月10日(土)14:00〜15:30
福井爽人×奥岡茂雄(美術評論家)「福井爽人の芸術」
6月24日(土)14:00〜15:00
平間さと子ピアノコンサート
事前予約50名
7月1日(土)14:00〜15:00
学芸員によるアートレクチャー
事前予約20名
◎企画展「潮見台の出会い〜福井貞一・河野薫・宮川魏」(外部)
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