4月19日(水)から23日(日)まで市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで、2023Wave10人展が開催されている。
同展は、1990(平成2)年に当時の小樽市展の若手メンバーが、お互いに刺激を感じながら創作していこうと結成され、毎年展示会を開いていて、今回も新たな気持ちで表現の輪を広げ、遊び心いっぱいの41点をじっくり鑑賞できる。
出展者は小樽ゆかりの作家、阿部典英氏・江川光博氏・大谷美由紀氏・ナカムラアリ氏・羽山雅愉氏・坂東宏哉氏・深山秀子氏・福原幸喜氏・八重樫眞一氏・安田眞紀子氏の10名。
金属工芸家の安田氏は、1989(平成元)年の作品をはじめ、銅板を素材に彫る・鍛える・鋳るなどの工程を施し、金属の落ち着いた色合いと鍛造・彫金技法により立体造形し、心のかたちを表現した過去の作品6点をずらりと展示。
異国情緒あふれる風景画を得意とする福原氏が、小樽運河竣工100周年に相応しく、「ぼくの街には秘密基地があった」とタイトルし、旧北海製罐第3倉庫を描いた。倉庫屋上には仮面ライダーが、倉庫の所々には怪人が見え隠れし、遊び心満載。100年の間に、仮面ライダーでショッカーの基地として撮影に使用されたことを改めて思い出す。
阿部典英氏 | 江川光博氏 | 大谷美由紀氏 | ナカムラアリ氏 | 羽山雅愉氏 |
阿部氏のネエーダンナサンシリーズの2019(令和元)年と2023(令和5)年「疾風に勁草を知る」は、ことわざで、辛い時に直面した時に、初めてその人の意思や強さ、人間としての価値が分かるとの意味で、「先人たちの苦労があって、我々がこうしてこの地に住める」と語り、島牧の海で見つけた虫が木をトンネルのように掘りすすむ食べ痕(あと)に魅せられ、7年前に島牧から持ち帰り、素晴らしい土地に開拓した先人たちの力を称え作品に表現。自然から生まれた作品は、若い人も頑張ってもらいたいというエールが込められている。
羽山氏は、これまでの風景画から作風が一転。「たそがれ」をテーマに、原色を使い空間に工夫した心温まる作品を出展している。コロナで家に籠ることが多くなり、風景を描かなくなり自宅で静物を描き始め、2年間を集結したもの。モチーフを描こうとするよりも、空間を先にイメージし、空間の処理が上手くいくと作品ができるという。
彫刻家のアリ氏は、トナープリントを活用した作品をはじめ、立体作品など9点を展示。最新作は、「昨日 今日 明日」、第2次世界大戦を経験したトランクに、ビニールの手袋・ウオッカや思い出の人形・コロナ・犯罪・戦争などの思いも詰め込んだ。
坂東宏哉氏 | 深山秀子氏 | 福原幸喜氏 | 八重樫眞一氏 | 安田眞紀子氏 |
宇宙をテーマにした作品が多い坂東氏の今回の作品は、「borderless earth」国境のない地球をテーマに、6点を展示した。
前回の展示会から様々な思いを巡らし、変化したり新たに生まれた作品が鑑賞でき、タイミングが良ければ作家にも会える貴重な展示会となっている。
2023Wave10人展 4月19日(水)~23日(日)10:00~17:00(最終日16:00)
市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 入場無料
◎関連記事