市立小樽美術館(色内1)と市立小樽美術館協力会の共催で、現代美術家の上嶋秀俊氏が2022(令和4)年度北海道文化奨励賞受賞したことを記念し、4月5日(水)〜9日(日)、同館では初の個展「上嶋秀俊展」を開催する。
上嶋氏は小樽出身で、子どもの頃から父で画家の上嶋俊夫氏の影響を受け、ものづくりや図工・美術が好きな少年だった。高校で美術部に入り、東京造形大学造形学部デザイン学科を卒業。現在は市内中学校で美術を教え、後進の育成にも情熱を注ぎ、北海道における美術文化の振興に貢献するなど熱心な活動が評価された。
2018(平成30)年〜2023(令和5)年に制作した「水のきおく」・「いつか見た光のこと」・「水のもり」など6シリーズと「光の中へ」など4点を、会場の空間を使い展示した。
これまで制作した作品から、「多くの市民にも観てもらいたい」と話す同氏が、本当に観てほしいものを選び一堂に展示する。
「作品を無我夢中で作ってきたが、美術が持っている感受性的な素晴らしさや美術が持つ力は、数字に表れるものではないが、環境の中に存在することで、人々の心情的なものや感性だったり、訴えかける力があると信じている。今後も広く人々の心に残るように、文化を浸透するよう心掛けて活動しなけらばならない。活動内容等は、今後、じっくり考えていきたい」と述べた。
フライヤーに掲載されている同館初展示の「いつか見た光のこと」(2021年)は、「光と水をイメージした作品で、水面に映し出される光や水面に光が反射したり、差し込んでだりする光景を抽象的に表現した。
制作動機については、コロナ禍で不安に感じたり、社会がこれからどうなるか考えさせれたと思うが、仕事と制作時間以外に出かけたドライブで、春だったこともあり、外の風景を見ると心が落ち着き、世の中は不安でいっぱいだが、自然にとっては関係なかった。観てもらう人には心を和ませ落ちつけるようにと制作したという。
最終日の9日(日)15:00からは、展示会場で小樽在住の舞踏家・田仲ハル氏の投げ銭ライブ(友情出演)を実施する。
上嶋氏が今の作風になったのが40歳頃で、田仲氏が舞踏を再開したのも40歳過ぎと、ジャンルは違うが転機が一緒だったこともあり、上嶋氏の個展で度々踊ることがあった。
「今回の受賞はジャンルは違うが感慨深い。上嶋氏の作品の変化などこれまでをずっと見ていて、共に歩んできたので、市民にもぜひ観ていただきたい」と、来場を呼びかけた。
北海道文化奨励賞受賞記念・上嶋秀俊展
4月5日(水)〜9日(日)10:00〜17:00(最終日16:00)
市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 入場無料
4月8日(土)・9日(日)作家来館予定