小樽運河100年を記念して、「小樽運河の輝き 加藤貢×横山文代展」が、2月21日(火)から市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで始まり、小樽運河の昔と今を絵画で鑑賞できる貴重な機会となっている。
横山氏は、小樽に生まれ運河を見て育ち、高校卒業後に人気漫画家として東京で活躍後、小樽に戻った頃には埋め立てられた運河だったが、北運河の第3倉庫をポイントに数々の作品を生み出し、清々しく爽やかな運河を捉え、多くの市民に支持されている。小樽が観光都市として発展した2013年頃の運河がお気に入りで、新作を含めて10点を出展している。
加藤氏が運河を描き始めたきっかけは、運河保存運動をしていた藤森茂男氏の話をラジオから偶然聞き、埋め立て目前に迫っているというと藤森氏のことばに胸を打たれ、小樽運河を描かなければと強い衝動に駆られ、鉛筆だけを使い運河を描き始めた。今回は1993年〜2002年の鉛筆画の運河5点と油彩4点を出展している。
この画家2人の企画展は、昔の運河を知っている人には、あの頃に戻ったような心に刺さる運河の情景が思い出と共に蘇り、運河の魅力を新ためて知る運河100年に相応しい企画展となっている。
2年前の白日会展で、横山氏が小樽運河の作品を出品していたことから、埋め立て前の運河を描いていた加藤氏の鉛筆画を見せられた横山氏は、鉛筆画が小樽運河にものすごく合うと感動し、これを小樽の人々にも見てもらいたいと今回の企画展が実現した。
フライヤーにも掲載されている加藤氏の代表作「はしけ船」(2002年)は、市民に惜しまれて解体して撤去した小樽最後のはしけが、絵画の中に事細かく丁寧に描かれ、しっかりと残されている安堵感を感じる。
加藤氏、「この風景を知っている方々にぜひ見てもらい、昔を振り返り歴史の思い出を感じとってもらいたい」と話した。
横山氏は、「道外の人が描いている小樽運河も沢山あり、いろいろな気持ちが込められている運河。小樽以外の人が描いている運河は、構図が違うのも面白い。小樽運河はみんなが描いてみたくなる運河だと改めて感じた。
小さい頃から上手い人の運河を沢山見ていて、運河は色が独特で深く素晴らしい絵が多かったため、自分では描けなかった。日展の先生に故郷の絵を描きなさいと言われてから、運河を描くようになった。加藤氏は大切に絵を描く方で、大切に思う気持ちが絵を温かくする」と話した。
初日から、多くの人が鑑賞に訪れ、小樽運河(鉛筆画・1995)の作品を見た男性は、この絵に描かれているやぐるまという巡視艇の機関長だったと話し、感慨深い様子だった。
2人の絵画の他、運河を心の故郷と呼び景観の保存を願った、鈴木偉・金丸直衛・小竹義夫・角江重一らの8点も展示している。
小樽運河の輝き 加藤貢×横山文代展
2月21日(火)〜3月5日(日)9:30〜17:00(最終日16:00)
市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 入場無料
来館予定
加藤貢 2月23日(木)・26日(日)・3月5日(日)
横山文代 2月25日(土)・3月4日(土)
加藤貢×横山文代トークイベント 2月25日(土)・3月4日(日)14:00〜14:30
◎市民ギャラリー企画展「Nostalgia小樽運河の輝き 加藤貢と横山文代/Collectionストーリー2あの頃の運河」(外部)