220名が参加 住宅防火防災推進シンポジウム in 小樽

 8月24日(水)13:00から小樽市民センター(色内2)マリンホールで、基調講演会やパネルディスカッションなど3部構成による、2022(令和4)年度住宅防火防災推進シンポジウムin小樽が、住宅防火対策推進協議会(東京)主催で開かれた。

 

 2007(平成19)年から毎年、全国で数カ所ずつ開催されていたが、コロナ禍でシンポジウムも3年ぶりとなった。

 

  「防火防災に対する意識を高め、住宅火災による死者をひとりでも少なくするために、地域ぐるみで考えよう!住宅防火と防災対策」をテーマに、地域の住宅防火防災リーダーをはじめ、小樽後志の住民など約220名が参加、防災防火に対する意識を高めた。

 

 冒頭、一般財団法人日本防火・危機管理促進協会の西藤公司理事長が、「住宅火災での死者数は、2005(平成17)年の1,220人をピークに減少。ここ数年は年間900人前後に推移し、65歳以上の高齢者が7割を占めている。

 

 命を守るためにも住宅用火災報知器の設置は大切。今日の話を家庭や地域に伝え、安全な地域づくりに繋げてもらいたい」と挨拶した。

 

 引き続き、迫俊哉市長が、「本市も本年2月に発生した住宅火災で2名の尊い命が犠牲となり、火災による被害は重大な結果を招いている。市民の防火意識の向上により住宅火災による犠牲者の減少・被害の軽減を図るため、小樽市消防団や女性防火クラブ連絡協議会と連携し、住宅用火災報知機等の設置を促進することで、地域における防火対策の強化に努める必要がある」と述べた。

 

 第1部では、日本大学大学院理工学研究科教授で、日本建築学会防火委員長などを務めた住宅防火分野の権威・菅原進一氏による基調講演が行われた。

 

 建築防災技術の重要点について、これまでの研究を紹介し、住宅防火・防火防災対策は、会話や世話をし合うことで鍛えられる地域の力が必要で、人と人の関係の繋がりが大切だと強調した。

 

 避難する時に思わぬところで起こる過密について、東京駅での避難シュミレーションを例に上げ、群衆パニックが発生する恐れに触れ、体験を通じて密集を回避するよう心がけると説明。

 

 第2部は、40年以上も日本で暮らすタレントで山形弁研究家のダニエル・カール氏と、小樽市女性防火クラブ連絡協議会の池田光恵会長、積丹女性防火クラブ連合会の山﨑美枝子会長、倶知安女性防火クラブの福井美知江会長、泊村女性防火クラブの立花孝子会長を交えてトークショーが開かれ、それぞれの会の活動を報告しまちの魅力も紹介した。

 

 ダニエル氏の父はアメリカで消防署長を務め、子どもの頃から消防士の父を見て育ち、東日本大震災時は東京におり、東北の友だちを心配しボランティア活動を行った。

 

 被災地に食べ物を運んだり、ストックする冷凍庫や子どもたちの遊具を寄附するなどして支援。トークでは「まちの絆が大切。ぜひとも地方の絆を大切に、防火・防災を一生懸命に考えましょう」と締めくくった。

 

 第3部は、消防庁予防課の佐藤翔紀予防係長、小樽市消防本部の阿部博康予防課長、北後志消防組合消防本部予防課の湊隆次主幹、羊蹄山ろく消防組合消防本部消防課の山下毅主幹、岩内・寿都地方消防組合消防本部予防課の福島基嗣主幹とダニエル氏がパネリストになり、菅原氏がコーディ―ネーターを務めてパネルディスカッションが開かれた。

 

 令和2年(1~12月)の全国での火災状況は、出火件数34,691件で、住宅火災の件数は約3割を占める。死者数は1,326件で、住宅火災による死者数は約7割で、大半は逃げ遅れが原因。

 

 小樽市の過去5年間の住宅火災による火災件数と死者発生状況は、2017(平成29)年は12件・死者1名、2018(平成30)年は15件・1名、2019(令和元)年は23件・9名、2020(令和2)年15件・1名、2021(令和3)年12件・2名。

 

 住宅用火災警報器は、2004(平成16)年からすべての住宅に設置を義務付けたが、現在、設置率は84%。米国における住宅用火災警報器は、1970(昭和45)年後半から設置を国家的方針とし州法で義務付けた。普及に伴い、住宅火災による死者数は、6,000人から3,000人程度に半減している。

 

 1階ロビーでは、住宅用スプリングクラ―や消火器・防火グッズ・ガス警報器・住宅用火災警報器などが展示され、担当者が使い方などについて紹介していた。

 

 ◎住宅防火対策推進協議会(外部)