市立小樽文学館(色内1・亀井志乃館長)では、2月1日に89歳で亡くなった作家・石原慎太郎氏を偲ぶ「日蝕(エクリプス)追悼・石原慎太郎展」を、4月29日(金・祝)から5月29日(日)まで同館2階企画展示室で開催している。
同氏は神戸市に生まれ、父の転勤で、2歳下の弟裕次郎と6歳から11歳までの少年期を小樽で過ごした。22歳の頃、大学の同人誌に最初の小説を発表。
1956(昭和31)年芥川賞を受賞し、1968(昭和43)年に参議院議員に当選、1999(平成11)年に東京都知事に出馬し、166万票を得て当選し4選を達成した。
その間、小説・随筆・論説等を発表し続け、2014(平成26)年に政界を引退後も、作家として精力的に活動を続け、2022(令和4)年2月1日に89歳で亡くなった。
2019(令和元)年5月25日(土)〜6月30日(日)に、同氏が青春時代に描いたデッサンを展示した「破乱の十代のエスキース展」を同館で開催。
同年6月25日(火)には、同氏による講演会「文学とその時代」で来館された縁もあり、2月の突然の訃報から、2月19日(土)〜3月13日(日)には常設展示室に追悼コーナーを設け、さらに同氏の生涯や作品を多くの人に知ってもらいたいと追悼展を開催した。
同エスキース展のタイトルは同氏が考えたものであったが、今回のタイトルついて企画展担当の亀井館長は、「デビューが“太陽の季節”で、そこから映画を作り太陽族が生まれた。若手にとってショッキングなほど新しい表現をする人で、まさしく昭和の太陽だったと思う。その方が亡くなり、太陽の光が隠れたというところになぞらえた」と説明した。
「小説を中心になるべく揃えようと約90点を集めた。小説からエッセイ・反社会的なものまで、これだけ多彩な内容で書いていることを、ぜひ知っていただきたい。1年に数冊もの本を出版し精力的に書かれていた。本のキャプションには、内容が分かるように文を掲載し、印象深い文章を引用して掲載もしている。
興味を持っていただけたら、本を借りたり買うなどして、ぜひ読んでいただきたい。家族から提供された写真はほとんど見られないものばかり。見どころが沢山あり、ぜひご覧いただきたい」と話した。
会場には、1956(昭和31)年刊行デビュー作で、芥川賞受賞作品の「太陽の季節」から、昨年末に刊行の「石原慎太郎短編全集」Ⅰ・Ⅱ巻、今年3月に文藝春秋、新潮誌で発表された遺稿に至る当館収蔵や、龍生書林寄贈の著書を合わせ92点、掲載雑誌26点・文藝春秋提供写真1枚・石原延啓氏提供のプライベート写真を含む写真36点を展示。
劇団四季の前身となる日生劇場(東京都千代田区)を立ち上げた1人でもあり、同氏の精力的な執筆活動やヨットレース、チリ-アルゼンチン南米横断ドライブや映画出演など、幅広い活動を紹介している。
1960(昭和35)年春、同氏が隊長となり、一橋大学の自動車部の後輩を連れて、ラビットスクーターで南米1万キロを横断した著書や写真や、ヨットレースの写真などからも、多才な能力の持ち主でもあったことがうかがわれ、愛用のワープロには、亡くなる2週間前に書かれたものが見つかり、今年4月号の文藝春秋には、絶筆「死への道標」を掲載し、同年4月号の新潮の遺稿「遠い夢」には、小樽で過ごした少年時代にも触れている。
日蝕(エクリプス)追悼・石原慎太郎展
4月29 日(金・祝)〜5月29日(日)9:30〜17:00(最終入館16:30)
月曜日・5月10日(火)〜12日(木)休館
市立小樽文学館(色内1)2階企画展示室
入館料:一般300円、市内70歳以上・高校生150円、中学生以下無料
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