市立小樽文学館企画展「小樽・新聞物語」開催中


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 平成23年度市立小樽文学館企画展「小樽・新聞物語」が9月3日(土)〜11月6日(日)まで、同館で開催中だ。明治・大正・昭和初期にかけての「小樽新聞」や「北海タイムス」の庶民向けの面白記事を紹介している。
 「小樽新聞」は、札幌の「北海民橙」を前身として1894(明治27)年12月より創刊。「北海タイムス」は、1901(明治34)年創刊。その後、1941(昭和16)年から1942(昭和17)年までに、7つの新聞社が統合し、北海道新聞となった。
 今回の展示は、「小樽新聞」と「北海タイムス」の2紙の明治・大正・昭和初期の紙面から、小樽の市井の庶民の暮らしぶりを伝える小さな記事と、その関連資料を紹介するとともに、北海道の新聞史を概説している。
数々の面白記事の中からの抜粋。
 「小樽新聞社の観楓会」
 北海道独特の催しとも言われる観楓会。1903年10月17日小樽新聞社は、稲穂峠で第1回観楓会を催した。臨時貸切列車を仕立て、山道駅(今の銀山駅付近)から徒歩で向かい、峠頂上に会場を設けた。300人の参加者には、木村円吉(参加者最高齢の74歳)や白鳥永作といった小樽の名士もいる。
 当時は、埋立問題や水道布設、北海道鉄道の建設などの問題があり、小樽区民の間に何かと波風が立っている時期だった。帰りの列車の機関車が仁木付近で脱線するというアクシデントもあったが、けが人もなく、全員無事、歓を尽くして終了。
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 「健康法さまざま」
 電気は当時、万能の新技術とでも思われたのか「電気綿」「電気帯」「電気水」といった電気による治療薬・治療器が現れている。「電気水」は、感電する危険はないだろうか。その後次々と、「紫光線」「オゾン」「ラヂウム」「磁力」など利用した治療器が続々登場。
 おかしいのは、すぐに類似品が出てくることで、代表的な電気治療器「ラジオレーター」には、「エヂソンズレーヤー」「レトビー」といった形の似ているものから、名前までそっくりな「ラヂオレーヤ」「超ラヂオレーヤ」といった名称の治療器があり、にせもの注意という広告もある。
「睡眠術と千里眼」
 明治初期に欧米からもたらされ、1903年ころから全国的に流行した睡眠術は、主に病気治療が目的だった。小樽でも睡眠術を医療に応用する医者が現れ、弊害の多い睡眠術治療の是非を巡り、新聞紙上で論議が交わされた。
 千里眼は明治40年代日本でも大ブームとなり、各地に千里眼ができるという人が続出した。小樽にも透視ができるという人が出現、評判となる。ところが、全国的な千里眼真贋論争のさなか、肝腎の千里眼能力者2人が相次いで死去。各地に出現した千里眼能力者も、トリックが暴かれるなどして、ブームは一気に醒めていく。
 千里眼騒動の後、大正時代に入ると、今度は霊術が盛んになる。霊術も病気治療が目的で、さまざまな霊術家が登場している。その代表者の一人浜口熊獄も来樽した。
 これらに関係する本やパンフレット、広告、放射蒸熱電気治療機と説明書使用書、水をいれるだけの鉄製の枕(全治枕)、オキシヘーラー(酸素療器)、ラジオレーヤー(電気治療器)、心霊万能論の本や睡眠術教授書など、めったに見る機会のない興味深いものが展示してある。これらは渡辺真吾氏のコレクションである。
 同文学館の玉川薫副館長は、「根拠がなく怪しいものや悪口、今では名誉毀損になりそうな書き方もある。ゴシック的でスポーツ紙や女性週刊誌的だったり、大変おもしろい。大きな事件より日々の健康の事やハエについて、庶民の本音を見逃していないし、今以上につながっている」と話している。思わず笑える新聞記事特集なのである。
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