4月30日(土)から任期が始まった中松義治新市長(64)は、5月2日(月)に初登庁するが、その船出に水をかけるような、中松後援会の「励ます夕べ」のパーティー券が、市役所内で幹部職員のあっせんで売買されていた事実が分かり、小樽警察署が捜査を開始したため、大きな衝撃が走っている。
山田厚副市長は、日曜日にもかかわらず、5月1日10:00から、急きょ、市役所市長応接室で記者会見を開いた。パーティー券のあっせん売買の事実が庁舎内であったことを認めるとともに、「市民にお詫びしたい」と陳謝し、「事実関係を明らかにして、公務員規程に則り、厳正に処分する」と明言した。
このパーティー券あっせん売買は、4月24日(日)投開票された小樽市長選で、新人の猛追を振り切り、初めて当選を果たした中松義治氏の後援会が、3月22日にグランドパーク小樽で主催した「励ます夕べ」の1枚3,000円の券を、部長があっせんし、幹部職員に売買したもの。政治資金規正法では、公務員によるパーティー券のあっせん売買は制限されており、法に抵触するおそれが浮上した。このため、小樽警察署が動き、市役所の部課長から、任意の事情聴取を始めたことから発覚した。
同パーティーでは、約1,200人の参加者があったが、「なんだジュース1杯しかないじゃないか」との声が上がっていた。
1日の記者会見で、山田副市長は以下のとおり話した。
「政治資金規正法違反の疑いで事情聴取を受けているとして報道されていることに対し、現在把握している範囲でお話しをさせて頂きます。4月26日 頃から、小樽市の部長職以下管理職が警察の事情聴取を受けていると承知しております。聴取の内容については、現在進行形の内容で詳しくは承知して おりませんが、去る3月22日に開催された中松よしはるを励ます夕べというパーティーの券を売った者と買った者が事情聴取を受けているものでご ざいます。現在捜査中と認識しており、全容が明らかになり次第、市として法に照らして対処したいと考えております。いずれにしても世間をお騒がせ していることに対して、市民の皆様にお詫びを申し上げたい」
「全容というのは、中身がどういう形で動いたのか把握していないのでなんとも言いえないが、400も500人もいる職場ですから、ひとつの職場の中に、政治的なパーティーの券が流れてくるのは、今回だけではないと思う。一部報道にされたような政治資金規正法違反の部分は、私を含めて率直に 言って十分理解していなかったということです。公務員ですから、公職選挙法ですとか地方公務員法という中で政治活動を禁止なり色々認識している部分はあるが、議員さんですとか政治活動団体とか、そういったところの中心の適用という認識しかなかった。そういう意味では軽い気持ちで、頼まれたから売ったようだと聞いている。どういう形で流通していったのか、私どもも調べながら把握していきたい」
「市としては、27日の朝、事情聴取を受けたのものが、26日の夕方からこういう話を聞かれたと聞いたのが最初。事情を聞かれた当人から直接話を 聞いた。わたしのところには、市の労務管理する方に報告がありました。そのときは一人でした。その後3人くらいいたというが、把握している数と実際違うかもしれないので分からない」
「今回の形での経過は承知しておりません。私が部長だった時、役所の中のルートで券を購入したりしたことは承知していない。役所の中で問題になる 形で券が流れたことは承知して いない」
「私どもの方には、一枚、二枚という単位では、国会議員さんとか、政党だとかの人から、お付き合いという意味で来ることはある。どなたかがお買いになることはあるが、私自身、いちいち把握してはいない。慣習になったとかで、行われていることはないと認識している。ただ今回調べられている事案は把握してからになる。常態化されて出回ることは、40年いるが記憶にはありません」
「誰が渡したかは中松さんの陣営に聞いて下さい」
「今回の事案が起きて、改めて研修なり、地方公務員法、政治に対する中立性だとか、公職選挙法とか、政治資金規正法に関し、きちんと知らしめることはした い。どうしても政治に近いところで働いているので、政治家が目の前にいるので、お付き合いというのもないとは言えない」
「小樽市としてどう答えるかは、あえて言わせてもらうと、昨日、中松新市長が任期始まり、出勤してもらいました。この問題を含めて報告を致しまし た。で、新しい市長からは、基本的に法律に順守すべき職員が法を犯し聴取を受けているのは大変遺憾である。調査が進められている中で、今後明らかになるが厳正な態度で措置していかなければならない。今日こういった事案は報告させてもらいましたが、新しい市長 の見解は、明日、記者会見があるので、私の方から変なことも言えませんので、その分だけはご理解して頂きたい」とした。
政治資金規正法では、政治資金パーティの対価の支払について、あっせん及び関与の制限がされており、市役所内で公務員によるパーティ券売買の事実は、この法に抵触するおそれがある。この違反の罰則は6ヶ月以内の禁固、30万円以下の罰金とされており、また、公民権も停止される。すでに事情聴取を受けた市の幹部職員は、本社の取材に対し「警察では5時間以上にわたって徹底的に聞かれた。パーティー券を買ったことは事実なので、そのことは認めた」と答えている。
中松新市長の船出直前に、自らの後援会幹部が関与し、親しい部長を通じて、約130枚のパーティー券を、市庁舎内で捌いたことは、刑事事件に発展する可能性が強い。市役所では、関係者数の多いことで、今後の警察の捜査の行方を、固唾を呑んで見守っている。
このため、5月2日に初登庁する中松新市長を、正面玄関前で行う歓迎セレモニーは中止となった。新市長は午前9:00に部長会を招集して、対応することにしている。なお、市の幹部職の部長(次長)職は50人、課長職は150人で、全部(消防・病院を含む)で200人いる。このうちの130人の関与が疑われているだけに、小樽市役所では、新年度早々から大きな事件に巻き込まれている。新市長が、幹部職の人事などを含め、どう対応するかに注目が集まることになる。
◎政治資金規正法のあらまし