ズサン工事で被害!市や業者に3億2,000万円を請求!


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 小樽市富岡1丁目で造成工事中の4階建共同住宅の隣接地の住民4人が、ズサンな工事で土地建物に被害が生じたとして、施工業者や小樽市などに、連帯して3億2,000万円の損害賠償を求める訴えを、7月8日(木)に札幌地方裁判所小樽支部に起した。

 問題となっている工事現場は、富岡1丁目の富岡カトリック教会の隣接地。幅約10m、長さ約90mの細長い土地で、北側には5~6mの石垣があり、この上に住宅が建ち並んでいる。

 ここに「小樽市富岡高齢者優良賃貸住宅」として、高さ10m、地下1階地上3階建の共同住宅を建設しようとするもの。建築主は、小樽市富岡2丁目の株式会社エス・アンド・エス(斎藤裕敬代表取締役)。平成14年10月に建築確認と宅地造成工事許可を市が下した。平成15年2月から、何の説明もなく突如工事が始まった。このため、住民の強い要求で説明会が開かれ、市も参加した。

 しかし、工事開始後から、掘削により地盤沈下の被害が生じ、拡大していったという。8日(木)15:10から市役所で記者会見を開いた住民は、「家が傾いている。居間の椅子も斜めになっており、天井が落ちてこないか心配。不安で不安で毎日が大変な思いをしている」「市役所に工事中止を再三申し入れた。庭は20cmも沈下し、石垣もひび割れた。家の周りも鉄平石もせり上がり外れてしまった」と口々に被害を語った。

 訴えられたのは、建築主の株式会社エス・アンド・エス(小樽市富岡2丁目・斎藤裕敬代表取締役)、請負業者の株式会社創匠計画(札幌市豊平区・斎藤正人代表取締役)、設計の木戸雅行一級建築士(札幌市西区)と工事監理の株式会社北海道建築総合研究所(札幌市中央区・木戸雅行代表取締役)の4業者と、小樽市の山田勝麿市長。

 訴訟代理人の高崎暢弁護士(札幌市中央区)は、「宅地造成規制法により、小樽市が適切な審査をしていれば問題はなかったと思う。工事停止命令を出さなかったことで被害が拡大した。建築主や施工業者は勿論だが、放置した市の責任も大きい」と、土地に対する現状修復工事代3億2,287万円の損害賠償を請求した。建物の被害は拡大し続けており、被害の全容が判明し次第、追って請求することにしている。

 これに対し、小樽市の鈴木忠昭助役が「正式な訴状を見ておりませんので、今の時点ではコメントを控えさせていただきます」と発表した。


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 現在、富岡の造成工事現場は、崩落を防ぐため、市により白いビニールシートで覆われている。

 今回の提訴は、平成15年4月に裁判所により、本工事の続行禁止の仮処分命令が出ており、その後、業者らが何らの対策工事も実施せず、現場が放置されたままになっていることからという。

 なお小樽では、訴えられた建築主・株式会社エス・アンド・エスの斎藤裕敬代表取締役は、平成15年4月に実施された道議会議員選挙に立候補し、5人の候補者のうち最低得票で落選したことで知られている。