小樽美術館特別展「2つのピント 羽山雅愉×高野理恵子」

 市立小樽美術館(色内1・新明英仁館長)では、2階企画展示室で2021(令和3)年度特別展Ⅳ「2つのピント 羽山雅愉×高野恵理子」を、2022(令和4)年1月16日(日)まで開催している。

 

 個人展やグループ展で活躍の同市ゆかりの現代美術家を取り上げてきたが、今年度から新たな視点で、表現方法の違う2人の現代美術家にスポットを当て、今回は、表現が織り成す相乗効果を堪能するシリーズ第1弾目となる。

 

 羽山氏は1943(昭和18)年釧路生まれの油彩画家で、高野氏は1976(昭和51)年小樽生まれの版画家で、現在は共に小樽在住。表現方法は違うが、日常の雨から自分だけのピントを見つけ出すというテーマの下、作品を発表している。

 

 羽山氏は、特別な風景ではなく、普段見ている日常の風景の雨上がりや水溜まりができるほどの雨が降った様子を、実在の建物と一緒に風景を創作し、来場した人々の心に印象づけている。

 

 最近では、コロナ禍で外出を控えたことから、モチーフが風景から静物に変化したロマンチックな初公開作品も含め、2014(平成26)年〜2021(令和3)年の26点を展示。

 

 一方、高野氏は、一原有徳に憧れを持つ版画家で、塩化ビニール板やアクリル板・銅板などの素材に、ニードルや針・デザインカッターなどで傷をつけ、布や糸・紙などを貼り合わせて版を作る。

 

 インクは青・赤・金・黒の4色しか使わず、混ぜ合わせるなど瞬間的に様々な色が生まれ、実験を重ねながら作品を作り出している。

 

 2014(平成26)年から、テーマ「Ame(雨)」で作り続け、2021(令和3)年までの28点を展示している。

 

 担当の山田学芸員は、「羽山氏の作品は人のいない小樽のまちを描き、非現実的だと感じていたが、コロナ禍で訪れた新しい日常ではそれが現実となり、先が見えない日々が続いている。2人のアーティストが日常的なものと捉えた作品を見てもらうことで、新しい見方や考え方を発見してもらいたい」と話した。

 

 2021(令和)年度特別展Ⅳ「2つのピント 羽山雅愉×高野理栄子」
 10月23日(土)〜2022(令和4)年1月16日(日)9:30〜17:00(入館〜16:30)
 休館日:1/10を除く月曜日•11/4•24•年末年始(12月29日〜1月3日)•1/11•12
 観覧料:一般600円、市内高校生・70歳以上300円、中学生以下無料

 

 関連事業
 文化の日 木工アートスタジオ
 「水の模様をつかまえよう〜マーブリングキーホルダー」
 11月3日(水)13:30ミーティングルーム 参加費300円・定員12名
 問合せ:0134-34−0035・FAX:0134-32-2388 市立美術館

 

 ◎特別展「2つのピント 羽山雅愉×高野理栄子」(外部)