解体猶予の期限が10月末に迫る、北海製罐(東京)所有の小樽工場第3倉庫について保全・活用へ向けて発足した、第3倉庫ミーティング(駒木定正座長)は、7月5日(月)10:00から、市役所(花園2)2階市長応接室で、北運河エリアの活用策を前提に、同倉庫を含めた周辺エリアでのプランなどの中間報告を行った。
同ミーティング発足以来10回のコア会議や5回のワーキンググループ会議を実施し、倉庫内部の見学会・オープン勉強会・ライトアップ・ガバメントクラウドファンディング・展示会・VR制作・FMおたるでの放送などを行い、市民意識の醸成を図るなどしてきた。
他都市の先進事例・同倉庫の建築構造・都市計画の課題・建築や文面からの価値・第3号ふ頭や北運河地区など周辺エリアにおける位置づけ・老朽化調査などをまとめ、迫俊哉市長、小山秀昭副市長、山本秀明商工会議所会頭、西條文雪観光協会会長、関連部局へ報告した。
方向性のポイントとして、1.市民の暮らしと結びついた第3倉庫の活用、2.国登録有形文化財への登録、3.当面の間、小樽市による土地・建物の所有の3つを掲げた。
1は、北運河の中に同倉庫があり、運河周辺には市民の暮らしがある。同地区の歴史的な環境を生かし、市民と日常生活空間に観光客が溶け込む拠点として同倉庫を位置づけ、導入施設や機能の検討を進めている。
2は、1924(大正13)年に完成し、鉄筋コンクリート造の中でも、埋め立て地に建設された希少な事例で、荷物を運搬する機能が運河側に集約され、大正時代の倉庫として先進的な設計と構造は、文化財としての価値があり、国の技術指導や助成支援が得られるためにも国の有形文化財の登録を提案した。近代の建物をどう残すか良い事例となる。
3は、解体猶予が今年10月末に迫る中、市民の関心の高さから解体を回避するためにも、当面の間、小樽市による土地建物の所有を求めた。
同倉庫は、港湾エリアの用途規則があり、変更には様々な議論や手続きが必要となるなど、本格活用に向けた概ね4年程度のスタート期間と、概ね20年程度の本格活用期間の2つに分けてプランを考えた。
劣化調査の結果、外観ではひび割れ・漏水痕跡が各所で見られ、断面欠損箇所の一部では鉄筋が露出し腐食しているが、鉄筋の腐食の進行はなく健全であったことが分かった。
ライトアップをプロデュースした同メンバーの福島慶介氏は、第3号ふ頭の整備が進み、大型駐車場に着目。クルーズ客船ターミナルなど、市民も含めた港エリアの来訪に大きく貢献すると考え、港エリア再開発と第3倉庫、港の景観・環境を活かした魅力的な徒歩圏構想を発表。
迫市長は、「残された時間も僅かとなり、意見をしっかりと尊重したい。歴史と文化を活かしたまちづくりの考えは、商工会議所と一致している。大きな建物の利活用には時間がかかる。今の時点では、市所有の考えを排除することはない」と述べた。
今後、最終案をまとめ、9月末に市に提出する。
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