10月23日(土)から始まった小樽市総合博物館運河館(色内2)のパネル展「石狩砂丘のきのこ」のギャラリートークが、24日(日)13:30~15:00、同館・第一展示室で行われた。
石狩湾に沿って広がる石狩砂丘は、海岸特有の貴重な自然が残る場所として知られている。小樽市銭函大浜から石狩市厚田区無煙浜までの全長約30kmにわたって続く。
砂丘にはきのこが発生するはずがないと思われがちだが、同所には、絶滅が心配される貴重なきのこをはじめ、多様な菌類が生息し、海浜植物とともに、海岸砂丘の環境保全に大きな影響を与えている。
同展では、砂浜海岸でのきのこの生態に関する基礎的知見を得ることを目的として設立した「NPO法人北方菌類フォーラム」(竹橋誠司理事長)が、調査で採集したきのこ23種、うち日本新産種5種などを写真と解説パネルで紹介している。
このギャラリートークには、約15人の市民が参加。竹橋理事長の石狩砂丘の生態系とキノコ類についての解説に熱心に耳を傾けた。
「プロの研究者は、石狩砂丘に踏み込んで調査しておらず、アマチュア主体で調査が進められている。我々日本人は、分類に鈍感で、欧米人は生物の生態系をシステマティックに見ている。きのこの調査では、欧米から100年も遅れており、日本はまだ江戸時代だ。
石狩砂丘は、石狩湾新港などの港湾設備の開発で自然が大きく変わりつつある。石狩砂丘には、海浜性植物が発生し、日本有数のカシワ林が広がっている。海浜性植物は、砂浜を安定させる効果を持っている」と解説。
ハラタケの仲間やスナジホウライタケ、クロニセホウライタケなど約20種類を写真とともに説明。絶滅危惧種1類の幻のきのこ「アカダマスッポンタケ」については、「この石狩砂丘で、日本では約98年ぶりに再発見された。空気に触れると見る見るうちに赤くなり、紫に変色する。現在、砂丘のごく一部のエリアしか生息していないが、継続的に発生している。多分、本州ではすでに絶滅している」と述べた。
会場からは、同砂丘に建設が計画されている風力発電についての質問が出され、「風車が建つとこの場所の環境は大きく変わる」と生態系への影響を危惧していた。
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