公益財団法人北海道文化財団(磯田憲一理事長)事業、2020(令和2)年度ものづくり一本木選奨の地域貢献賞に、小樽時の染織工芸家・寺岡和子さん(82)が選ばれ、3月19日(金)13:30から、市立小樽美術館(色内1)1階研修室で贈呈式が行われた。
推薦者の林秀樹教育長、彫刻家で同団の阿部典英副理事長と髙橋来チーマネージャー、新明英仁美術館館長、2017(平成29)年度奨励賞受賞の硝子作家・木村直樹氏らが出席。
道内における工芸美術及びものづくり等の分野での取り組みを応援する「長原 實・スチウレ・エング 人づくり基金(愛称:人づくり一本木基金)」の事業は、2015(平成27)年から始まり、道内出身・在住者を対象に、向上発展に関して功績が顕著な人、今後の活動が特に期待される人に贈られ、これまでに19名が受賞している。市内では、木村氏と2018(平成30)年度奨励賞に硝子工芸家の馬場雅己氏が受賞している。
今回受賞の寺岡さんは小樽出身で、医師の父と日本画家の母の3女として生まれ、子どもの頃から切れ端の布や糸を使って、ものづくりをすることが好きだった。
母の母校である女子美術大学芸術学部工芸科卒業し、1982(昭和57)年に染織アトリエKazu手織教室を開設。1984(昭和59)年に女流工芸一の会を設立。大学非常勤講師や展示会など積極的に活動。常に高い作品づくりに励み、染織の分野を背負う存在。小樽職人の会に加盟し、グループ展や職人展、各地の北海道物産展に多数出展している。
店舗兼工房では、ウールやシルク・木綿・麻など、糸を紡ぐところから染め布作りを行い、服やマフラーなどの小物を制作している。現在、社員5名・内職10名ほどが在職。
阿部副理事長は表彰楯を手渡し、「地域貢献賞は、特に地域社会への貢献や活性化に貢献した人に、令和2年度新たに設けた賞で、3名の推薦があり、満場一致で決定した。
寺岡さんは、染めと織りの工芸作家として、小樽はもちろん、国内外で作家活動を行い、愛好者や後進の指導育成に関わり、長年のキャリアに加え、自身の工房以外でも幅広く地域社会の活性化に力を注いでいる」と、受賞の経緯を述べた。
推薦者の林教育長は、「本土における美術ものづくりにおいて、格式の高い名誉ある賞。創作活動の実績に加え、地域に貢献している。市民にとっても嬉しいニュース」と、受賞を讃えた。
寺岡さんは、「小樽に支えられている。受賞できとても嬉しい。これからも、糸を上手に扱い、注文する人の心を読むことを大切に、納得してもらえるよう制作に励みたい」と話した。
受賞を記念した作品展「染と織-寺岡和子の世界展〜潮風にいだかれて」が、同館1階市民キャラリー1・2で、4月28日(水)~5月9日(日)開催を予定している。入場無料。