市立小樽美術館(色内1・新明英仁館長)2階企画展示室で、札幌の収集家小林氏によるコレクションを一堂に紹介する「北海道の日本画家たち」が、3月13日(土)から始まる。
同氏が四半世紀に渡り収集した、北海道に画壇が形成される以前の草創期から戦中戦後、現代日本画壇で活躍した画家たちに至るまでの広範囲にわたるコレクション51点(同館収蔵品4点を含む)を展示。
第Ⅰ期は、日本画の伝統がない北海道に移住した優れた指導者、その後、道展に加わった日本画部創立会員と美術学校出身者、在京美術家、日本画を志した後進らが、次々とグループ展を興し、戦後、北海道日本画協会結成に至るまでを紹介した。
小樽の商家に生まれた筆谷等観(1875-1950)は、小樽出身の画家として最も早くに活躍した日本画家。
19歳で上京して横山大観に師事。東京美術学校に進み、橋本雅邦に師事し、伝統的な狩野派の画法を学ぶ。
会場では同氏の画業の変遷を伝える、風景画や朦朧体(輪郭を使わず空気を表現する技法)の作品、後期には色のないものや仏画へ。梅の木の精を描いた「羅浮仙」をはじめ、中国の人物画などの作品を残している。
札幌師範学校に赴任し、多くの美術教員や画家を育成した東京美術学校出身で草創期をリードした画家の菅原翠州、岩内に生まれ厳しい生活の中で、雑草や野いちごを使って描いた画家・佐藤栄次郎(1888-1970)、小樽日本画家協会を盛り上げ、多くの日本画・水墨画愛好家を育てた本間聖丈氏などの貴重な作品も紹介している。
この特別展の企画は3年前から話があり、コレクションを提供した小林氏は、「収集のテーマを筆谷等観と北海道ゆかりの画家として、当所は1人一軸とした。20世紀前半頃のものが主となった。筆による細密な表現は見事で、墨で雨や雲、墨の多様な表現を観てもらい」と話した。
4月28日(水)・29日(木)・5月1日(土)・2日(日)に、同館1階市民ギャラリーで、「本間聖丈展-小樽日本画協会とともに」の開催を予定している。
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