「森山大道スライド&トークイベント」が、8月8日(日)13:30から、小樽運河プラザ(色内2)で開かれた。参加者の中には、アマチュアカメラマンや写真愛好家などの姿が多く見られ、戦後日本を代表する写真家の一人・森山大道さん(72)の一言一言にじっくりと耳を傾けていた。
森山大道さんの写真展「北海道―第2章/展開 小樽展」は、7月31日(土)から小樽運河プラザ(色内2)・JAZZ喫茶フリーランス(色内2)、8月3 日(火)から市立小樽文学館(色内1)の3会場で開催されている。スランプに陥った1978(昭和53)年夏に、滞在していた北海道で撮影した写真や、最近、小樽で撮り下ろしたデジタルカメラ・カラープリント作品を展示し、話題を呼んでいる。
スライド&トークイベントには、約100人が訪れた。小樽商科大学写真部の学生たちがボランティアスタッフとなり、森山さんの言葉に耳を傾けながら、会場運営に汗を流していた。
森山さんは、「35年前、あの賑わっている小樽の街を撮っておけば良かった」と、当時撮影した写真をスライドしながら語った。小樽は、若者たちが、ポートフェスティバルなどを開催し賑わっていたが、その小樽の熱い夏に背を向け、ひたすら落ち込んでいた自分を振り返った。
スライドショーの中には、最近撮影したデジタルカメラの写真があり、小樽の街並みのほかに、潮踊りを練習するミスおたるや指導する藤間扇玉さんを撮影したものも。「女性を撮るのは苦手で、いつも壁ばかり撮影しているせいか、どうも壁にピントがいってしまう」と、ミスおたる2人の顔がピンぼけした写真や目をつぶる表情の写真を紹介。会場から笑いが起こった。
「どこの街でも、他の街を撮るということは、目の前の街との対話、そして、それを撮る自分との対話。その対話をしている時間の中で、シャッターを押していく。今回、小樽で撮影した時間は1時間30分だったが、久々に楽しかった。天狗山から夜景を撮ろうと山頂に行ったが、霧で夜景が撮れなかった。でも霧の山頂を撮れたのでかえって良かった」。
「どうしてデジタルカメラを使うようになったかというと、アナログカメラの材料がどんどん無くなってきたこと。あと、自分には、写真は写れば良いという原則があるから、無くなっているものにこだわらないで、撮れれば良いという単純なこと。小樽、北海道は、カラーで撮っているが、それは、札幌の芸術の森で写真展をするのに、30年前のモノクロでやるだけではないというのも見せたいから。フィルムでもかなりの枚数を撮るが、デジタルだとどんどん撮りたい気持ちが増える。それがデジタルの良い点かな」と語った。
写真展「北海道―第2章/展開 小樽展」は、小樽運河プラザとJAZZ喫茶フリーランスが8月22日(日)、市立小樽文学館が29日(日)まで。
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