昆虫の研究を続ける小樽市総合博物館(手宮3)山本亜生学芸員は、外来種と考えられるマダラカマドウマ属クラズミウマ亜属の一種、Diestrammena coreana(ディエストラムメナ・コレアーナ)が、国内で初めて小樽に生息しているのを確認し、バッタ目昆虫専門家の伊藤元博士(株式会社地域環境計画)の共著で論文をまとめ、日本昆虫学会の学会誌「昆蟲(ニューシリーズ) 」で公表した。
体長15〜18mmの明るい茶色で、横縞模様が目立ち、脚と触角が非常に長い。市内でも良く見られる暗いこげ茶のカマドウマと黄色に黒のまだら模様のマダラカマドウマ2種のカマドウマ類との見分け方として、後脚に小さな棘と、胸の部分に光沢があるのが特徴。
クラズミウマ亜属という分類群に属し、胸の光沢の特徴から、新たな和名「ツヤムネクラズミウマ」の名付け親となった。
2015(平成27)年、市内中学校校舎内で捕獲された同類の一種が、日本に生息するどの種とも異なることが分かり、山本学芸員らによる5年越しの研究が始まった。
朝鮮半島・中国・ロシア極東部に分布する、学名「Diestrammena coreana(ディエストラムメナ・コレアーナ)」という種に該当することが判明。
さらに調査を続け、小樽市街地を中心に広範囲に渡り多数の個体が確認され、国内で例はなく、小樽でも2010年代以前には確認されていないことから、最近侵入し定着した外来種と考えられる。
ロシアウラジオストク市や韓国などから生息の報告があることから、港を経由して侵入した可能性がある。
潮見台・真栄・花園・梅ヶ枝町・末広町・手宮・赤岩・蘭島で生息が確認され、現在のところすべて屋内だけで発見。野外の生態系への影響や衛生上の問題は、ほぼないと考えている。
山本学芸員は、「博物館では、30年ほど前からどんな生き物が住んでいるか調査を続けている。その中で新しい発見はいくつかあった。この度も地道な調査の成果と言える。どこまで生息が広がっているのかも興味深いところ」と、更なる調査に期待した。