北海製缶小樽工場第3倉庫保存へ要望書提出

 小樽多喜二祭実行委員会は、11月6日(金)9:50から市役所(花園2)2階市長応接室で、北海製罐小樽工場第3倉庫(色内3)を保存し、北運河地域の再活用を求める要望書を迫俊哉市長に提出した。

 

 同実行委員会共同代表の琴坂禎子氏・寺井勝夫氏・大地巌事務局長・槍水孝雄委員が出席して保存への思いを伝えた。

 

 北海製罐が所有する小樽運河沿いの小樽工場第3倉庫(1924年建築)は、老朽化が進み年度内に解体する話があったが、10月20日に迫市長と同社役員が会い、解体を来年秋まで先送りすることに決まった。

 

 この倉庫は、大正から昭和初期の北海道の心臓・商都小樽、小樽運河地域の歴史的建造物の象徴で、小林多喜二の作品「工場細胞」の舞台にもなっており、失ってからでは取り返しがつかないと、同実行委員会が要望書を提出した。

 

 第3倉庫は歴史的シンボルで、北運河を考えるとどうしても倉庫を残し守り通してもらるよう、市民にも呼びかけてもらいたいことと、小樽運河の原型を残す北運河地域の価値を高める艀を復活させ、製缶工場・北浜橋・石造り倉庫・運河が一体となり、新しい観光ポイントとして北運河の開発について要望した。

 

 迫市長は、多喜二の同作品の中に、「その一角に超弩級艦のような灰色の図体を据えていた」と表現されていることにも触れ、「この倉庫がなくなると、歴史的景観が失われる。公約にも北運河地区を守ることを掲げていている。小樽観光にとって、北運河を整備して回遊性を高め、小樽に滞在する時間を増やすためにも北運河は大事で、その拠点を第3倉庫としたい。

 


 艀については解体に多きな反響があった。残そうと維持保存してきたが、専門家の話から難しいと聞き、やむを得なく解体した。北運河一体の景観を保持するためには大切」と述べた。

 

 寺井氏は、「同委員会では、多喜二の文学的な業績を中心に運動することが、同実行委員会の役目ではあるが、多喜二が生きた時代的背景を甦らせる運動もとても大事なこと。多喜二が軍艦のようだと表現した第3倉庫を含めて残すことができれば、多喜二が生きた時代背景が甦ってくる」と、強く保存を要望した。