小樽市忍路1の石造倉庫と古民家を改修して、再生医療に貢献する日本のバイオ研究開発企業・株式会社金太郎Cells Powerが10月に開設され、幹細胞培養技術の開発拠点が新たに誕生した。
10月6日(火)には、迫俊哉小樽市長らが出席し、開設の記念式典が開かれた。
ロシア出身の実業家アレクセイ・グラドコフ代表取締役(55)は、2009(平成21)年に心不全を患い引退を決意していたが、ロシアの医療機関で骨髄由来間葉系幹細胞による治療で回復し効果を実感。再生医療技術を世界に広めるアプローチを始めた。
2011(平成23)年には、前身となるAVCellsをシンガポールに設立し、同細胞の研究開発に着手。2014(平成26)年、金太郎Cells Powerを東京に創業。
2018(平成30)年には、「幹細胞培養方法」について、日本国内で特許を取得し、日本以外では、シンガポール・台湾・香港・ロシア・フィリピン・韓国・中国・インドネシアなど、アジアの国々で金太郎細胞のビジネスネットワークを展開している。
幹細胞とは、自己複製能と様々な細胞に分化する能力を持つ特殊な細胞で、骨髄の中から希少な間葉系幹細胞を抽出し、50年以上に及ぶロシアの幹細胞研究開発を基盤に、日本の高度な細胞培養技術を融合して生まれた「金太郎細胞」は、優れた治癒力を持つ。
アジアを中心とした様々な国で同細胞の施術(2,200件)が行われ、多くの人の健康に貢献している。
ロシア育ちの同氏は、様々な観光地を回ったが、忍路の豊かな自然環境が気に入り、8年前に別宅を建て東京と行き来きしながら過ごしている。
石倉を無菌研究室に再生し、細胞培養の技術のロボット化と自動化に取り組み、医師で妻のニーナさんと助手2名が研究にあたる。
古民家は、天井や欄間などをそのまま活用した和室と、白壁に塗り替えた洋室に同社本社機能を移す。改修は、地元の亀谷建設有限会社(塩谷1)が行い、ザ・グラス・スタジオインオタル製造のランプシェードで、おしゃれな空間を創出し、オール小樽を意識。
敷地内には、一般開放している細胞神社を設置。芝生を敷き詰めた中庭の通路は、当社のカラーである青色を使用。幹細胞にちなみ、上空からみると木の幹のように見えるように描かれているという。
同氏は、「素晴らしい細胞の医療としての認可を、どう取るか悩みではあるが、日本で幹細胞培養のロボットを使い自動化したい。全国のどこかで研究所を増やすためのサポートができればと思う。
また、研究施設の新設提案を進めるためには、理解がなければ不可能で、再生医療の価値について、海外の情報やメカニズムの説明を知人の医師などから伝え、教育や理解も進めたい」と話し、当社キャラクターの金太郎に願いを込め、人々の健康寿命を延ばすことが今後のビジョンだとした。