「銭函4・5丁目の自然 今年度の調査から」 市総合博物館

zenibako45.jpg 小樽市総合博物館・運河館(色内2)は、12月5日(土)から来年1月29日(金)9:30~17:00まで、小さな企画展「銭函4・5丁目の自然 今年度の調査から」を開いている。
 同館は市内に生息する全ての生物のリスト作りを目指し、1991(平成3)年から調査を続け、これまでに昆虫を中心に約2,000種の生物を確認・記録している。
 2004(平成16)年からは、小樽市銭函4・5丁目の新川河口から樽川ふ頭まで、約4.5キロにわたる海岸で動植物の調査を行っている。
 同地区には、広大な砂丘や湿原、カシワ海岸林などの特徴的な自然が見られる。砂丘には、ハマナスなどの海浜植物の群落が広がり、多様な湿原植物が生い茂る湿地も点在する。小樽内川跡には、広い湿原が広がり、カシワの海岸林は日本最大規模と言われている。
 今年で6年目となった新川河口地区の調査では、これまで25種類の絶滅危惧種を確認している。「全国的に失われつつある海岸の自然環境が良好な状態で残されていることがわかった」としている。
 山本亜生学芸員は、「公的な事業として調査をしているので公表しないといけない。今年の調査で見つかった貴重なものなので、ぜひ市民の方々に見て頂きたい」と話している。
 企画展では、今年度の調査で確認した昆虫と植物計14種類の絶滅危惧種を展示。これまではトンボ類やコウチョウ類、セミ・カメムシ類の調査報告は公開されてきたが、植物についての報告は初めて。
 初展示の植物は、カヤツリグサ科・ジョウロウスゲ、シャジクモ科の沈水性藻類・シャジクモ、タヌキモ科の沈水植物・イスタヌキモなど6種類。どれも環境省や北海道の絶滅危惧Ⅱ類や希少種などに指定されている。
 関連記事1 関連記事2
 この貴重な自然が残る銭函4・5丁目では、現在、風力発電の建設計画が浮上しており、「銭函海岸の自然を愛し、生態系全体を守りたい」と市民による反対運動が起きている。12月19日(土)13:00~17:00には、「あの場所には貴重な植物や昆虫たちが生息しているので、きちんとした議論が必要だ」と、生涯学習プラザ(レピオ・富岡1・稲穂小学校内)で、建設を計画している株式会社日本風力開発と反対する市民団体との交渉が行われる予定。関連記事1 関連記事2