小樽雪あかりに路の開催に合わせ、2月1日(土)~24日(月・祝)、市立小樽文学館(色内1)カフェコーナーで、「伊藤整と小樽市中学校」にスポットを当てた、雪あかりミニ展示を開いている。
冬の北海道を代表するイベントに成長した小樽雪あかりの路の名は、小樽出身の文学者・伊藤整(1905~1969)が、1926(大正15)年に出版した最初の詩集のタイトル「雪明かりの路」に由来していることから、詩の世界と背景を知ってもらおうと、2016(平成28)年からミニ展示を続け、今年で5回目となる。
今回のテーマは「伊藤整と小樽市中学校」。小樽高商を卒業後、小樽市中学校(現長橋中学校)で国語と英語の教師をしていた頃、同詩集を編集刊行。整は21歳の若者だった。
同中学校は、現在の小樽市立長橋中学校の前身で、小樽の海運王などからの寄附により、1925(大正14)年に建設された。北海道で唯一の市立中学校で、教育設備が充実し、屋外運動場や公認プールなどを完備したモデルスクールだった。
整は、市中心部にある夜間補習学校の授業も掛け持ち、自宅通勤が時間的に難しいことなどから宿直を希望。4~5日おきの宿直を、他の教師の代わりも務め、吹雪の音やストーブの音などを聞きながら、青年の夢と切ない恋心などの詩を書き綴り、それが同詩集の原型となった。宿直は、集中して詩を執筆できる唯一の場所だった。3年ほど教師を務め、1928(昭和3)年上京し、作家活動に専念することとなる。
会場には、整の写真や細かい字で綴られた原稿の複製、資料整理のため焼却を免れた当直通知簿、同詩集、中学校教師時代から同詩集が認められて上京するまでの日々が書かれた1956(昭和31)年8月新潮社発刊「若い詩人の肖像」など、約10点もの資料が展示されている。
担当の亀井志乃学芸員は、「これまでの展示は、伊藤整さんという人の方に焦点を当てていたが、今回は、雪あかりの路がこの世に生まれた舞台の小樽市中学校に焦点を合わせた。先端的な教育や色々なことに意欲的な校長先生、その下で働くことができた1人の教師・伊藤整が、幻想を心の中に大事に育み、できたのが雪明りの路だった。皆さんに、ぜひ知っていただきたい」と話した。
雪あかりのミニ展示「伊藤整と小樽市中学校」
2月1日(土)~24日(月・祝)9:30~17:00 11日(火・祝)は20:00まで延長
市立小樽文学館(色内1)カフェコーナー 月曜日休館
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