特定非営利活動法人「絵本・児童文学研究センター」(工藤左千夫理事長)の創立20周年を記念する第13回文化セミナー「みみをすます~河合隼雄の遺したもの~」が、11月23日(日)12:00から、市民会館(花園5)で開かれた。
このセミナーでは、毎年、日本を代表する文化人を講師に迎え、テーマ別に熱心な講演と鼎談が行われてきた。今年は、昨年逝去した河合隼雄名誉会長を追悼するセミナーとして開催された。
今年の第14回児童文学ファンタジー大賞の奨励賞授賞式が実施され、講師に迎えた谷川俊太郎・養老孟司・中沢新一の3氏による講演と鼎談が、約3時間半行われた。
多摩美術大学芸術学部教授・芸術人類学研究所所長の中沢氏は、「河合先生は、みんなに愛され、慕われた人」と故河合名誉会長を偲んだ。
「1986~87年頃、上智大学の講演の場に立つ機会があり、その席に河合先生がいらしゃって知り合うことになった。カトリックの批判をしてしまい、会場がシーンとなっていることに気付かず、後悔していた時、待合室にいた河合先生から、心に思ったことを話していては、イエスみたいにはりつけにされますよと言われた。背中が凍りついた。そして、これから私と付き合ったら、世の中をうまく渡っていけると言われた。河合先生は、すぐ冗談を言い、思っていることと逆の意味やひねったりして話す。僕が、社会からバッシングされている時に、電話がかかってきて、そのことに何も触れず仏教についての講演をやろうと言われた。本当に豪胆な人」と追悼した。
3氏の巧みな話術によって、満席となった会場から大きな拍手や笑い声が広がっていた。
◎特定非営利活動法人「絵本・児童文学研究センター」