市立小樽病院(若松1)にある小樽・後志地区で唯一の結核病棟(47床)が、9月29日(月)から休棟に追い込まれ、消えゆくことになった。
市立小樽病院のホームページの診療科案内の呼吸器内科では、「当院は後志地区唯一の放射線治療設備(リニアック)、結核病棟を有し、肺癌にあっては集学的、総合的な治療を、又結核等の感染性肺疾患の療養の場を提供しております」と記載。小樽・後志地区の基幹病院として唯一の結核病棟47床を運営していた。
しかし、呼吸器内科の専門医2名が、9月19日と26日で相次いで退職するため、呼吸器内科の休止とともに、小樽・後志地区で大きな役割を担っていた結核病棟も休止せざるを得なくなった。。
このため、結核病棟に入院していた4名のうち3名を8月までに退院させ、1名を一般病棟に移す措置を行っていた。現在では、入院患者がおらず、このまま、9月29日(月)から休棟することになった。
小樽・後志唯一の結核病棟の休棟は、相次ぐ専門医の退職で、このまま廃止される公算が極めて高い。呼吸器内科と結核病棟の休止は、これまで、樽病に患者を送り込むことが出来た市内の開業医にも、大きな影響を与える事態となった。
結核病棟の休止で、これから地域住民は、近隣の札幌医科大学(実稼動6床)、全国社会保険協会連合会北海道社会保険病院(10床)、札幌南病院(50床)など、札幌にある病院に頼るしか方法がないことになった。これにより、患者の札幌流出がさらに加速することになる。
市立小樽病院では、「当分、診る人がいなくなるので休床する」としている。現在、この結核病棟(47床)に対して、1床44万5,000円の計2,091万5,000円の交付税を得ている。「許可病床数ベースで交付税をもらうので、今年度休床しても、もらえる」と皮算用している。
産科、整形外科、内科(呼吸器)、結核病棟などの相次ぐ休止で、市立小樽病院では、子供を産めない、結核になっても対応できないと、到底、小樽・後志地区の基幹病院とは言えない事態になっている。
主要診療科からの相次ぐ医師の退職は、責任者の市長の定まらぬ病院経営方針と新病院建設を中断したリーダーシップのなさに、匙を投げたのもので、これからも他の診療科に及ぶ可能性が高い。
患者と医師・看護師から見限られた樽病は、既に、末期症状を呈している。自治体病院の経営危険度ランキングで、全国4位、全道1位のワーストにランクされた市立小樽病院の行方から、さらに目が離せない状況が続くことになる。
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