市立小樽美術館(色内1)市民ギャラリーで、9月3日(水)から、「2008 小樽フォト虹彩写真展」と「松村清 水彩画遺作展」が同時に開かれている。
「2008 小樽フォト虹彩写真展」は、全日本写真連盟から独立した写真愛好家たちのグループ(井上雅博会長)が、年1回行っている展覧会。50から80代の愛好家11人の作品を展示している。
「春の花々」や「小樽運河の四季」、「imagineを聴きながら」、「憩」などと題したカラーやモノクロ写真など96点が並ぶ。
佐藤通晃さんは、ジョン・レノンの命日の12月8日に、名曲「imagine(イマジン)」を聴きながら、一日中小樽市内を歩き回って撮影した写真を展示。1940~60年代の日本製の古いカメラとレンズを使用して、「デジタルにはない曖昧さ」(佐藤さん)を狙った白黒写真を飾っている。
最高齢の加我セツさん(83)は、亡くなったご主人の機材を使って、おたる水族館や円山動物園にいる動物たちの“可愛らしいしぐさ”を撮影。どれもほのぼのとした動物たちを写し出し、憩いの空間を演出するなど、会員たちの個性溢れる作品が展示されている。
「松村清 水彩画遺作展」では、2004(平成16)年に肝臓ガンのため80歳で亡くなった松村さんが、約20年の絵画活動の中で描きためた作品39点を展示している。
松村さんは、小樽で生まれ育ち、第一高等学校卒業後、東京東部第7部隊に入隊し、満州、ハルピンから中国を移動した。終戦で小樽に戻り、60歳から絵を描き始めた。水彩同好会に入会し、後志美術公募展で準大賞などを受賞。花々が好きで、生前は、一番好きだったあじさいの絵で、小樽市展での受賞を目指していたという。
展覧会には、花を愛した松村さんの優しい水彩画が並べられている。カーネーションやコスモス、ひまわりなど作品の大半のモチーフは花だが、中でもあじさいを描いた作品が多い。
最後の作品“石垣とあじさい”を前に、妻・礼子さん(78)は、「主人は、展覧会を開こうとは思っていなかったけれど、主人に絵を描くことを進めた妹が提案してくれたので、少しずつ計画して、亡くなって4年経ってようやく開くことが出来た」と話していた。
「2008 小樽フォト虹彩写真展」と「松村清 水彩画遺作展」の2展は、9月7日(日)まで。入場無料