病院事業会計崩壊 市長の”皮算用”早くも破綻


 小樽市自ら都合の良い数字を並べ、”取らぬ狸の皮算用予算”を計上していた市立病院事業会計が、4月から6月までの3ヶ月の患者数・収益の集計結果で、早くも破綻していることが明らかになった。
 市立小樽病院と第二病院の入院・外来患者数は、2001(平成13)年から2007(平成19)年までの統計で急激な右肩下がりとなっており、年間約3万人の患者数が減少している。
 しかし、小樽市(山田勝麿市長)は、2008(平成20)年度病院事業会計予算で、患者数では、入院患者1日4人増・年間1,073人増、外来では、1日わずか3人減の年間2,415人減の当初予算を組んでいる。
 このほど明らかになった、2008(平成20)年4月から6月の第1四半期の集計では、両院の患者数は、入院患者(前年度比)424人減、外来患者1,969人減となった。医業収益は、入院で5,672万1,000円減、外来で1,498万8,000円増で、差引き4,173万3,000円の減少となった。
 収益・患者数とも、市長が出した”取らぬ狸の皮算用予算”をはるかに下回り、当初予算のずさんさが、集計数字で明らかになった。
 当初予算の入院患者の年間1,073人増は、ひと月平均にすると89人で、3ヶ月で約270人の増とならなければならないところだ。集計数字では、3ヶ月で424人の減少となり、到底、増加に転じることはありえない状況が露呈している。収益でも、すでに3ヶ月で、4,173万3,000円も減少となり、市の”皮算用”を大幅に下回っている。
 さらに、9月には、呼吸器内科2人と皮膚科1人の専門医3人が、退職することになっており、補充のメドが立っていない。このため、9月以降は、さらに数字が悪化することは目に見えている。
 多額の累積赤字・純損失を抱え、新病院建設も中断し、今後の市立病院経営の基本方針すら示せぬことで、患者や医者から三行半(みくだりはん)がつきつけられている。
 実現不可能な数字を並べ、それで、当初予算を組み、後は野となれ山となれの無責任な役人経営の病院に、断が下ることになる日も近い。
 すでに、専門医の退職続きは、他の診療科にも大きな影響を与えており、他科の専門医たちの退職もうわさに上っている。
 小樽市の病院経営のひどさは、新病院建設どころか、現病院の存続も脅かしており、総務省が求める公立病院改革プランを示すことすら困難な状況に立ち至っている。
 病院事業会計の破綻は、直に一般会計に連動しており、「(病院会計が)何億足りないとかって、親(一般会計)のところにすねかじりに来ても、今の小樽市の財政では、すねをかじる足はない。出せない」(山田厚副市長)としており、子の病院会計が、親の一般会計から見捨てられる日も遠くない。
 関連記事1