「目標に向かって一歩ずつ歩いていくことが、いきがいにつながる」。
2003年の70歳、2008年の75歳で、世界最高峰のエベレスト(8,848m)の登頂に成功した冒険家・プロスキーヤーの三浦雄一郎氏が、10月24日(金)に来樽し、特別講演「いきがい~75歳、エベレスト登頂への挑戦~」を日専連小樽(稲穂2)で行った。
この特別講演は、小樽市、小樽市東南部・中部・北西部地域包括支援センターによる市民公開セミナー・介護予防フェア「はじめよう!介護予防~いきいき元気の秘訣はチャレンジ~」の一環。第1部が三浦雄一郎氏の特別講演で、第2部には、体力測定や血行測定の健康チェックが行われた。
第1部の冒頭、山田厚副市長は、「70歳を超えて、エベレストに登頂した苦労や喜びを教えていただけると期待している」と、主催者を代表して挨拶し、2回目の登頂の模様をまとめたDVDの上映が行われた。
DVDは、約7分間で、息子・豪太氏が、体調不良で途中下山したことや、スイスのベテラン登山家が亡くなったことなど、エベレストとの壮絶な戦いを紹介。三浦氏が、最後の難所のヒラリーステップを登りきり、8,848mの山頂から壮大な景色を眺めて記念撮影を行うまでの映像に、会場から大きな拍手が起こった。
三浦氏は、自身の学生時代から、65歳のときにエベレスト登頂の計画を立て、札幌の藻岩山でのトレーニングを始めたが、心臓の不整脈を患ったことなどを話した。
2003年に70歳という世界最高年齢での登頂を記録したあと、家の階段を上った時に、再度、不整脈を起こし、担当医から「山を登ることを諦める勇気を」と言われたと明らかにした。その後、知人から紹介された医師の手術によって、体を順調に回復させ、今年5月に行った2回目の登頂体験を語った。
「心電図を抱えながら登頂していが、途中、心臓の調子が良くなった。ドクターストップではなく、ドクターゴーが出た。70歳で登頂した時は10kgもやせていたので、75歳の時はもっと疲れているのかと思ったが、3kgしかやせていなかった」。
講演の最後には、101歳になってもスキーをしていた父親が行っていた健康法を紹介した。「大きなグラスに入れた牛乳・ヨーグルトと、きな粉・ゴマ、黒砂糖かはちみつ、酢に一週間つけた卵をミキサーにかけたスペシャルドリンクが素晴らしい。父親が95歳の時、徹子の部屋で紹介したところ、芸能界でとっても流行っている。片鼻でゆっくり深呼吸することも良い。口で呼吸すると、ばい菌やゴミが口に入る。徹底的に鼻呼吸だ。舌を真っ直ぐいっぱいに伸ばすのも良い。90歳になった父親が続けたら、シミやシワがなくなった」と話すと、会場からは、「へー」と納得する声が広がった。中にはメモを取る人も。
「継続は力なりが、素晴らしい健康につながる。皆さんも色々運動はしていると思うが、ゆっくり下り坂を下りることが糖を燃やして、瞬発力をつけてくれるので、一番良い運動になる。下りは、神経を使うので、体のバランスも良くなり、非常に有効な運動になる。
本当は、太陽の自然の光を浴びて、散歩することが一番良い。小樽は、山坂があって、最高の健康づくりの街。緑があり、素晴らしい自然環境だと思う。天狗山を登ったって良いし、何か夢をもって体力づくりすることをやってみてはどうか。私は、今度は80歳でチョモランマを登るという目標を作ったので、それが生きがいになっている。皆さんも、何かひとつ目標を持って、一歩ずつ歩んで欲しい、それが生きがいにつながる」と語った。
本社では、著作権者・三浦雄一郎氏の許諾を得て、登頂映像の一部を動画で紹介する。こちら
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