「公立病院改革セミナー」が、8月2日(土)14:00から、札幌コンベンションセンターで開かれた。
このセミナーは、北海道の地域医療ー再編・集約・ネットワークの構築を探るもので、全日本病院協会北海道支部・北海道病院協会・全国自治体病院協議会北海道支部の主催。
北海道・佐藤俊雄 副知事、全日本病院協会・西澤寛俊 会長、厚生労働省・榮畑潤 大臣官房審議官、北海道・高橋則克 保健医療局長、北海道病院協会・徳田禎久 理事長、総務省公立病院改革懇談会・長隆 座長など、錚々たるメンバーが顔をそろえた。
満員になった会場では、4氏による基調講演と、6氏によるパネルディスカッションが行われ、公立病院改革の問題点を探った。中には、小樽の医師や市役所職員の姿も見られた。
基調講演で、「絵に描いた餅にならない改革プラン策定のために…聖域に踏み込む改善事例10」 を報告した長隆氏は、小樽市の事例についても言及した。
「病院改革で、一ヵ月半で答申を出し、10ヶ月で指定管理者を募集した氷見市民病院の例がある。これは、スピードがあり、リーダーシップがある成功例だ。私は、公立病院の経営は、独立行政法人の非公務員型に収斂していくと思う。各地で、本当に必要でない豪華病院を作った責任は、首長と議会にあり、市民にも責任がある。関西のある市立病院の例で、豪華病院を作ったツケで、医療の質をいかにダメにしたか。ハコモノに金をかけ、反省もない自治体が多い。改革プランは絵に描いた餅ではない」 と紹介した。
そして、小樽市の事例について、「小樽のように、官民の病院が乱立して、ほとんど病床過剰地域で、市民病院の存在が必要かどうか。道は、市に指導力を発揮出来ていない。市の改革プラン作りは、噴飯ものだ。行政だけでやっており、医療関係者の意見を聞くだけの格好になっている。公立病院としての役割を果たせないところに、税金投入が許されるのか。自立で再生復活を図るべきだ。市立病院は、一度、破綻して出直すしかない。ここまで言われて再生出来るか。今回は、大胆な改革が求められており、口先だけの改革は無理だ。小樽市が、9月までに特例債の条件をクリアでき、7年間で返すキャッシュフローの手当てができるとは到底思えない。数字だけを書いてごまかせると思っているのではないか。具体的対策を立てずに、病院改革が出来なければ、小樽は、夕張と同じになる」 と、鋭く言及した。
なお、セミナーは、4時間に及び、座長(全国自治体病院協議会・中島豊爾副会長)が、「パネルディスカッションは大変面白かった。地方の財政が破綻に瀕しており、不採算の病院に繰入が出来ない事情がある。これからは、住民、医療従事者が、声を上げなければダメじゃないか。病院再編で、大学から派遣されている医師が、別の大学医師とは合わないのは問題だ。自治医大では、医師の引揚げなどは起こしていないし、僻地にも医師を派遣している。自治医大を各地域に6~7ヶ所を作った方が良いのではないか。地域医療を守り、作るのは、この自治医大ではないか」 と総括した。
小樽市では、現在、再編ネットワーク協議会で、改革プラン作成に取り組んでいるが、6月・7月に各1回ずつ開いた会議では、市側が、なんらの具体的な方針を示さないことから、医療関係者の反発を受けており、9月中に完成させるのは、難しい状況になっており、このセミナーの長氏の指摘もあり、今後の市の取組み状況に注目が集まることになる。
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