小樽市議会初の“ナイター議会”が、18日(水)17:00~20:45、本会議場で行われた。仕事帰りの市民など37名の傍聴者たちが視線を送る中、5議員による一般質問が行われた。
“ナイター議会”は、小樽市議会活性化検討会議の中で決定し、今回初めて行われた。一般質問に立ったのは、共産党・新谷とし、自民党・井川浩子、平成会・成田祐樹、民主市民連合・林下孤芳(かずよし)、公明党・斉藤陽一良の5議員。市議会の傍聴席には市民が並び、議員の質疑と市側の答弁に注目した。
共産党・新谷議員は、「小樽の小中学校は、避難場所とされているが、早期に耐震化することを求める」 と要望したが、山田勝麿市長は、「避難所としての施設である小中学校の耐震化は必要だと思うが、現在、学校の規模・適正配置の策定を進めているので、それに合わせて、教育委員会と良く検討する」 と答えた。
自民党・井川議員は、「洞爺湖サミット開催で、小樽の観光産業の具体的な取組みと小樽市への波及効果は」 と質問。「サミット終了後の7月10日に外国人プレスに無料のバスツアーを行う。市内の施設を見学し、世界にPRしてもらう企画。波及効果としては、直接的な経済効果は期待出来ないが、世界のメディアに紹介されれば、欧米の観光客の増加が高まると期待する」 と答弁。
平成会・成田議員は、「改革プラン策定会議の市長・副市長・総務部長・財政部長・医療保険部長・保健所長・消防長・樽病二病の院長・事務局・企画政策室長のメンバーの中で、医療従事者といえるのは院長2名と保健所長の計3名だけ。全く理解出来ない。市役所ばかりのメンバーで、外部からの参加者も無い、これの一体どこが改革なのか。公立病院改革懇談会座長であり、公認会計士である長氏を軸にしている自治体もあります。以前も、長氏は小樽の病院改革に力を貸すとの発言をされていました。改革プラン策定会議に参加してもらう考えはないのか」 と質した。
「改革プラン策定会議については、プラン全体を審議決定する市の内部組織として位置づけられている。医療従事者の意見を十分反映することにし、外部有識者のご意見も聞きながら策定していく。外部有識者からの強力なリーダーの人材を参加ということですが、地域の実情を踏まえた議論がなされる仕組みが大切だと考え、まずは当事者である市立病院、小樽市、市内医療関係者で議論し、その上で、必要に応じて外部有識者のご意見を伺う」 と答えた。
また、「新病院は全部適用を軸に話が進められているが、実際に独立行政法人化(非公務員型)の病院を視察しに行かれましたか?もし、視察もせずに全適に決めるのであれば、あまりに安直であると思う」 と指摘した。「多額の不良債務を抱えている事業の現状では、地方公営企業法の全部適用が最善の選択肢だと判断し、その導入を目指し準備している。他の経営形態の普及についての情報収集は現在行っている」 と答えた。
市長の答弁に対し、成田議員は、「全適で赤字を解消すると言っているが、策定会議のメンバーでプロの経営者はいるのか、メンバーの多くが理事者席に座っているが、手をあげて立て直せると言える人が何人いるか」 と質した。「総務省の調査では、約300件の病院で全適の導入は約251、圧倒的に多い。独立行政法人化しているのは11、指定管理者制度は14、民間移譲は19、圧倒的に全適が普及しているところが多い。管理者の人選は非常に難しいと思うが、責任者が見つかるかどうか大変だがやっていかなきゃいけない。ここには人材はそう簡単にいませんけど、適正な人材を発掘したい」 と答弁した。
民主市民連合・林下議員は、「給与削減、退職者不補充で、職員の高齢化や活力がなくなり、モチベーションが低下していると思うが」 と質問。「早い時期に財政再建を達成出来るように最大現努力したい。職員のスキルアップやモチベーションがアップされるよう、職員の研修をしている」 と答弁。
公明党・斉藤議員は、「来年度の観光に向けての取組みは」 と質問。「観光客の7割が道央からで、これらのリピーター対策をし、鮮度の高い観光情報を発信し、プロモーション活動を努めてまいりたい」 と答弁した。
初の“ナイター議会”は、各議員の持ち時間が20分以内で市長の答弁などを含めて、17:00~20:45の3時間45分で終了した。
奥沢在住の主婦(60代)は、「初めて市議会の傍聴をしました。昼間は仕事をしているので、傍聴出来ないが、ナイター議会だと見ることが出来る。ただ、市長はずっと頭を下げたままで、下ばかり見て答弁していたので聞きづらかった」。桜町の男性(70代)は、「ナイター議会は、仕事が終わってからでも足を運べるので良い取組みだと思う。ただ、傍聴席では、質疑や答弁の音声が聞きづらい。質問ももっとバラエティにとんだものがあっても良いと思う」 と話していた。
傍聴者は、17:00から18:30までの間に約35人程度だったが、その後、19:30を過ぎると傍聴者は10人程度と少なくなった。市議会検討会議の佐野治男座長は、「傍聴者はいたということはやった甲斐はあった。ただ17:00から18:00くらいまでが、一番傍聴者が多かったので、仕事帰りとかでもなくても、13:00から開会しても、ちゃんと呼び掛ければ、来る人は来るかもしれない。それにナイターになればなるほど人が少なくなるので課題は多い」。見楚谷登志議長は、「比較的傍聴者が多く、緊張感があって良かったと思う。1回ではなんとも言えないので、また検討する」 とした。
この“ナイター議会”の開催で、議会事務局と市長部局の一般職員に対して、17:20から21:20までの約4時間分の残業代が発生した。「議会開会中は、ナイター議会に限らず残業することが多い」(総務部)というが、この4時間分の単純計算で、議会事務局は約7万円(職員8名)、市長部局も約7万円(7名)の計14万円が余計に発生した。
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