真っ白な大雪を被った木造の重厚な和風建築の文化財に、25日(金)、はしご車などから一斉に放水が上がった。
1月25日(金)は「第54回文化財防火デー」。市消防本部(花園2・仲谷正人消防長)は、10:00から市指定歴史的建造物の市公会堂(花園5)で、火災防ぎょ訓練を実施した。
文化財防火デーの制定は、1949(昭和24)年1月26日に、現存する世界最古の木造建造物・法隆寺(奈良県斑鳩町)の金堂が炎上し、壁画が焼損したことを契機としている。小樽市でも毎年、市内各所の歴史的建造物での火災防ぎょ訓練を実施している。
今年は、大正天皇の宿泊のための施設として1911(明治44)年に建てられた市公会堂で実施。木造の伝統的な和風建築で、1960(昭和35)年には、能楽堂も移築・増設されている。
訓練は、例年にない降雪続きで施設の一部が倒壊し、地下ホールの石油ストーブが転倒して火災が発生したとの想定で行われた。消防車両7台・隊員23名、消防団3名、公会堂自衛消防隊5名の31名が参加した。
9:50分頃、同施設の一部が倒壊し、職員の誘導で施設利用者が避難を開始。自衛消防隊による初期消火を行ったが、火の勢いは止まず火災は拡大した。
駆けつけた消防隊員たちが、建物内部に行方不明者が1名いるとの情報を確認。直ちに、ガスマスクを装着し、破壊班と救助班に分かれ、チェーンソーで進入口を作り、行方不明者の捜索・救助を行った。行方不明者はケガして地下1階で倒れており、発見した消防隊員たちの肩に寄りかかって救助され、救急車で搬送された。
行方不明者発見後、大きなサイレンを響かせながら消防車両が次々と建物前に到着。全館へ延焼拡大した火災を鎮火させるため、5本のホースで一斉に放水。指揮官の「放水はじめー」の合図で、真っ白な雪に覆われた建物上空に放水し、文化財をまもる火災訓練を無事に終えた。
たまたま散歩中に通りかかった保育園児たちが、この訓練の様子を見学しており、「消防士さんたち格好よかった」、「初めて放水見た。すごい迫力」などと、目を輝かせていた。